アマギカンアオイ
アマギカンアオイ(天城寒葵、学名: Asarum muramatsui)は、ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑の多年草[5][6][7][8][9]。 特徴葉に長さ4-9cmの葉柄があり、葉柄は淡緑色になる。葉身は卵形または卵状三角形で、長さ5-9cm、幅3-6cmになり、先端は鈍頭またはすこしとがり、基部は心形になる。葉質は他種に比べ厚く、葉の表面は強い光沢があり、鮮緑色になり、縁の近くに短毛が散生する。葉脈はいちじるしく陥入する。裏面は無毛で淡緑色になる[5][6][8][9]。 花は4-5月に咲く。花に花弁は無く、萼裂片が花弁状になる。花柄は葉腋からでて長さ1cmほどになり、花は暗紫色で横向きについて地表ちかくに咲く。萼筒は短い鐘状筒形で、長さ10-12mm、径12-15mmになり、上部はややくびれる。萼筒の入口は環状のつばがあり、その周囲に隆起した白いしわ状のひだが形成される。萼筒内壁には縦、横に隆起した多数のひだがあり、複雑な格子状になる。萼裂片は卵形から卵状三角形で、斜上し、長さ8mm、幅10-13mmになり、先は鋭頭となり、表面は暗紫色の短毛が密生し、縁はゆるく波打つ。萼裂片の裏面に毛はない。雄蕊は12個あって葯は外側を向く。花柱は6個あって萼筒の半分より長く、先端は逆長靴形で頂部に柱頭がある[5][6][8][9]。 分布と生育環境日本固有種[7]。本州の伊豆半島とその周辺に分布し[5][6][7][9]、低地や山地の[6]落葉広葉樹や常緑広葉樹がまじった林[8]や植林地に生育する[6]。 名前の由来和名アマギカンアオイは、「天城寒葵」の意で、最初に採集された伊豆の天城山に基づく[9]。 種小名(種形容語) muramatsui は、採集者で、標本を新種記載者の牧野富太郎に送った松村七郎 (1899 – 1985) への献名である[6][10]。 種の保全状況評価絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト) (2020年、環境省) 分類本種は、同属のタマノカンアオイに似るが、同種の葉柄の色は褐色または暗紫色になり、本種の葉柄は淡緑色になること、本種はタマノカンアオイより葉の表面の葉脈のくぼみが深いこと、萼筒や萼裂片が小さい傾向にあることで異なる。また、カギガタアオイに似るが、同種は、萼筒が上部でくびれること、板状突起があまり発達しなこと、秋に開花することで異なる[7][8][9]。 また、前川文夫(1980)は、伊豆半島の下田市の須崎産のカンアオイを、葉の光沢や葉脈の陥入の程度、葉柄の色など、本種とタマノカンアオイの中間的性質をもつとして、本種の変種として、新変種「シモダカンアオイ」Heterotropa muramatsui (Makino) F.Maek. var. shimodana F.Maek.[2][11][12]を記載した。記載にあたってのタイプ標本は、昭和天皇が1980年3月に下田市の須崎御用邸で採集したものである(採集者:Emperor Hirohito, 13 Mar.1980)[2][11]。しかし、現在は、シモダカンアオイは本種に含まれ[6]、var. shimodana は本種のシノニムとなっている[2]。 ギャラリー
脚注
参考文献
外部リンク |
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