エア・トランザット961便事故
エア・トランザット961便事故(エア・トランザット961びんじこ)は、2005年3月6日に発生した航空事故である。ファン・グアルベルト・ゴメス空港発ケベック・ジャン・ルサージ国際空港行きだったエア・トランザット961便(エアバスA310-308)の方向舵が疲労破壊により飛行中に脱落した。パイロットはファン・グアルベルト・ゴメス空港への緊急着陸に成功し、乗員乗客271人は全員無事だった。2018年10月時点で事故機は、エア・トランザットで運用されている[2][3]。 調査の結果、方向舵の検査手順が適切ではなかったと結論付けられた[4]。事故後、機体の複合構造への検査手順が変更された。 事故の経緯961便はEST2時48分にファン・グアルベルト・ゴメス空港を離陸した。機体は巡航高度の35,000フィート (11,000 m)に達し、客室乗務員が機内サービスを開始した。3時02分に機体が突然激しく揺れ、ダッチロールに陥り上昇し始めた。パイロットはフォートローダーデール・ハリウッド国際空港へ緊急着陸を行おうとしたが、エア・トランザットのオペレーションセンターはファン・グアルベルト・ゴメス空港へ引き返すことを勧めた。コックピットでは警報は何も作動しておらず、方向舵やヨーダンパーに問題があると考えられた。4時19分に961便は緊急着陸に成功した。駐機場でパイロットらは外部点検を行った。それにより、垂直尾翼から方向舵が脱落していることに気付いた[4]。 事故調査異常が発生してから着陸するまでの時間が長かったため、フライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーは問題が起きた瞬間のデータを記録していなかった。調査委員会は事故機の方向舵に疲労亀裂が生じ、飛行中に方向舵が脱落したと結論付けた。A310の尾部は、疲労の成長を食い止めるような構造にはなっていなかった[4]。 カナダ交通安全委員会は、複合材料を用いていたA310の方向舵検査が不十分であったと結論付けた[5]。そのため、方向舵自体の耐久強度も疑問視された。961便の事故は、エアバスA300-600/-600RやエアバスA310の方向舵の問題について警鐘を鳴らす契機となった。 事故後![]() 事故機は2018年10月現在もエア・トランザットに在籍している[2][3]。 関連項目脚注
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