オアシス・マネジメント
オアシス・マネジメント・カンパニー(英語: Oasis Management Company Ltd.)は、香港を拠点とするアクティビストである。2002年にセス・フィッシャーが設立[1]する。香港、東京、オースティンに事務所を構え、専門職が40名以上[2]在籍する。 概要創業者で最高投資責任者(CIO) を務めるセス・フィッシャーは、ニューヨークのイェシーバー大学を1993年に卒業後、イスラエル国防軍に勤務する。1995年からアメリカ合衆国のヘッジファンドであるハイブリッジ・キャピタル・マネジメント でアジア投資業務に従事したのち、2002年に当社を設立[3]する。 「物言う株主」として知られ、2020年6月に「オアシス・ジャパン・ストラテジック・ファンド」を設立して大半を日本株式で運用[2]する。おもに割安で放置されていることに相応の原因がある企業を対象として、コーポレート・ガバナンス改善のためエンゲージメント(対話)と称する面談を経営陣に要求し、提案が受け入れられない場合は株主総会やマスメディアに対し、論拠を揃えてガバナンス欠如の主張を展開する[3]。 2011年9月15日、香港証券先物委員会はオアシス・マネジメントおよびセス・フィッシャーに対し、2006年に日本の証券市場で日本航空の公募増資における相場操縦が業者としての適格性を欠くとして、ともに戒告処分と制裁金750万香港ドルを課したと発表した[4][5][6]。 サン電子で2019年3月に大株主となると、2020年1月に業績不振を理由に元社長の山口正則ら4人の取締役解任を要求してプロキシーファイト(委任状争奪戦)となる。オアシスの提案が賛成過半数で可決されて2020年4月に4人は解任[7][8][9][10]となる。 2020年10月に、東京ドームは「非効率的な経営を続けている」と社長の長岡勤ら3人の取締役解任を要求[10]し、株式公開買い付け (TOB) を示唆する。読売新聞グループ本社の仲介で三井不動産が東京ドームを完全子会社化することを表明すると、一転して三井不動産のTOBに応じて保有株式を売却し、撤退[11][12][13]する。 2022年6月に筆頭株主となったフジテックの株主総会で、創業家出身の社長である内山高一の再任反対を画策し、特設サイトを開設し、61ページのプレゼンテーション資料を整える。内山個人が所有する法人へフジテックの不適切な貸付、内山家が所有する不動産の一覧と推定価格、20年以上前の有価証券報告書から貸付記録を遡及、フジテックの作業着を着た人物に自宅を清掃させている写真など、通常の公開情報から追及するアクティビストの活動を超えた資料を作成し、市場関係者は「まるで探偵のよう」と評する。フジテックは当初「企業統治に問題ない」と主張するも、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズやグラス・ルイスなどの議決権行使助言会社が社長再任反対を推奨し、フジテックは第三者委員会の設置を確約する[14]。2023年2月の臨時株主総会は、直前に引頭麻実取締役が辞任し、総会を欠席した山添茂取締役会議長らは取締役を解任され、会社提案による海部美知らの取締役選任案は否決されたが、三品和広取締役らの解任議案は否決された[15][16]。 東洋製罐の株主総会で、「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD) を踏まえた経営戦略等を記載した計画を年次報告書で開示する旨の定款変更議案を提出するなど、環境アクティビストの側面も見られる[17]。日本は環境・社会・企業統治 (ESGs) に関する株主提案が少ないが、フィッシャーは「気候変動はグローバルな現象であり、提案は日本でも増えてくる」として、今後もESGsに関する株主提案を行う姿勢を示している[18]。 この他、2024年9月時点で熊谷組[19]やライフネット生命保険[20]、北越コーポレーション[21]、クスリのアオキホールディングス[22]、ACSL[23]、日本電気(NEC)[24]、アインホールディングス[25]、花王[26]、小林製薬[27]、パソナグループ[28]、セーレン[29]などの株式も大量保有していることが報じられている。また、過去にはパナホーム(現・パナソニック ホームズ)やファミリーマート、島忠、ココカラファイン(現・ココカラファイングループ)、大正製薬ホールディングス、ツルハホールディングスの株式も保有していたことが明らかとなっている[30][31][32][33]。 脚註
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