ゴキネズラは、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』をはじめとする「ウルトラシリーズ」や、『レッドマン』に登場する架空の怪獣。別名はプラスチック怪獣。
『帰ってきたウルトラマン』に登場するゴキネズラ
『帰ってきたウルトラマン』第22話「この怪獣は俺が殺る」に登場。
プラスチックを栄養源としており、夢の島の地下に潜伏しながらプラスチックゴミを摂取しているため、傍目にはそれだけが盗み出されているように見えており、地下では後述のウイルスによってプラスチックが分解されて発生するメタンガスが自然発火による火災につながっていた。MAT日本支部の新隊長となる伊吹竜がアメリカから着任するよりも少し前、ゴキネズラの存在をまだ知らない郷秀樹隊員がゴミの山での火災発生に際し、独断でマットジャイロから炭酸ガス消火剤を散布したことで地中への酸素が絶たれたため、地上へ現れて暴れだす。プラスチックを分解するウイルスが体内で共存しており、口から繊維状のプラスチック溶解液[出典 3]を噴射するほか、MATのMSミサイルを牙や手で受け止めて放り投げるなど、反射神経も鋭い。また、接近してきたマットジャイロを捕まえて握り潰すなど、異様に視力も高い[7]。
出撃してきたマットアロー1号2機とマットジャイロを撃墜し、その際にマットジャイロ内の郷が右腕を負傷したことから、彼の変身したウルトラマンジャックも溶解液で苦戦させられてしまう。しかし、伊吹の操縦するマットアロー2号に撹乱されて転倒した結果、自らの溶解液を浴びて身動きが取れなくなったところに撃たれたMSミサイルを咥えてしまい、そこへ撃たれたジャックのスペシウム光線による誘爆で頭が吹き飛んで倒れる。
伊吹いわく、ニューヨークのゴミ処理場にもゴキネズラの同種族が出現しており、アメリカを発つ前に交戦してMSミサイルで撃破したという。
- スーツアクター:遠矢孝信(ノンクレジット)[8][6]
- デザインは末安正博[出典 4][注釈 1]。末安は、円谷プロダクションプロデューサーの末安昌美の実弟であり、本職は円谷プロの営業担当であった[出典 5]。
- 名前はゴキブリとネズミに由来するが、デザイン画では頭部から顔は風化侵食した貝殻、口先はワシやタカの嘴、皮膚はカキ殻、体色は七面鳥カラーといったイメージが書き込まれており、名称とは異なるイメージであった[15][10]。デザイン画では「ザイラス」という仮称で、顔から頭部にかけての貝殻が風化侵食したような感じ、鋭く閉じた状態の口先はワシやタカの嘴を想起させる、カキ殻を並べたような皮膚で、緑色のコケが部分的に生えている、といったデザイン画の書き込みから本来のモチーフとは異なっていた[出典 6]。
- 平成24年度の「日本特撮に関する調査報告書」では、ヘドラやゲスラ、モグネズンと並び、「環境破壊によって生まれた怪獣」として挙げられている[16]。
- メディア・ヴァーグのウェブメディア「マグミクス」では、環境問題の1つであるマイクロプラスチックに絡め、「(本放送当時の1971年に)早くもプラスチック問題を扱った怪獣」として挙げられている[17]。
- 批評家の福嶋亮大には、「物語そのものは公害批判だが、カメラの捉えた夢の島は廃棄物の饗宴の場にも見えてくるため、ある意味では風景こそが最も雄弁なメッセージになった」との旨で評されている[18]。
『ザ☆ウルトラマン』に登場するゴキネズラ
『ザ☆ウルトラマン』第27話「怪獣島浮上!!」に登場。
全身の皮膚は鋼鉄のように硬く、岩石をも溶かす霧状の液体を口から放射する[24]。尻尾の先端は『帰ってきたウルトラマン』の登場個体と異なり、モーニングスター状となっている。
怪獣墓場で眠っていたところを、バラドン星人によってレッドキング、アーストロン、ゴーストロン、アボラス、バニラと共に蘇生させられ、怪獣島内部に収容されたまま地球へ送り込まれる。しかし、怪獣同士が戦うことからバラドン星人には戦力にならないと難色を示され、特にゴキネズラはすべての怪獣と戦ったうえ、レッドキングには返り討ちに遭う。その後、レッドキングと戦闘中のウルトラマンジョーニアスにバニラやアボラスと共に襲いかかるが、3体ともあえなく倒される。
その他
脚注
注釈
- ^ 書籍『大人のウルトラマン大図鑑 第二期ウルトラマンシリーズ編』では、末安昌美と記述されている[12]。
出典
- ^ a b c d 白書 1982, p. 172, 「帰ってきたウルトラマン 怪獣リスト」
- ^ a b c d 画報 上巻 2002, p. 104
- ^ a b ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 37, 「帰ってきたウルトラマン 全怪獣」
- ^ a b c d e 大辞典 2001, p. 132
- ^ a b c 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 49
- ^ a b c d e f キャラクター大全 2015, pp. 60–61, 「EPISODE-22 この怪獣は俺が殺る」
- ^ a b c UPM vol.04 2020, p. 21, 「怪獣、侵略宇宙人、怪人、怪生物」
- ^ 『円谷プロ画報』 第1巻、竹書房、2013年、212頁。ISBN 978-4-8124-9491-2。
- ^ a b c d 宇宙船158 2017, pp. 78–79, 取材・文 鶯谷五郎「70's円谷怪獣リスペクト検証 栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史 [番外編] 追補・新マン怪獣 屈指の異形、その再生と進化」
- ^ a b 豪怪奔放 2021, p. 14, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 帰ってきたウルトラマン」
- ^ a b 『大人のウルトラマン大図鑑 第二期ウルトラマンシリーズ編』マガジンハウス〈MAGAZINE HOUSE MOOK 大人のウルトラシリーズ〉、2014年1月25日、99、107頁。ISBN 978-4-8387-8882-8。
- ^ a b 豪怪奔放 2021, pp. 108–109, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 検証:栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史―ウルトラマン第二期 編― 02 プロデューサー/デザイナーの兼任で熊谷健が開いたウルトラ怪獣の新局面 DESIGNER 熊谷健」
- ^ a b アートワークス 2017, p. 27
- ^ “日本特撮に関する調査報告書”. メディア芸術カレントコンテンツ. 文化庁. p. 105 (2013年5月21日). 2021年6月7日閲覧。
- ^ “特撮から学ぶ「SDGs」!怪獣たちが教えてくれる環境問題 温暖化も公害も重大な人類の敵”. マグミクス (メディア・ヴァーグ). (2022年5月28日). https://magmix.jp/post/85134 2022年11月15日閲覧。
- ^ 福嶋亮大『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』planets、2018年、p.176、ISBN 978-4-90-532512-3
- ^ a b ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 110
- ^ a b 白書2 1987, p. 215, 「ザ☆ウルトラマン 怪獣リスト」
- ^ a b 画報 下巻 2003, p. 24
- ^ a b 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 172
- ^ a b フィギュア王258 2019, pp. 45, 「『ザ☆ウルトラマン』登場怪獣FILE」
- ^ a b UPM vol.32 2021, p. 20, 「大怪獣、巨大生物、侵略者、ヘラー軍」
- ^ @tsuburayaprodの2016年8月20日のツイート、2023年3月8日閲覧。
- ^ @tsuburayaprodの2016年8月8日のツイート、2023年3月8日閲覧。
- ^ @tsuburayaprodの2016年8月22日のツイート、2023年3月8日閲覧。
- ^ @tsuburayaprodの2016年8月25日のツイート、2023年3月8日閲覧。
- ^ 『ウルトラゾーン公式ガイドブック』ミリオン出版、2012年、35頁。ISBN 978-4-8130-2189-6。
出典(リンク)
参考文献
関連項目