くるみ割り人形と秘密の王国
『くるみ割り人形と秘密の王国』(くるみわりにんぎょうとひみつのおうこく、原題:The Nutcracker and the Four Realms)は、2018年のアメリカ合衆国のファンタジー映画。監督はラッセ・ハルストレムとジョー・ジョンストン、出演はマッケンジー・フォイとキーラ・ナイトレイなど。チャイコフスキー作曲の音楽によるバレエ『くるみ割り人形』の原作としても知られる、E.T.A.ホフマンの童話『くるみ割り人形とねずみの王様』の実写映画化作品である。 ストーリーヴィクトリア朝時代のロンドン。人々はクリスマスイブでお祭りムードになっていた。そんな中、ミスター・シュタールバウムは子供たちにクリスマスプレゼントを配っていた。それは亡き妻・マリーの最期の願いを叶えるためでもあり、姉弟と共にクララも卵形の箱をもらった。そこにはマリーからの手紙が同封されており「この卵の中には貴方が必要とするもの全てが入っています」と書かれていたが、箱の鍵が見当たらず結局彼女の力では開けられなかった。その後、クララ達はゴッドファーザー(名付け親)のドロッセルマイヤーが主催するクリスマスパーティーに出席する。しかし、母を失って悲しみに暮れるクララはパーティーを楽しむ気分にはなれず、隙を見てパーティーを抜け出して優秀な職人でもあるドロッセルマイヤーの工房を訪れると、彼に箱を開けてもらうよう頼む。その箱を見たドロッセルマイヤーは「その箱は私が子供の頃のマリーにプレゼントしたものだ。マリーはお前さんにその箱を渡したがっていた」と思い出話をした。 そうこうしているうちに、クリスマスプレゼントを受け取る時間がやって来た。自分の名札がついた糸を発見したクララはそれを辿っていくが、いつの間にか雪が舞い降る森の中へと入り込んでしまった。糸を辿った先のクリスマスツリーに結ばれていた鍵を発見したクララだったが、入手する前にネズミに奪われてしまい後を追いかける。そして、凍り付いた湖にかかった橋の袂にて番をしていたホフマン大尉の導きで、クララは4つの王国(花の国、雪の国、お菓子の国、第4の国)からなる世界へと足を踏み入れる。 その世界でクララは王国間の戦いに巻き込まれながらも、亡き母マリーと王国の関係、そしてクララ自身に関わる〈真実〉を知っていく事になる。 キャスト
製作構想・キャスティング2016年3月4日、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが『くるみ割り人形』の映画化に際して、ラッセ・ハルストレムを監督に起用する意向だとの報道があった[6]。7月、マッケンジー・フォイ、モーガン・フリーマン、ミスティ・コープランドの出演が決まった[7][8][9]。8月、キーラ・ナイトレイとヘレン・ミレンがキャスト入りした[10][11]。9月30日、エリー・バンバーが本作に出演することになったとの報道があった[12]。10月、ミランダ・ハートの出演が決まったと報じられたが[13]、彼女の出演シーンは劇場公開版からは全カットされた。2017年3月、ジャック・ホワイトホールが本作の撮影に参加していたことを明かした[14]。 撮影本作の主要撮影は2016年10月にイギリスのサウス・ケンジントンとパインウッド・スタジオで始まり、2017年1月下旬に終了した[15]。2017年12月に再撮影が行われたが、スケジュールの都合でハルストレムが参加できず、ジョー・ジョンストンが代わりに監督を務めることになった[16]。話し合いの結果、ハルストレムとジョンストンが連名で本作の監督としてクレジットされることになった[17]。 音楽本作で使用された楽曲はピョートル・チャイコフスキーが作曲したものをジェームズ・ニュートン・ハワードが現代風にアレンジしたものである。また、新しい楽曲も使用されている[18]。レコーディングではグスターボ・ドゥダメルがフィルハーモニア管弦楽団を指揮し、ピアノソロにはラン・ランが起用された[19]。 2018年10月22日、アンドレア・ボチェッリとマテオ・ボチェッリが『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』に出演し、本作のために新たに作曲された「Fall on Me」を歌った[20]。26日、本作のサウンドトラックが発売された[21]。 公開・マーケティング当初、ディズニーは2018年11月2日に『ムーラン』の実写映画を公開する予定だったが、製作に遅れが生じたため公開を無期延期とし、その日に本作が封切られることとなった[22]。 2017年7月15日、本作のファースト・トレイラーが公開された[23]。12月19日、本作のティーザー・トレイラーが公開された[24]。2018年8月8日、本作のセカンド・トレイラーが公開された[25]。 日本公開2018年7月18日、ウォルト・ディズニー・ジャパンより、第1弾ビジュアルポスター、本作の邦題、日本公開日が発表された[26]。 興行収入本作は『ボヘミアン・ラプソディ』および『クレイジー・グッド』と同じ週に封切られ、公開初週末に2000万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが[27]、この予想は的中した。2018年11月2日、本作は全米3766館で公開され、公開初週末に2035万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場2位となっている[28]。この数字では製作費1億2000万ドルを国内だけで回収することは絶望的であるため、本作は興行的失敗作となった。ディズニーは上半期にも『リンクル・イン・タイム』と『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で興行的に失敗しており、大作映画の興行的失敗は本作で3回目となった。ただ、その赤字分はマーベル・コミックを原作とした映画やピクサー作品の黒字分で回収できるとの見方が強い[29]。 評価本作に対する批評家の評価は芳しいものではない。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには155件のレビューがあり、批評家支持率は33%、平均点は10点満点で5.1点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「感動的なクリスマス・ストーリーや魅惑的なダンスシーンが不足している。『くるみ割り人形と秘密の王国』は観客を引きつけはするものの、簡単に記憶から消えてしまう作品である。ホリデー・シーズンによく見かける中身のない映画である。」となっている[30]。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は39/100となっている[31]。なお、本作のCinemaScoreはB+となっている[32]。 出典
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