ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ
『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』(The United States vs. Billie Holiday)は2021年のアメリカ合衆国の伝記映画。監督はリー・ダニエルズ、主演はアンドラ・デイが務めた。本作はヨハン・ハリが2015年に発表したノンフィクション『麻薬と人間 100年の物語』を原作とし、黒人ジャズ・シンガーであるビリー・ホリデイの人生を映画化した伝記ドラマ[3]。 ストーリー1940年代、ビリー・ホリデイが歌う『奇妙な果実』は黒人差別の悲惨さを人々に知らしめ、公民権運動に大きな影響を与えていた。ホリデイはジャズ・シンガーとしてスターダムにのし上がったかに見えたが、その裏では恋人からの暴力に苦しみ、酒や麻薬を手放せない日々を送っていた。 しばらくして、『奇妙な果実』の力を危惧した当局は歌唱の妨害を試みたが、どうやっても上手くいかなかった。ところが、時の連邦麻薬局の長官、ハリー・J・アンスリンガーの介入で事態は急転することになった。アンスリンガーは麻薬の使用・所持を法律で禁止し、さらには厳罰化するキャンペーンに力を注いでいたが、それは自らの権力欲を満たすためであり、国民の健康増進や治安向上を願ってのことではなかった。アンスリンガーは「黒人の歌手が麻薬に手を出している」というイメージを宣伝し、人々の差別意識をも利用しようとしていた。そんな彼が目を付けたのがホリデイであった。 アンスリンガーは黒人捜査官、ジミー・フレッチャーをホリデイの元に送り込み、彼女に関する情報を一通り集めさせた。そうした諜報活動の結果、ホリデイはヘロインの使用で逮捕され、そのまま服役することになった。1年後、出所したホリデイは歌手活動を再開したが、アンスリンガーは彼女を再起不能になるまで追い込むつもりでいた。だが、ここで予期せぬ事態が起こる。 キャスト
製作2019年9月17日、リー・ダニエルズ監督の新作映画にアンドラ・デイ、トレヴァンテ・ローズ、ギャレット・ヘドランド、ナターシャ・リオンが出演することになったと報じられた[4]。9月25日、エヴァン・ロス、デイナ・グーリエ、エリック・ラレイ・ハーヴェイの起用が発表された[5]。10月2日、メルヴィン・グレッグとミス・ローレンスがキャスト入りした[6]。 なお、ダニエルズ監督は当初、女優としての経験がないに等しいデイの起用に難色を示していた。しかし、周囲からの強い勧めもあり、取り敢えずデイと会うことにした。直接話をした監督は「デイには十分な魅力があり、ビリー・ホリデイの精神をその身に宿している」と感じ、彼女に演技のレッスンを受けるよう勧めた。それからしばらくして、コーチから監督の下にデイの演技を収めた30秒の映像が送られてきた。その映像を見た監督は「ここに映っているのはビリー・ホリデイを演じるアンドラ・デイではない。ホリデイ本人だ」と感動し、正式なオーディションを経てデイの起用を決断したのだという[7]。 撮影・音楽2019年10月、本作の主要撮影がカナダのモントリオールで始まった[4]。17日、クリストファー・ガニングが本作で使用される楽曲を手がけるとの報道があった[8]。後にガニングが降板したため、その後任はマーク・アイシャム→クリス・バワーズと代わっていった[9][10]。2021年1月11日にはデイが歌う劇中歌「All of Me」が[11]、26日には主題歌「Tigress & Tweed」がシングルとして発売された[12]。2月19日、ワーナー・レコードが本作のサウンドトラックを発売した[13]。 公開・マーケティング2020年7月1日、パラマウント映画が本作の全米配給権を獲得したと報じられた[14]。11月5日、本作の劇中写真が初めて公開された[15]。12月24日、新型コロナウイルスの流行が一向に収束しない状況を受け、パラマウント映画は本作の全米配給権をHuluに売却した[16]。2021年1月12日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[17]。当初、本作の全米公開日は2021年2月12日に設定されていたが、後に公開日は同月26日に延期された[18][19]。さらには公開形態も劇場公開からインターネットでの配信に切り替わった。 評価本作に対する批評家の評価は平凡なものに留まっている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには117件のレビューがあり、批評家支持率は57%、平均点は10点満点で5.4点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』は主題を十分に活かしきれていない。しかし、アンドラ・デイの名演のお陰で、そうした欠点は相殺されている。」となっている[20]。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は53/100となっている[21]。 受賞・ノミネート
出典
関連作品
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