オキナワコウバシ
オキナワコウバシ(沖縄香ばし、学名: Lindera communis var. okinawensis)は、クスノキ科クロモジ属の1変種である。別名オキナワヤマコウバシ。常緑亜高木、葉は羽状脈をもち、葉裏は灰白色。雌雄異株であり、花序には短い柄があり、花は小さく黄色。果実は直径約 6 mm、深紅色に熟す。沖縄島と石垣島のみから知られている。中国や台湾に分布するタイワンコウバシの変種とされるが、分類学的に分けないこともある。 特徴常緑亜高木[5][6]。若枝には黄白色の伏毛が散生するが、成長すると無毛になる[5][6][7]。頂芽が形成され、芽鱗は短く瓦重ね状[5]。冬芽から伸びた枝はその年のうちには分枝しないため、分枝基部には芽鱗痕がある[5]。葉は互生し、倒披針状長楕円形、長さ 4–8 cm、幅 2–3 cm、短鋭尖頭、表面(向軸面)は無毛、裏面(背軸面)に初めは脈上に黄白色の伏毛があるが、のちに無毛になり灰白色、葉脈は羽状で側脈は4–5対で裏面に隆起する[5][6][7]。葉柄は長さ 5–6 mm[5]。 花期は1–2月、雌雄異株[5][7]。黄色い花からなる散形花序が腋芽の基部につき、花序柄(花梗)は長さ 2–3 mm(果期には 4–5 mm)で有毛、総苞片は4枚で早落性[5][6][7][8]。花柄は有毛で長さ 2 mm、果時には 4–5 mm になる[5][6]。花は直径約 4 mm、黄白色から黄色、花被片は6枚[8]。雄花に雄しべは9個、葯と花糸はほぼ同長、最内輪の雄しべの基部には2個の腺体がある[8]。雌花には仮雄しべが9個、雌しべは1個、花柱は長さ約 2 mm、子房は楕円形で長さ約 1.5 mm、無毛[8]。果実は卵形から球形、直径約 6 mm、熟すと深紅色になる[5]。 分布日本の固有変種であり、沖縄島および石垣島だけに分布する[5][6][4]。西表島からも1980年代に1度だけ報告されたが、その後見つかっていない[6]。沖縄島では、中部と南部の主として低地の石灰岩地の林縁や林内に生育するが、石垣島では非石灰岩地に生育する[6]。 保全状況評価絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト) もともと自生地と個体数が限られていたが、ゴルフ場や道路の建設によって、自生地の消滅が進んでいる[6]。環境省版レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されている[9]。また、生育地である沖縄県では、準絶滅危惧とされている[6][9]。 分類中国からインドシナ半島、台湾に分布するタイワンコウバシ(Lindera communis)[10]の変種とされる[2][5]。基準変種[注 1](L. communis var. communis)に比べて毛が少なく、花序に柄がある点で区別される[5]。ただし、分類学的に区別しないこともある[1][5]。 脚注注釈出典
参考文献
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