この項目では、主に戦前に活躍したブルースマンについて説明しています。Help Meなどで戦後有名になったブルースマンについては「サニー・ボーイ・ウィリアムソンII 」をご覧ください。
サニー・ボーイ・ウィリアムソンI 原語名
Sonny Boy Williamson I 出生名
John Lee Curtis Williamson 別名
オリジナル・サニー・ボーイ 生誕
死没
ジャンル
ブルース 職業
担当楽器
活動期間
1930年代 - 1948年 レーベル
ブルーバード 、RCAビクター 共同作業者
ビッグ・ジョー・ウィリアムズ、ロバート・ナイトホーク[ 1] 、スリーピー・ジョン・エスティス [ 2]
サニー・ボーイ・ウィリアムソンI (1914年 3月30日 - 1948年 6月1日 )は、アメリカ合衆国のブルース・ハーモニカ奏者、歌手である[ 2] 。本名は、ジョン・リー・カーティス・ウィリアムソン。彼は、ブルース・ハープをソロ楽器として使った草分け的存在として知られる。
彼は戦前ブルース・アーティストの多くのレコーディングでプレイした。自己名義の作品としては、1930年代から40年代にかけて最も多くのレコーディングを残したブルース・ミュージシャンの一人であり、シカゴの音楽プロデューサー、レスター・メルローズおよびブルーバード・レコード との結びつきが深かったことでも知られる[ 3] 。有名な楽曲としては「Good Morning, School Girl」などがある。
ウィリアムソンのハーモニカ・スタイルは戦後のパフォーマーたちに大きな影響を与えた。キャリアの後期に彼はマディ・ウォーターズ を含め、南部からシカゴに移住したブルース・ミュージシャンの多くにとって、師たる存在であった。ウィリアムソンの知名度にあやかろうとアレック・"ライス"・ミラー は、1940年代初頭より「サニー・ボーイ・ウィリアムソン」を名乗って演奏活動を行なうようになった。両者を区別するために、最初に活動をしていた方(ジョン・リー・ウィリアムソン)は、サニー・ボーイ・ウィリアムソンI あるいは「オリジナル・サニー・ボーイ」と称されるようになった。
来歴
ウィリアムソンは,1914年 3月30日 、ミシシッピ州 ジャクソン に近いマディソン郡 に生まれた[ 4] 。彼は当初、カントリー・ブルースのスタイルで演奏していたものの、間もなくより都会的なブルースの形式でハーモニカをソロ楽器として押し出すようになった。このことから、彼はしばしば「モダン・ブルース・ハープの父」と称される。彼はまだ10代の頃からヤンク・レイチェル、スリーピー・ジョン・エスティス と組み、テネシー州 、アーカンソー州 で彼らとプレイした[ 2] 。1934年には、彼はシカゴに移住している[ 4] 。
ウィリアムソンは1937年5月5日、「Good Morning, School Girl」(およびB面の「Sugar Mama」)をブルーバード・レコード に吹き込んだ。これが彼にとって初のレコーディングである。この曲はブルースのスタンダード曲として知られるようになった[ 4] 。彼の人気は南部一帯の黒人層に留まらず、デトロイト やシカゴなど中西部の工業都市にも広がっていき、彼はブルース・ハーモニカを代表する存在となった。その他著名な曲としては「Shake The Boogie」、「Better Cut That Out」、「Sloppy Drunk」、「Early In The Morning」、「Stop Breaking Down」、「Hoodoo Hoodoo」(別名「Hoodoo Man Blues」)などがある。
1947年、「Shake The Boogie」はビルボード のレイス・レコード(黒人のレコード)・チャートの4位を記録している[ 4] 。ウィリアムソンのスタイルはビリー・ボーイ・アーノルド、ジュニア・ウェルズ 、サニー・テリー、リトル・ウォルター 、スヌーキー・プライアーなど多くのブルース・ハーモニカ奏者たちに影響を与えている[ 2] 。彼は同世代のブルース・ハーモニカ奏者の中では最も多く聴かれ、影響を与えた存在であった[ 2] 。彼の音楽が与えた影響はハーモニカ奏者に留まらず、1940年代中期に彼と共演したマディ・ウォーターズ や、1946年のギタリストのジミー・ロジャーズ なども影響を受けている。ロジャーズは、1946年にハーレム・レーベルに残した初レコーディングではハーモニカをプレイしており、ウィリアムソン・スタイルを披露していた。彼に影響を受けた多くのブルース、ロックのアーティストたちが彼の曲をカバーし、その知名度を上げることに貢献した。
ウィリアムソンは、そのキャリアの中で主にブルーバード・レーベルにバンドリーダーとして、またサイドマンとしても多くのレコーディングを残した[ 2] 。当初のレコーディングはシカゴ近郊のオーロラ のリーランド・ホテル(リーランド・タワー)にて行なわれた[ 1] 。22階建てのリーランド・ホテルの最上階にあったスカイ・クラブは音響がよかったとも言われ、ビッグ・バンドが白人の聴衆向けに演奏を行なった他、ウィリアムソンを始め、ビッグ・ジョー・ウィリアムズ、ロバート・ナイトホークなど戦前のシカゴを拠点とするブルース・アーティストのレコーディングにも使われていた[ 5] 。
死と彼のレガシー
ウィリアムソンにとって最後のレコーディングとなったのは1947年12月にシカゴで行なわれたビッグ・ジョー・ウィリアムズとのレコーディング・セッションであった[ 6] 。1948年 6月1日 、彼はシカゴのサウスサイドで強盗によって殺害された。その晩、彼は自宅から程近いプランテーション・クラブでのパフォーマンスを終え、徒歩で帰宅途中であった。彼の最後の言葉は「主よご慈悲を」であったと伝えられている[ 7] 。
ウィリアムソンはテネシー州 ジャクソン 郊外のメドンに位置するブレアーズ・チャペル墓地に埋葬された[ 8] 。その後42年間に渡り、彼の墓は小さな目印以外には墓石もない状況で人知れず存在したが、1990年にジャクソン・マディソン郡図書館のマイケル・ベイカーとジュディ・ペネルがウィリアムソンの功績を認識し、幅広く支援を呼びかけたことにより、翌年赤色花崗岩の墓標が建立された[ 8] 。
1980年にウィリアムソンはブルース・ファウンデーションのブルースの殿堂 に入れられている[ 9]
芸名の問題
ウィリアムソンの名前を利用して戦後に人気を博したライス・ミラー の活躍によって、ウィリアムソンの功績は陰に隠れてしまった感がある[ 2] 。1937年から1948年の死去までのウィリアムソンのレコーディングと、その後ライス・ミラーがレコーディングした作品は、当初はどちらも同じ「サニー・ボーイ・ウィリアムソン」の名前でリリースされていた。ミラーは彼こそがオリジナルのサニー・ボーイであると聴衆、そしてレコード会社に信じさせるために、この名前を使用するようになったものと考えられている[ 10] 。両者を区別するために、研究者、ライターらは後になりジョン・リー・ウィリアムソン(1914年-1948年)をサニー・ボーイ・ウィリアムソンI世、そしてミラー(1912年-1965年)をサニー・ボーイ・ウィリアムソンII世と称するようになった[ 11] 。
更なる混乱の元となったのは、1940年頃にジャズのピアニスト、歌手のエノック・ウィリアムズがサニー・ボーイ・ウィリアムズ(Sonny Boy Williams )名義でデッカ にレコーディングを行なっていることだ。彼は更に1947年にはサニー・ウィリアムズ・トリオ(Sunny Williams Trio )のサニー・ウィリアムズとしてもレコードを出している[ 12] [ 13] 。
ディスコグラフィー
シングル(SP盤)
年
A面
B面
レーベル
1937年
「Skinny Woman」
「Got The Bottle Up And Gone」
Bluebird B-7012
1937年
「Good Morning, School Girl」
「Sugar Mama」
Bluebird B-7059
1938年
「Worried Me Blues」
「Frigidaire Blues」
Bluebird B-7404
1938年
「Suzanna Blues」
「Black Gal Blues」
Bluebird B-7352
1938年
「Up The Country Blues」
「Collector Man Blues」
Bluebird B-7428
1938年
「Sunny Land」
「My Little Cornelius」
Bluebird B-7500
1938年
「Miss Louisa Blues」
「Until My Love Come Down」
Bluebird B-7576
1938年
「Decoration Day Blues」
「Down South」
Bluebird B-7665
1938年
「Honey Bee Blues」
「Whiskey Head Blues」
Bluebird B-7707
1938年
「Lord, Oh Lord Blues」
「Shannon Street Blues」
Bluebird B-7847
1939年
「Susie-Q」
「Goodbye Red」
Bluebird B-7995
1939年
「Doggin' My Love Around」
「Little Low Woman Blues」
Bluebird B-8307
1940年
「Good Gravy」
「T. B. Blues」
Bluebird B-8333
1940年
「Something Going On Wrong」
「Good Gal Blues」
Bluebird B-8357
1940年
「I'm Not Pleasing You」
「New Ailhouse Blues」
Bluebird B-8383
1940年
「Joe Louis & John Henry Blues」
「Thinking My Blues Away」
Bluebird B-8403
1940年
「Tell Me Baby」
「Honey Bee Blues」
Bluebird B-8474
1940年
「I've Been Dealing With the Devil」
「War Time Blues」
Bluebird B-8580
1941年
「Welfare Store Blues」
「Train Fare Blues」
Bluebird B-8610
1941年
「Jivin' The Blues」
「My Little Machine」
Bluebird B-8674
1941年
「Western Union Man」
「Shotgun Blues」
Bluebird B-8731
1941年
「My Baby Made A Change」
「Big Apple Blues」
Bluebird B-8766
1941年
「Coal And Iceman Blues」
「Mattie Mae Blues」
Bluebird B-8797
1941年
「You Got To Step Back」
「Sloppy Drunk Blues」
Bluebird B-8822
1941年
「I'm Gonna Catch You Soon」
「Million Years Blues」
Bluebird B-8866
1942年
「Shady Grove Blues」
「She Was a Dreamer」
Bluebird B-8914
1942年
「Springtime Blues」
「Drink On Little Girl」
Bluebird B-8955
1942年
「I Have Got to Go」
「My Black Name Blues」
Bluebird B-8992
1942年
「Ground-Hog Blues」
「Broken Heart Blues」
Bluebird B-9031
1942年
「She Don't Love Me That Way」
「Black Panter Blues」
Bluebird 34-0701
1944年
「Decoration Day Blues No. 2」
「Love Me, Baby」
Bluebird 34-0713
1945年
「Win The War Blues」
「Check Up On My Baby」
Bluebird 34-0722
1945年
「Miss Stella Brown-Blues」
「Desperado Woman」
Bluebird 34-0736
1946年
「Sonny Boy's Jump」
「Elevator Woman」
Bluebird 34-0744
1946年
「You're An Old Lady」
「Early In The Morning」
RCA Victor 20-1875
1946年
「Shake the Boogie」
「Mean Old Highway」
RCA Victor 20-2056
1947年
「Hoodo Hoodo」
「Sonny Boy's Cold Chills」
RCA Victor 20-2184
1947年
「Mellow Chick Blues」
「G. M. & O. Blues」
RCA Victor 20-2369
1947年
「Lacey Belle」
「Polly Put the Kettle On」
RCA Victor 20-2521
1948年
「Sugar Gal」
「Willow Tree Blues」
RCA Victor 20-2623
1948年
「All of Me」(Louis Prima And His Orchestra)
「Rub A Dub」
RCA Victor DJ-540
1948年
「Alcohol Blues」
「Apple Tree Swing」
RCA Victor 20-2893
1948年
「Rub A Dub」
「Stop Breaking Down」
RCA Victor 20-3047
1948年
「Better Cut That Out」
「The Big Boat」
RCA Victor 20-3218
1949年
「Wonderful Time」
「Blues About My Baby」
RCA Victor 22-0001
1949年
「Bring Another Half A Pint」
「Little Girl」
RCA Victor 22-0021
1949年
「Southern Dream」
「I Love You For Myself」
RCA Victor 22-0046
[ 14] [ 15]
コンピレーション・アルバム
[ 14]
1964年『Big Bill & Sonny Boy』(RCA) ※ウィリアムソンはサイド2に収録
1970年『Bluebird Blues』 (RCA)
1988年『Rare Sonny Boy (1937-1947)』 (RCA)
1991年『Complete Recorded Works In Chronological Order, Vol. 1 - 5』 (Document)
1992年『Vol. 1 1937-1939』 (Blues Collection)
1993年『Vol. 2 1940-1942』 (Blues Collection)
1994年『Sonny Boy Williamson』 (Wolf/BoB)
1995年『Sugar Mama - The Essential Recordings Of Sonny Boy Williamson』 (Indigo)
1997年『RCA Blues & Heritage Series: The Bluebird Recordings, 1937-1938』 (RCA)
1997年『RCA Blues & Heritage Series: The Bluebird Recordings, 1938』 (RCA)
1998年『Vol. 3 1944-1947』 (Blues Collection)
2003年『When The Sun Goes Down: The Secret History of Rock & Roll, Vol. 8: Bluebird Blues』 (RCA Victor)
脚注
外部リンク