シムカ・アロンド
![]() シムカ・アロンド(Simca Aronde )は、フランスの自動車メーカー、シムカが1951年から1964年まで生産した小型乗用車である。 概要イタリア車・フィアットのライセンス生産メーカーとして運営されてきたシムカ初の独自設計モデルで、エンジンのみをフィアットの強化改良型としながら、本家フィアットに先んじて開発された戦後型車である。中期以降のモデルには、後発の戦後型フィアット・1100の影響も見て取れる。 1951年から1955年までの9、1955年から1958年の90Aそして最終型のP60に区分されるが、1964年に1300/1500に世代交代するまでに140万台が生産され、シムカをフランス第4位の自動車メーカーの座に定着させた。 1951年登場の9は1,221 ccの44.5馬力エンジンを搭載、4ドアセダン、3ドアワゴン、ファセル製2ドアクーペがあった。クーペは間もなく、自社製ボディーの2ドアハードトップ、「グラン・ラルジュ」(Grand Large )に置き換えられた。 アロンドは前輪独立懸架やモノコックボディなど、完全な戦後型設計でありながら後輪駆動(FR)のオーソドックスな設計で、当時のフランス[注釈 1]では却ってその時流に合って常識的なところがユーザーの心を掴み、1953年までに6万台を売る成功作となった。性能も当時の平均以上の水準にあり、当時の英国自動車雑誌・「ザ・モーター」によると、初期型の動力性能は最高速度118.9 km/h、0 - 60マイル/h(0 - 96 km/h)加速30.2秒であった。 1955年10月には90Aに発展、ボディ前後のデザインが変更され、1,290 ccのいわゆる「Flash」エンジンが搭載され、「ザ・モーター」のロードテストでは、最高速度は132.9 km/h、0 - 60マイル/h加速23.9秒を記録し、大幅に性能を向上させた。また、「エリゼー(Elysée)」や「モンレリー(Montlhéry)」といった豪華版も投入され、当時のフランス車としては異例のワイドバリエーション化を進めた。1957年1月には累計生産50万台を突破、10月には専用ボディの2ドアコンバーチブル「オセアーヌ」(Océane )、ハードトップクーペの「プラン・シエル」(Plein Ciel )が登場した。 1958年9月にはP60となり、車体デザインを大幅にモダナイズ、新しくクーペ版「モナコ」(Monaco )、1,090 ccエンジンの廉価版「エトワール」(Etoile )が追加された。クランクシャフトは5ベアリング化され、新たに「Rush」エンジンと呼ばれることとなり、70馬力の高性能版「Rush Super」も1961年に投入され、「モンレリー」と「モナコ」の「スペシアル」(Speciale )に搭載された。 アロンドはアメリカ合衆国を含む世界各国にも輸出され、当時の日本へも、国際興業や日本交通系の自動車ディーラーであったキングレーモータースを通じて輸入された。 脚注注釈出典参考文献 |
Portal di Ensiklopedia Dunia