「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」 (The Things That I Used to Do)は、ギター・スリムによって作詞・作曲されたブルースのスタンダード曲である。若きレイ・チャールズが編曲とセッションのプロデュースを担当し、スリムはこの曲をニューオーリンズでレコーディングした。
ロックの殿堂は、この曲を「ロックンロールを形作った500曲」のリストの中にこの曲を含めている[6]。スタイル的にはこの曲はソウルミュージックの発展にも寄与している[7]。更にこの曲は、白人リスナー層に訴求する要素を取り入れ、かつゴスペル・フィーリングを生かすことにより商業的な成功を収めた。このことがロックンロールに影響を及ぼすに至っている[4]。この曲はロックのエレクトリックなサウンドに大きな影響を与え、ジミ・ヘンドリックスの10年も前にエレクトリック・ギターにディストーションを効かせることにより厚みのある音を実現している[3]。ギター・スリムはヘンドリックスのお気に入りのひとりであり、1969年に彼はこの曲の即興バージョンをジョニー・ウィンターがスライド・ギターを担当してレコーディングしている[8]。そのレコーディングは編集盤『Both Sides of the Sky』(2018年)で公式にリリースとなった[8]。
「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」は、ギター・スリムの特徴的なギターのスタイルと上下するメロディーにより、スタンダード曲となった[9]。ブルース歴史家のジェラルド・ハーツァフトは、この曲について「ニューオーリンズ・ブルースの名曲として定着し、ピー・ウィー・クレイトン、ティナ・ターナー、ロニー・ブルックス、ビッグ・ジョー・ターナーらによってカヴァーされている」と記述している[10]。1964年にはジェームス・ブラウンのバージョンがBillboard Hot 100の99位に食い込んでいる(当時同誌のR&Bチャートは休止されている)[11]。
^ ab
Gillett, Charlie (1996). The Sound of the City: The Rise of Rock and Roll (2nd ed.). New York City: Da Capo Press. pp. 139–140, 170. ISBN0-306-80683-5
^
Unterberger, Richie (1996). “Louisiana Blues”. In Erlewine, Michael (ed.). All Music Guide to the Blues. San Francisco: Miller Freeman Books. pp. 360–361. ISBN0-87930-424-3.
^ ab
McDermott, John (2018). Both Sides of the Sky (Album notes). Jimi Hendrix. New York City: Legacy Recordings. pp. 13–14. 19075814192.
^
Herzhaft, Gerard (1992). “Things That I Used to Do”. Encyclopedia of the Blues. Fayetteville, Arkansas: University of Arkansas Press. pp. 474–475. ISBN1-55728-252-8.
^Whitburn, Joel (1988). “James Brown”. Top R&B Singles 1942–1988. Menomonee Falls, Wisconsin: Record Research. p. 59. ISBN0-89820-068-7