スヌーピー
スヌーピー(英: Snoopy)はアメリカの漫画家、チャールズ・モンロー・シュルツが1950年から書き始めた漫画『ピーナッツ』に登場するオスのビーグル犬であり、作品の主人公チャーリー・ブラウン少年の飼い犬。モデルとなったのは原作者のシュルツが13歳のときに飼っていたビーグルとの雑種の犬であり、趣味は変装、スポーツ、小説の執筆など多岐にわたる。 生まれた場所はデイジーヒル子犬園で、8匹兄弟の1匹。誕生秘話を語るアニメ作品もある[1]。漫画への初登場は、連載開始から2日後の1950年10月4日のことである。現在でこそ「かわいいキャラクター」として定着しているが、初期は完全な犬の姿をしていた。その後時代が進むに従って姿を変えていき、現在に至る。 世界的に知られるキャラクターであり、その愛らしい風貌から日本国内でも人気が高く、日本においては、スヌーピーという名前自体が漫画『ピーナッツ』を指す代名詞となっている。漫画の名前自体が「スヌーピー」であると勘違いするケースや、スヌーピーが主人公だと誤解されているケースも多々見受けられる。本当の主人公はチャーリー・ブラウンである。 キャラクター概要チャーリー・ブラウンの飼い犬である。お互いの絆は強いのだが、いつまでたってもチャーリーの名前を覚えず「丸頭の男の子(round-headed kid)」と呼んでいる。また、チャーリーに飼われ始めてからしばらくは自分がチャーリーの主人だと思っていた。 チャーリーがスヌーピーの飼い主となる前には、ライラという少女によって飼われていた。しかし、引っ越し先のマンションがペット禁止のため[注釈 1]飼えなくなってしまい、いったん生まれ故郷のデイジーヒル子犬園へと戻されていた。チャーリーがスヌーピーを飼うことになった経緯は漫画『ピーナッツ』によると以下の通りである。あるとき幼いチャーリーが砂場で遊んでいると、隣にいた見知らぬ子供に頭からバケツいっぱいの砂を浴びせかけられた。彼は泣き出し、母親が慌てて家へと連れ帰った。翌日チャーリーの両親は彼を車でデイジーヒル子犬園へと連れてゆき1匹の仔犬を買い与えた、というものである。 アニメ版では、両親が仕事で忙しく、学校から家に帰っても妹のサリーしかいないという状況にとても寂しくなってしまったチャーリーは「家に帰ったら必ず自分を出迎えてくれる犬が欲しい」と思っていた。同時期にライラがスヌーピーを子犬園へ戻し、園長が再び子犬を特売するという新聞記事を掲載した。その新聞記事をチャーリーが発見し、ライナスと一緒に5ドルで引きとった[1]ことになっている。 原作漫画ではスヌーピーが8月10日と8月28日と2回の誕生日を迎えているため[注釈 2]、どちらが公式の誕生日なのかはっきりしなかった。後に2011年6月1日付のソニー・クリエイティブプロダクツ発行のプレスリリース[2]及び同年7月4日付の日本のスヌーピー公式サイト(下記リンクを参照のこと)発行のメールマガジン111号にて、誕生日は8月10日とする公式見解を発表した。これに伴い、同サイトでは、スヌーピーのバースデー特設サイトをオープンさせた[3]。また、2015年に日本記念日協会に「スヌーピーの日」と認定された[4]。 性格・特徴ナルシストでもあり、「水皿の水にぼくのかおがうつっている。ぼくはのどが渇いているけど、この水をのみほせばぼくのかおは見られなくなる。ならぼくを見ているほうがいいや」といった発言もある。束縛を嫌い、自由と孤独を愛する。 食べ物の好みについては、ドッグフードはもちろんのこと、チョコチップクッキーやピザ、アイスクリーム、ルートビアなども好物として挙げられる。コーラも飲んでいるらしく、段ボール2箱以上ビンがたまっている。しかし、大好物である筈のチョコチップクッキーや、アーモンドクッキーのような「食べ物が中に入っている食べ物」は嫌いだと言っていたこともあった。彼は犬歯をはじめとした犬の歯並びをしておらず、人間と同じ歯並びをしているのが、「いたずらスヌーピー」の作中でにんまり笑った際に確認できる(かなりキレイな歯並びをしている)。 ウッドストックが大親友であり、彼の言葉を理解できるキャラクターである。他にウッドストックの言葉を理解できるキャラクターは兄弟のスパイクなどいるが、ウッドストックの仲間たちとコミュニケーションや区別ができるのはスヌーピーだけである。スヌーピーのお腹の上で寝たり、アイスホッケーで遊ぶなど仲良しコンビである。母の日にはいっしょに空を眺めそれぞれの母親を想ったりする。 猟犬であるにもかかわらずウサギが大好きであり、弁護士の変装をしてピーターラビットと思われるウサギの弁護を行ったり、ウサギ達もスヌーピーが病院に入院すると見舞いに行くほどである。 苦手なものは隣に住む猫(名前はWW2、すなわち「第二次世界大戦」。シュルツは第二次世界大戦に従軍している)やココナッツ(作者自身が苦手だった。スヌーピーに限らず、『ピーナッツ』の登場人物の多くがココナッツを嫌う描写がある)、ビーツなど。フリーダの飼い猫・ファーロンとも仲が悪い。閉所恐怖症なので犬小屋の屋根の上で眠る。作者いわく、眠っていても屋根から落ちないのは「渡り鳥の足と同じで、耳の筋肉が収縮して屋根につかまって落ちないようにしているから」らしい。 視力が悪く普段はコンタクトレンズを着けている[5]。後悔していることは髭を生やさなかったことなど。恋多き性格で、何度か結婚寸前まで話が進んだこともあるがいずれも破局。結婚式の直前に媒酌人を頼んだ兄のスパイクに婚約者を奪われたこともあり、そのこともあってかガールハントの対象は人間の女の子になってしまった。お腹回りが突き出していてメタボ体型のように見えるが、運動神経抜群で漫画の中ではさまざまなスポーツに挑戦している。チャーリー・ブラウンの野球チームでも不動のショート(野球チームにおいて、日本では「エースで4番」という言葉があるように、チームで一番上手な者がピッチャーを務めることが多いが、アメリカではチームで一番上手な者がショートを務める場合が多い)。冬の時期はアイスホッケーにいそしみ、1980年頃からスケートリンクの製氷車、ザンボーニの運転を始め、1991年には「世界一のザンボーニ・ドライバー」としてザンボニー社から表彰されている。さらに耳を回転させることにより、ヘリコプターのように飛行することが可能。背が描かれることが比較的少ないため分かりにくいが、成犬になってからは背中に大きな黒斑がある(よく見ると横向きの場合にも、背中の中心が黒く塗られていることがわかる)。 ルーシー、ペパーミント・パティ、マーシーと言った女の子に対して、挨拶代わりや落ち込んでいるとき等の慰めとして、キスをすることがしばしばある。ただし、稀にチャーリーにもキスをすることがある。 作品内での扱い初登場は1950年10月4日。シュルツはこのキャラクターに当初、Sniffyという名前を考えていたが、他の漫画作品ですでに使用されていたことから、自身の母親が亡くなる少し前に「次に犬を飼うときはスヌーピーという名にしよう」と発言していたことをヒントに、snoop(こそこそ嗅ぎ回る・こそこそ覗き回る・詮索する)に因んでSnoopy(スヌーピー)と名付けた経緯がある。 連載当初は普通のビーグル犬だったが、回が進むごとに知的になっていった。吠える描写はあるものの、人間の言葉は喋れないという設定だが、1952年5月27日には、頭の中で考えていることが吹き出しのセリフとして描かれるようになる。1957年6月28日にはチャーリー・ブラウンから直立二足歩行を教わり、その後二足歩行で歩き回るようになってからはお腹周りがぽっこりと出るようになり、前脚は四足歩行時に比べて小さく描かれ、人間の手と同じように物を持てるようになった。バスの運転も熟せる。更には、足を伸ばして地面に座り、耳を上に上げて回転させ、後ろ足にヘルメットを被ったウッドストックを乗せて、ヘリコプターのように空を飛ぶこともできるようになり、そしてついには著作活動を始め、弁護士や医者、果ては戦闘機の操縦士といった変装と妄想をするようにもなった。 スヌーピーの吹き出しによるセリフは、実際に喋っているものではないが、飼い主のチャーリー・ブラウン、そして、まれにライナスにはスヌーピーの考えていることが通じていると思われる描写もある(なお作者は「実際の言葉」と「頭の中で考えていること」を吹き出しの下部の形で区別する手法を取っている)。また、空想の中ではフランス語を巧みに操り、フランス語の素養のあるマーシーをルートビア片手に誘う描写も多い。 犬小屋彼の住んでいる犬小屋は、外見では想像できないほど広い。スヌーピーやチャーリー・ブラウンの話では地下室に繋がる階段があり、地下室の玄関ホールにはカーペットが敷いてあり、観葉植物が置かれていたりテレビやエアコン、さらには卓球台やビリヤード台までもが設置してあるという。しかもいくつかの部屋に区切られており、図書室などもある。ライナスが逃げ込んだりテレビを見ていたりすることもある。かつてはゴッホの絵が飾られており(1966年9月19日の火事で焼失)、現在はワイエスの絵が飾られている。時々チャーリー・ブラウンやライナス、シュローダーが彼の家の大掃除を手伝う。 犬小屋は、スヌーピーが隣の猫をからかうたびに頻繁に破壊され、飛行機や、また後述のレッド・バロンのエピソードでは戦闘機となり、撃たれて穴が空いたり煙を吹き上げたりする。 初期は斜めから見たアングルでも描かれていたが(焼失した際にも周囲を巡る話がある)、次第に横から見た図しか描かれなくなった。作者によれば、犬小屋も横からしか描かなければ、読者もスヌーピーの「なりきり」(例えば、飛行士に扮したスヌーピーにとっては、単なる犬小屋も戦闘機である)により感情移入できるのではないかと考えたからだという。地下室のネタもこの頃から始まっている。 犬小屋を作ったのはチャーリー・ブラウンだが、彼の不器用さにスヌーピーが蹴りを入れて直したエピソードがある。 裏には枯れ木があり、ウッドストックが断り状を枝に刺してファイルしている。 ごはん皿・水皿スヌーピーはさまざまな色の皿を持っているが、通常は赤い皿をごはん皿、黄色い皿を水皿として使用している。しかし、皿の種類を区別できていない(これはかつて犬が色盲と思われていたことが原因と思われる)。皿の直径は10.25cm(皿を5280回廻ると1マイルということから)。皿は虫達の競技大会のスタジアムとして使用されることもある。冬には皿に乗って、ソリ遊びのようにして楽しむ。 ごはん皿はスヌーピーにとって重要なアイテムである。旅に出かける際にも、ごはん皿を帽子のように被りどこにでも持ち歩く。しかし、食いしん坊のスヌーピーはドッグフードを食べる際に皿を嘗め回すので、すぐに皿の底に穴を開けてしまう。その消費量はすさまじく、これ以上皿を買い換えるならばチャーリー・ブラウンの父親の理髪店を畳まなければならなくなると言われたほどである。 水皿は犬小屋並みにミステリアスである。この水皿では釣りをすることもできるし、さらにはホエールウォッチングをすることもできる。また、水皿に頭を突っ込むことがスヌーピーにとって最高のリラックス法である。 今まで使用していたごはん皿、水皿は全て写真に撮りアルバムに収め、ときどき眺めては昔を思い出している。 スヌーピーの変装スヌーピーは知的なキャラクターとなるに従って、多くの仮装をするようになった。その数は140を超えるといわれる。なお、変装の多くは「世界的に有名な…」(The world famous...)という肩書きで始まるものが多い。
スヌーピーの兄弟・姉妹・家族
スヌーピーミュージアム![]() スヌーピーミュージアム (SNOOPY MUSEUM TOKYO) は、アメリカ・カリフォルニア州にある「チャールズ M. シュルツ美術館」の世界で唯一となるサテライトミュージアム。ソニー・クリエイティブプロダクツが運営。東京都港区六本木において2016年4月23日〜2018年9月24日まで期間限定開館した[12][13][14]後、2019年12月14日には東京都町田市鶴間の南町田グランベリーパーク駅前の再開発エリア「南町田グランベリーパーク」内に移転し、リニューアル開館している[13][14][15]。 →詳細は「スヌーピーミュージアム」を参照
スヌーピーと宇宙開発
その他
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク |
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