初代ペンブルック伯爵ウィリアム・ハーバート（英: William Herbert, 1st Earl of Pembroke KG、1423年ごろ - 1469年7月27日）は、ウェールズの貴族、軍人、政治家、廷臣。ブラック・ウィリアム（ウィリアム黒伯）と呼ばれた。
生涯
ラグラン城を創建したウィリアム・アプ・トマス（英語版）とその妻グラディス・ヴェルフ・ダヴィズ・ガム（英語版）（イングランド王ヘンリー5世の支持者ダフィド・ガム（英語版）の孫娘）の息子に生まれた[1]。
父ウィリアムはヨーク公リチャードと同盟を結び、ウィリアムも薔薇戦争でヨーク家を支持した[1]。
1461年、タウトンの戦いでヨーク家が決定的な勝利を収めた後、褒賞として同年7月、ラグランのハーバート男爵に叙された。この頃のウィリアムは国王エドワード4世から寵愛を受けており、翌年にはガーター騎士にも選ばれたほか、1463年や1465年には貴族領から独立した領地クリックハウエル（英語版）やトレタワー（英語版）、ラグラン（英語版）を与えられるなど権勢を誇った[1]。
1469年にはジャスパー・テューダーに代わってペンブルック伯爵へと位階を進めた[1]。同時にペンブルック城の支配権を獲得したほか、王位継承権者ヘンリー・テューダーの後見人となった[1]。
しかし同年、「キングメーカー」こと第16代ウォリック伯爵リチャード・ネヴィルが国王に反乱を起こした際、ウィリアムはウォリック伯と袂を分かつこととなる。（ウォリック伯とクラレンス公はウィリアムを「邪悪な顧問」の1人として非難した[1][2]。）ウィリアムと弟リチャードは、ウォリック伯の反乱（エッジコート・ムーアの戦い）に敗れて、ノーサンプトンで処刑された[1][3]。
ウィリアムの死後、同名の息子ウィリアムが爵位を継いだ。彼の代（1479年）には、国王からペンブルック伯爵位の返還を求められる（かわりにハンティンドン伯爵（英語版）を与えられる）など、ハーバート家は次第に凋落していった[1]。なお後に、ウィリアムの庶子の孫ウィリアム・ハーバート（英語版）がペンブルック伯爵に叙されて爵位再興を果たした。
結婚と子女
ウィリアムはアイルランド大法官ウォルター・デヴァルーの娘アンと結婚し、以下の子女をもうけた。
- ウィリアム（1451年 - 1491年） - 第2代ペンブルック伯
- ウォルター（1452年頃 - 1507年） - 第2代バッキンガム公ヘンリー・スタッフォードの娘アンと結婚
- ジョージ
- セシリー
- モード（1448年 - 1485年/1495年7月27日） - 第4代ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーと結婚
- キャサリン（1506年没） - 第2代ケント伯ジョージ・グレイと結婚
- アン - 初代ポーイスのグレイ男爵・第9代ポーイス領主ジョン・グレイと結婚
- イザベル - サー・トマス・コークシーと結婚
- マーガレット - 第2代ライル子爵トマス・タルボットと結婚、サー・ヘンリー・ボドゥルガンと再婚
ウィリアムには3人の庶子がいた。
- サー・リチャード・ハーバート・オブ・エウィアス（1510年没） - 初代ペンブルック伯ウィリアム・ハーバートの父。おそらく母はアダム・アプ・ハウエル・グラント（グウィン）の娘モードである。
- サー・ジョージ・ハーバート - 母はフロンド・ヴェルフ・ホイスギン。シビル・クロフトと結婚[4]。
- サー・ウィリアム・ハーバート・オブ・トロイ - 母はフロンド・ヴェルフ・ホイスギン。2度目にブランシュ・ホイットニー（旧姓ミルボーン）と結婚し、2人の息子が生まれた[5]。
脚注
- ^ a b c d e f g h Griffiths, R. A. (23 September 2004) [2004]. "Herbert, William, first earl of Pembroke". Oxford Dictionary of National Biography (英語) (online ed.). Oxford University Press. doi:10.1093/ref:odnb/13053。 (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。)
- ^ Doubleday, H.A. & Lord Howard de Walden, eds (1945). The Complete Peerage. 10 (2nd ed.). London: St. Catherine Press. p. 401 n. 'g'
- ^ The Battle of Edgecote or Banbury (1469) Through the Eyes of Contemporary Welsh Poets, Barry Lewis, Journal of Medieval Military History: Volume IX, ed. Anne Curry, Adrian R. Bell, (Boydell Press, 2011), 101.
- ^ “Sir George Herbert”. tudorplace.com. 2025年2月24日閲覧。
- ^ "Ruth E. Richardson,'Mistress Blanche, Queen Elizabeth I's Confidante'"
