Γ-アミノ酪酸

γ-アミノ酪酸
GABA molecule{{{画像alt1}}}
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
DrugBank
ECHA InfoCard 100.000.235 ウィキデータを編集
EC番号
  • 200-258-6
KEGG
MeSH gamma-Aminobutyric+Acid
RTECS number
  • ES6300000
UNII
特性
化学式 C4H9NO2
モル質量 103.120 g/mol
外観 白色の微結晶粉末
密度 1.11 g/mL
融点

203.7 °C, 477 K, 399 °F

沸点

247.9 °C, 521 K, 478 °F

への溶解度 130 g/100 mL
log POW −3.17
酸解離定数 pKa 4.23 (カルボキシル), 10.43 (アミノ)[1]
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
刺激性、有害
致死量または濃度 (LD, LC)
12,680 mg/kg (マウス, 経口)
関連する物質
関連物質 β-アラニン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

γ-アミノ酪酸(ガンマ-アミノらくさん、英語: gamma-Aminobutyric acid)または4-アミノ酪酸(IUPAC名 4-aminobutanoic acid)は、アミノ酸のひとつで、主に抑制性の神経伝達物質として機能している物質である。

アミノ酪酸にはアミノ基のつく位置によりα-、β-、γ-の3種類の構造異性体が存在するが、γ-アミノ酪酸は、そのうちのひとつである。英語名の γ(gamma)-aminobutyric acid の頭文字をとった略称 GABA(ギャバ)が一般的に広く用いられている。

機能

脊椎動物の中枢神経系では、主に海馬小脳脊髄などに存在し、また節足動物甲殻類でも神経伝達物質として用いられている(下の項目を参照のこと)。シナプスでは、シナプス前膜から放出され、後膜の膜上にあるGABAに対するGABA受容体タンパク質と結合して作用を発揮する。GABAは、脳内でグルタミン酸のα位のカルボキシル基グルタミン酸脱炭酸酵素との反応により除かれることによって生成される。

γ-アミノ酪酸と結合するGABA受容体としては3つのサブタイプが知られており、それぞれGABAA受容体GABAB受容体、GABAC受容体と呼ばれている。

神経伝達物質として

グルタミン酸が基本的に興奮性の神経伝達物質であるのに対し、GABAは基本的に抑制性の神経伝達物質である。GABA作動性のニューロンとしては大脳基底核線条体からの投射ニューロン(中型有棘細胞)や、小脳のプルキンエ細胞などがある。

薬理学

GABA受容体のアゴニストないし、GABAの量を増加させる薬は、主として鎮静、抗痙攣、抗不安作用を有している。この種の薬はしばしば健忘を引き起こす。

GABAは血液脳関門を通過しない物質であることがわかっており、体外からGABAを摂取しても、それが神経伝達物質としてそのまま用いられることはない。血圧を低下させる作用からか抑制系の反応が現れることもある[注釈 1]。また線虫では興奮性の神経伝達物質として機能することも明らかとなった[2]

血液脳関門を通り抜けられないはずのGABAに「効果がある」とする研究はいくつか存在している。しかしながら、GABAの有用性を報告している研究の多くは利益相反がある研究者によって実施されており、結果にバイアスがかかっている可能性が高い。実際、2020年にGABAの睡眠への効果について複数の論文を網羅的に検討した研究では、収集された全ての論文(11件)で著者に利益相反があることが報告されており、ストレス低減効果については限定的な証拠があるものの、睡眠の改善効果に関しては根拠が非常に乏しいと結論されている。[3]

ラットにおいては、GABAはノルメラトニンメラトニンの前駆体)への異化作用を増強した[4]。このようにメラトニンの合成に関与しているため、GABAには睡眠や生殖機能の調節効果があるかもしれないと推測されている[5]

GABA作動薬

GABA受容体に影響を及ぼす薬としては以下のものが挙げられる。

脚注

注釈

  1. ^ 「血圧が高めの方に適する」とされる特定保健用食品がある。GABA含有発酵乳に関する報告があるが、有効性に関する信頼できるデータは不十分。外部リンクの「γ-アミノ酪酸(ギャバ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報」参照。

出典

  1. ^ Data for Biochemical Research. Oxford: Clarendon Press. (1959) [要ページ番号]
  2. ^ Beg, A. A.; Jorgensen, E. M. (2003). “EXP-1 is an excitatory GABA-gated cation channel”. Nat. Neurosci. 6 (11): 1145-1152. doi:10.1038/nn1136. PMID 14555952. 
  3. ^ Hepsomali, Piril; Groeger, John A.; Nishihira, Jun; Scholey, Andrew (2020-09-17). “Effects of Oral Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Administration on Stress and Sleep in Humans: A Systematic Review”. Frontiers in Neuroscience 14. doi:10.3389/fnins.2020.00923. ISSN 1662-453X. PMC 7527439. https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fnins.2020.00923/full. 
  4. ^ “The influence of GABA on the synthesis of N-acetylserotonin, melatonin, O-acetyl-5-hydroxytryptophol and O-acetyl-5-methoxytryptophol in the pineal gland of the male Wistar rat”. Reproduction, Nutrition, Development 23 (1): 151–60. (1983). doi:10.1051/rnd:19830114. PMID 6844712. 
  5. ^ “Sexually dimorphic modulation of GABA(A) receptor currents by melatonin in rats gonadotropin–releasing hormone neurons”. J Physiol Sci 58 (5): 317–322. (2008). doi:10.2170/physiolsci.rp006208. 

関連項目

外部リンク

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