「あなたがここにいてほしい 」(英語 : Wish You Were Here )は、イギリスのロック バンド、ピンク・フロイド の楽曲。1975年に発売された『炎〜あなたがここにいてほしい 』に収録 [ 1] [ 2] 。デヴィッド・ギルモア とロジャー・ウォーターズ が曲を書き、ギルモアがリードボーカルを担当。
2021年 、ローリング・ストーン誌の選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500 で302位にランクされた [ 3] 。
クラシック・ロック のラジオ局 で人気が高く、2021年ニューヨーク の放送局Q104.3 のリスナーからクラシック・ロック・ランキングで18位に選ばれている [ 4] 。
構成
オリジナルのアルバムバージョンは、ひとつ前の曲「葉巻はいかが」のエンディングから、いくつかのラジオ局(ラジオの音やチャイコフスキー の第4交響曲 のフィナーレなどが聴ける)を経て選局されたかのように処理されている [ 5] 。ラジオから流れてきたかのようなギルモアの12弦ギター のイントロの後、より鮮明なアコースティックギターのソロが続く。それはラジオを聴きながら演奏しているかのようにミックスされ、その後の進行とともに"ラジオ放送"は消えギルモアのヴォーカル・他のパートが加わる [ 6] 。ギルモアがスキャット の伴奏でソロを演奏する前に、イントロリフが数回繰り返される。そして、表情豊かなボーカルとバックボーカルをフィーチャーした3番の歌詞が続く。歌の後、最後のソロは風の効果音と共にフェードアウトし、ラストの「クレイジー・ダイアモンド 」後半パートに続く。
心情的に、この曲はシド・バレット への直接の賛辞であると考えられがちだが、ドキュメンタリー『The Story of Wish You Were Here(英語版 ) 』では、ギルモアとウォーターズが異なる解釈を述べている。歌詞を主に書いたウォーターズは、彼の歌詞がしばしばそうであるように、自分自身に向きあい、存在と真実の経験を得るために自らを解放することが、この曲の主題であると言及している。一方ギルモアは、シド・バレットを思い出さずにこの曲を演奏することは決してないと理解している。のちにウォーターズは、この曲はそれでもまだ解釈の余地があると付け加えた [ 7] 。
ギルモアとウォーターズ二人とも、ピンク・フロイドの最高の曲の1つとして賞賛している。ウォーターズは、この曲でのコラボレーションは「本当に良い。細かいところも本当に、本当に良い。とても嬉しい。」と述べている [ 8] 。ギルモアは、「とてもシンプルなカントリー ・ソング」とふざけて呼ぶが、「その反響と感情的に考えれば、私たちの最高の曲の1つだ」と述べている [ 8] 。
録音
「あなたがここにいてほしい」は、アルバム全体のセッションの一部としてEMIレコーディング・スタジオ で録音された。
注目すべきは、ステファン・グラッペリ の参加案で、当時人気のユーディ・メニューイン とのコラボレーションで同スタジオの階下でレコーディングしていたため、ギルモアは曲の最後に彼の演奏で「カントリーフィドル 」を入れることを提案した [ 9] 。しかし最終的には、ほとんど削除することが決定された [ 10] 。
2011年 発売されたボックスセット には、グラッペリのパートがかなりフューチャーされた別バージョンが収録されている[ 11] 。
ライブパフォーマンス
1977年 ツアーにおいて『炎〜あなたがここにいてほしい』がアルバムを通してセットリストに加わり、「あなたがここにいてほしい」は初めて演奏された。その後10年近くライブ演奏されなかったが、1987年 再登場の後は定番となり、ほとんどのコンサートで演奏されている。1977年の公演では、ギルモアはアコースティックギターの代わりにフェンダー・ストラトキャスター を演奏し、スノーウィー・ホワイト は12弦 のオベーション アコースティックギターを演奏した。ニック・メイスン がステージ上のトランジスタラジオを地元のラジオ局に合わせアルバムの実音源につなげ、リチャード・ライト が風の効果音とともにピアノコーダを演奏し、ロジャー・ウォーターズ は最後の歌のバックボーカルに加わった。ライブバージョンは『Pulse 』に収録されており、ギルモアはギブソン J-200 アコースティックギターを演奏し、12弦パートはツアーギタリストのティム・レンウィックが担当した。ピンク・フロイドがロックの殿堂 入りしたとき [ 12] 、ギルモアとライト(メイソンは聴衆にいた)はプレゼンターのビリー・コーガン (リズムギター)と一緒にこの曲を演奏した。
ギルモアはこの曲を自身のツアーでも演奏し、『Live In Gdańsk 』と『Live At Pompeii 』にライブバージョンが収録されている。
ウォール・ライブを除いて、ウォーターズはソロアクトとしてツアーのすべてで演奏している。ピンク・フロイドではギルモアが歌っていたリードボーカルを、ツアーバンドのメンバーではなく、ウォーターズが歌う数少ない曲(「タイム 」や「ようこそマシーンへ 」を含む)の1つ。ライブバージョンは、ライブアルバムとコンサートフィルム『イン・ザ・フレッシュ 』および『RogerWaters:Us + Them 』に収録されている。
2005年 ウォーターズはエリック・クラプトン とツナミエイド でこの曲を演奏し、ライブ8 では元のバンドメンバーに加わり、ピンクフロイドの4曲を一緒に演奏した。ウォーターズとギルモアはリードボーカルを分け合った [ 13] [ 14] 。
2014年 12月13日 、ギルモアはアールス・コート・アリーナ でボンベイ・バイシクル・クラブ のコンサートのゲストで、そのライブは解体前の最後のイベントだった。メンバーのジェイミー・マッコールはギルモアを「この男は私に最初のギターをくれ、この会場で演奏した最初の人の一人でした。私のカウントでは、ここで27回以上演奏しています。」と紹介し、「あなたがここにいてほしい」の前に、彼らの曲「リンス・ミー・ダウン」を共演した [ 15] 。
ピンク・フロイドの他のバージョン
演奏
シングル あなたがここにいてほしい(ライブ)
「 WishYouWere Here(Live) 」は、ピンク・フロイドの9枚目のスタジオアルバム『あなたがここにいてほしい』収録のタイトルトラックのライブ録音で、3枚目のライブアルバム『Pulse』に収録された。「WishYouWere Here(Live)」は、1995年 7月20日 にイギリスとヨーロッパでシングルとしてリリースされた。
トラックリスト
CD[ 18] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「Wish You Were Here (Live)」 5:40 2. 「Coming Back to Life (Live)」 6:40
CD Maxi[ 19] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「Wish You Were Here (Live)」 5:40 2. 「Coming Back to Life (Live)」 6:40 3. 「Keep Talking (Live)」 6:54
Netherlands promotional single[ 20] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「Wish You Were Here (Live)」 5:40
カバーバージョン
ワイクリフ・ジョンバージョン
「WishYouWere Here」は、ハイチのラッパー ワイクリフ・ジョン の2枚目のスタジオアルバム『The Ecleftic:2 Sides II a Book 』(2001)からシングルとしてリリースされた。 2001年11月26日 にリリース後、UKシングルチャート の28位を記録、ドイツ ・アイルランド ・ノルウェー ・スイス でトップ50にランクイン。
トラックリスト
UK CD single [ 21]
"Wish You Were Here" (radio edit) – 4:04
"No Woman, No Cry" (album version) – 4:33
"911" (live) – 4:23
"Wish You Were Here" (video)
UK cassette single (672156 4) [ 22]
"Wish You Were Here" (LP version) – 4:08
"Perfect Gentleman" (remix radio edit) – 3:59
European CD single (COL 671952 1) [ 23]
"Wish You Were Here" (radio edit) – 4:04
"911" (live) – 4:23
脚注
^ Strong, Martin C. (2004). The Great Rock Discography (7th ed.). Edinburgh: Canongate Books. p. 1177. ISBN 1-84195-551-5
^ Mabbett, Andy (1995). The Complete Guide to the Music of Pink Floyd . London: Omnibus Press. ISBN 0-7119-4301-X
^ “500 Greatest Songs of All Time: Pink Floyd, 'Wish You Were Here' ”. Rolling Stone (2021年9月15日). 2021年9月23日閲覧。
^ “Top 1043 Songs of All Time - Q104.3 ”. q1043.iheart.com. 2022年1月18日閲覧。
^ The Absolute sound, Volume 18, Issues 87-90 p.113.
^ Pink Floyd: Wish You Were Here (Songbook. 1975 Pink Floyd Music Publishers Ltd., London, England. ISBN 0-7119-1029-4
^ Edginton, John (Director) (26 June 2012). The Story of Wish You Were Here . UK: Eagle Rock Entertainment. YouTube title: Pink Floyd - The Story of Wish You Were Here (720p with subtitles)
^ a b Edginton, John (Director) (26 June 2012).
^ イギリスのインフレ率の出典はClark, Gregory (2024). “The Annual RPI and Average Earnings for Britain, 1209 to Present (New Series)” . MeasuringWorth (英語). 2024年5月31日閲覧 .
^ Metzger, Richard (26 April 2013), “Wish You Were Here: Pink Floyd Jam with Stéphane Grappelli, 1975” , Dangerous Minds , http://dangerousminds.net/comments/wish_you_were_here_pink_floyd_jam_with-stephane_grappelli_1975 2013年4月27日閲覧。
^ “Pink Floyd – Wish You Were Here - Immersion Box Set (2011, CD) - Discogs ”. discogs.com. 2022年1月18日閲覧。
^ Pink Floyd , ロックの殿堂 , 1996.
^ Povey, Glenn (2007). Echoes: the complete history of Pink Floyd . Mind Head Publishing. ISBN 9780955462405 . https://books.google.com/books?id=qnnl3FnO-B4C&q=tsunami+aid+wish+you+were+here+waters+clapton&pg=RA4-PT70 2011年9月9日閲覧。
^ “Pink Floyd Visionary Syd Barrett Dies At 60” . Billboard : p. 46. (2006年7月22日). https://books.google.com/books?id=KxYEAAAAMBAJ&q=live+8+wish+you+were+here&pg=PA46 2011年9月9日閲覧。
^ “Pink Floyd's Dave Gilmour joins Bombay Bicycle Club to perform 'Wish You Were Here' ”. NME (2014年12月14日). 2022年1月18日閲覧。
^ “Pink Floyd - Echoes (The Best Of Pink Floyd) | Discogs ”. discogs.com. 2022年1月18日閲覧。
^ “Throwback Thursday: David Gilmour Plays ‘Wish You Were Here’; Guitar Auction is Coming! ” (英語). acousticguitar.com (2019年4月11日). 2022年1月19日閲覧。
^ “Wish You Were Here (Live) (CD, Single) ”. Pink Floyd . Discogs . 2013年5月31日閲覧。
^ “Wish You Were Here (Live) (CD, Maxi-Single) ”. Pink Floyd . Discogs . 2013年5月31日閲覧。
^ “Wish You Were Here (Live) (CD, Single, Promo) ”. Pink Floyd . Discogs . 2013年5月31日閲覧。
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^ Wish You Were Here (UK cassette single sleeve). Wyclef Jean. Columbia Records. 2001. 672156 4.{{cite AV media notes }}
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^ Wish You Were Here (European CD single liner notes). Wyclef Jean. Columbia Records. 2001. COL 671952 1.{{cite AV media notes }}
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外部リンク