アル・シディク級ミサイル艇
アル・シディク級ミサイル艇(英語: Al-Siddiq-class missile boat)は[注 2]、サウジアラビア海軍のミサイル艇の艦級[1][7]。アメリカのウィスコンシン州にあるピーターソン造船所によって9隻が建造された[1]。 当初はPGG-1から9までの記号・数字のみで呼ばれていたが[3]、後にサウジアラビア王族の名前に由来する艦名が付与された[1]。 設計1977年2月に発注されたミサイル艇であり、設計は同年にタコマ・ボート造船所に発注されたバドル級コルベットと同じく、PCFG(高速ミサイル哨戒艇)設計に基づいている[1]。バドル級と比較すると、推進機構成は同一だが兵装はやや縮小されており、対艦ミサイル搭載数は半分で対潜戦装備も搭載されていない[1]。艦型は中央船楼型で、高速戦闘艇としては珍しく煙突を装備している[7]。またフィンスタビライザーも設置されている[3]。なお建造にあたっては、設計排水量を超過してしまい、就役の遅延につながった[3][注 3]。 機関はCODOG方式で、高速航行用のLM2500 ガスタービンエンジン1基(23,000 shp)と巡航用のMTU 12V 652TB91ディーゼルエンジン2基(計3,485 bhp)を組み合わせて、2軸の可変ピッチプロペラを駆動している[1][2]。艇のサイズと比較すると極めて高出力の機関であり、速力は高速航行時で38ノット、巡航時で25ノットを発揮できる[1][2]。航続距離は14ノット時で2,900海里[2]、30ノットで600海里である[3]。 装備本級は、艦砲用の射撃指揮システム(FCS)としてMk.92 mod.5を搭載するが、これはXバンドの捕捉・火器管制レーダーを備えており、アンテナは艦橋上部の球形レドーム内に収容されている[1][2][3]。このほか、水上捜索/航海レーダーとして、マストにAN/SPS-55が搭載されている[1][2]。また電子戦・対抗装備として、AN/SLQ-32(V)1 電波探知機と、Mk 137 6連装デコイ発射機2基を搭載している[1][2]。 砲熕兵器としては、艦首甲板にMk 75 mod 0 62口径76mm単装速射砲(オート・メラーラ社のコンパット砲をFMC社がライセンス生産した砲)を、艦尾にはMk 15(ファランクス・ブロック0) 20mmCIWSを搭載している[1][4][2][3]。また、上部構造物の艦尾側にはハープーン ブロック1B艦対艦ミサイルの連装発射筒2基を舷側に向けて設置している[1][4][2]。このほか、70口径20mm機関砲[3][注 1]、81mm迫撃砲2基、Mk19 40mm自動擲弾銃2基を装備している[1][2]。 本級はサウジアラビア海軍の軍務では概ね成功を収めており、就役以来大きな改良は行われていないが、「サファイア」前方監視赤外線装置とリンクW データリンクシステムが後日装備されている[1][2]。 同型艦一覧表
運用史「ファイサル」は1991年の湾岸戦争中に損害を受けたが、修理を受けて1994年に復帰した[1][2]。 2009年時点で、「アミール」と「タリク」はジッダ、残りの艇はアル・ジュバイルを拠点としている[2]。2023年時点で全艇が現役である[4]。 脚注注釈出典
参考文献
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