あの晴れわたる空より高く
『あの晴れわたる空より高く』(あのはれわたるそらよりたかく)は、2014年9月26日にチュアブルソフトより発売されたアダルトゲーム。 チュアブルソフト10周年記念作品であり、萌えゲーアワード2014にて準大賞[1]と金賞・シナリオ賞[2]をダブル受賞した。 あらすじ主人公・隼 乙矢は、宇宙航空研究が盛んな天ノ島に住む、勉強が苦手ながらも明るい少年だった。ある日、彼は同じ学校の暁 有佐から一緒にロケットを作らないかと話を持ち掛けられた。バカで、おまけにロケットに関しては素人の自分を誘うなんて、と訝しみつつも、乙矢は有佐が部長を務めるロケット部・ビャッコへ入部しようとしていた。そこへ学園一の実力を持つロケット制作部・ARCの副部長である黎明 夏帆が現れ、ビャッコに廃部を通告してきた。有佐はその挑戦を受けて立ち、ビャッコが廃部をまのがれる条件である「二学期までにロケット大会で優勝すること」をクリアすべく、部員やライバルであるはずの夏帆までをも巻き込んで、乙矢とビャッコの面々による、ロケットづくりが始まった。 登場人物
反響売り上げ本作は発売後にネットを中心として話題となり、ロングセラーとなった[1]。 批評・受賞歴『BugBug』2014年11月号に本作のレビューが掲載された。本作では物語の序盤はロケットの発射シーンで始まり、発射直前になって時間が遡り本編が始まるという構成が取られている。この構成に対しレビューでは「演出が実に心憎い」と評され、本作では冒頭シーンに限らずワクワク感を出すのが非常に上手いと述べられた。シナリオに対しては、マイナーな部活が廃部の危機に陥るのはよくあるパターンであると指摘されたが、物語では問題が次々に発生することで目が離せなくなり知らず知らずのうちに物語に引き込まれると述べられた。また、本作はロケットを抜きにしても部活青春ものとして十分によく出来た作品であると評された。本作ではロケットの説明のために様々な専門用語や図解CGが登場する。これに対しレビューでは「少々とっつきにくいと感じる人もいるかもしれない」と指摘されたが、専門的な知識はゲーム内の辞書で詳しく説明されるためロケットに関する知識がない人も楽しめる作品だと評された[3]。 本作は萌えゲーアワード2014にて準大賞[1]と金賞・シナリオ賞[2]を受賞した。萌えゲーアワード2014においては、数少ない複数賞受賞作となった[2]。 準大賞の講評では、本作で最も評価されたのはシナリオだと述べられ、ロケットに対するこだわりが強く高度な専門知識が多く盛り込まれていると指摘された。また、主人公達のロケットに対する情熱はユーザーを夢中にさせ、高度な専門知識さえもすんなり読めてしまうと述べられた。本作がロングセラーとなった勝因として、ロケットを宇宙に打ち上げるという視覚的にも感覚的にも分かりやすいテーマを選んだことが挙げられた。講評では東日本大震災の際にチュアブルソフトが体験した苦労についても言及され、こうした苦労を乗り越えて作品を作り続けてきたことが本作のような感動の名作を生んだ要因であると述べられた[1]。 金賞・シナリオ賞の講評では、本作は抜きん出てシナリオが素晴らしく、物語として大変優れていると述べられた。ロケットを飛ばすために努力する中で繰り広げられる青春群像をシナリオライターは見事に描き切っていると指摘された。ロケットのハードに関する説明が分かりやすく説明されているために読者は無理なく物語に引き込まれると述べられ、プレイ後の読後感は爽快と評された。シナリオライターに小説家を起用した点については、美少女ゲームのシナリオライターが小説の執筆やアニメの脚本に転向する昨今の風潮とは真逆の発想であると指摘され、今後の美少女ゲーム業界の方向性に対する一つの試金石であるとまで評された[2]。 チュアブルソフトによれば、本作のプレイ後に「ロケット打ち上げ中継を見るようになった」「宇宙センターの見学に行くようになった」との報告がユーザーから寄せられた[1]。 出典外部リンク |
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