コーシーの定理が最初に示されてから27年後の1872年に、これを素数 p の冪()pn に拡張したシローの定理が証明された。
証明
証明 (McKay 1959): 群 G の位数は素数 p で割り切れるとする。集合 S を次で定める。
このとき、(x1, ..., xp) が S に属すならば、(x2, x3, ..., xp, x1),(xp, x1, x2, ..., xp − 1) も S に属す。写像 f: S → S を、 で定める。f は全単射となる。よって、f は対称群Sym(S) の元であり、互いに素な巡回置換の積で表すことができる。p 個の f を合成してできる写像 fp は恒等写像であり、Sym(S) の単位元であるので、f の表現における各巡回置換の長さは 1 あるいは p である。さらに、f の表現における長さ 1 の巡回置換の個数を s、長さ p の巡回置換の個数をtとすると、 である。なお、s は f の不動点の個数でもある。であるから、|S| は p で割り切れる。ゆえに、s も p で割り切れる。そして、(e, ..., e) は S に属し、 なので、s > 0 であり、p | s より s ≥ p である。ゆえに f は (e, ..., e) 以外にも不動点を持つ。f
の定義より f の不動点は という形で表せる。f の (e, ..., e) 以外の不動点の1つ (x, ..., x) をとる。x ≠ e であり、S の定義より xp = e となる。Q.E.D.