オオバタチツボスミレ
オオバタチツボスミレ(大葉立坪菫、学名:Viola langsdorfii subsp. sachalinensis)はスミレ科スミレ属の多年草[6][7][8][9]。日本では知床半島にのみ分布するタカネタチツボスミレ(高嶺立坪菫、学名:V. langsdorfii)を基本種とする亜種[9]。 なお、本亜種について、いがりまさし (2008) および門田裕一 (2016) は、独立種、V. kamtchadalorum W.Becker et Hultén としている[8][10]。 特徴有茎の種。茎は直立し、高さはふつう30-40cmになり、ふつう全体に無毛である。地下茎は太く、分枝し、横に這い、節間は短い。根出葉は少数で、葉柄が長く、長さ10cmほどになるが、花時には枯れて存在しないことがある。茎葉は3-4個あり、葉身は長さ3-7cm、幅4-8cm、円心形、心形から三角状心形で、先端は鈍頭または短くとがり、基部は心形になり、縁には波状の鋸歯がある。葉の質は厚いがやわらかく、表面は濃緑色で葉脈に沿ってわずかにへこみ、裏面は淡緑色になる。葉柄の基部にある托葉は離生し、卵形で、大型で長さ10-20mmになり、縁に低い鋸歯があるかまたは全縁となる。茎の下部には葉がなく、節上に鱗片状の托葉があり、披針形でほとんど全縁。夏時の葉は大型になり、径30cmに達する[6][7][8][9]。 花期は5-8月。花は葉腋から花柄が生じ、花の径は2-3cm、花色は濃紫色から淡青紫色、日本産のスミレ属の中ではもっとも大きい。花弁は長さ15-20mm、5弁すべてに紫色のすじが入り、側弁の基部は有毛。唇弁の距は太く短く、長さ3-5mmになり、先端は嚢状になる。萼片は楕円形から広披針形、反対側の付属体は四角形で、先端は少しへこむ。雄蕊は5個あり、花柱はカマキリの頭形になり、上部は両端が左右に張り出す。染色体数は2n=96[6][7][8][9]。 分布と生育環境日本では、本州(中部地方以北)および北海道に分布し、湿原、湿った草地、海岸草原、湿った夏緑樹林下に生育する[7][8][9]。本州では亜高山の湿原、湿地に生育する[6]。世界では、千島列島、サハリン、カムチャツカ半島に分布する[7][8][9]。 名前の由来和名のオオバタチツボスミレは「大葉立坪菫」の意[6][7]で、葉の大きい「タチツボスミレ」の意味であるが、門田裕一 (2016) は、タチツボスミレの属するタチツボスミレ節 - Sect. Trigonocarpos ではなく、オオバタチツボスミレ節 - Sect. Arction に本種を置く[11]。 種小名(種形容語)langsdorfii, langsdorffii は、「採集家ラングスドルフの」の意味。亜種名 sachalinensis は、「サハリンの」の意味[12]。 保全状況評価準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト) (2019年、環境省) ギャラリー
下位分類
関連項目脚注
参考文献 |
Portal di Ensiklopedia Dunia