タタールスタンの首長
タタールスタンの首長(ライス)(タタールスタンのしゅちょう(ライス)、タタール語: Татарстан Республикасы Рәисе[1]、ロシア語: Глава (Раис) Республики Татарстан[2])は、ロシア連邦内タタールスタン共和国における政府の最高位の官職。タタール語の名称およびロシア語の別名として用いられているライス(Rais)とはアラビア語で「指導者」「大統領[注 1]」という意味である[3]。 概要任期は5年。2022年の憲法改正により再選上限が撤廃され、タタール語およびロシア語話者以外であっても立候補が可能になった[4]。 1991年から2022年まではタタールスタン共和国大統領(ロシア語: Президент Республики Татарстан、タタール語: Татарстан Республикасы Президенты)と呼称されていた。2010年にロシアの共和国の元首格を「大統領」と呼称することを禁止する法律が成立し、移行期限の2015年までに他の20共和国は呼称を首長へ随時変更していたが、タタールスタンは2023年2月まで大統領と称し続けた[5]。ロシア政府が中央集権化を進めていく中で唯一「大統領」を名乗り続けたタタールスタンは、ロシア連邦主義の最後の象徴とみなされていた[6]。 歴史ロシア連邦を構成する21の共和国では元首格の役職名として大統領ではなく首長という呼称を使用することが2010年9月13日に提案され[7]、2010年末に可決された[5]。移行期間は5年間とされ、中にはバシコルトスタン共和国のように期限の2015年1月1日まで変更しなかった共和国もあったが、タタールスタンは改憲の動きを見せつつも最後まで何も変更しなかった[5]。下院はタタールスタンに1年間の猶予を追加で与えることを決定したが、タタールスタンは呼称変更には否定的な態度を取り続けた[5]。2015年12月17日、ウラジーミル・プーチン大統領は記者会見で「タタール人の選択を尊重する」と述べ、タタールスタンに即時変更を求めない姿勢を示した[5][8]。そのためタタールスタンは2020年の首長選挙後も大統領を名乗り続けた。 2021年ロシア下院選挙の後、ロシア連邦議会国家院(下院)に「連邦構成体首長の称号の統一」を目的とした法案が提出された[8]。同法案はタタールスタンを狙い撃ちしたものと受け取られ、タタールスタン共和国の議会にあたる国務院は反対した[9]。しかし法案は2021年11月に下院で可決され[10]、連邦院(上院)を経て12月15日にプーチン大統領が署名した[11]。2022年6月1日に法案が施行され、タタールスタン政府は2023年までに憲法を改正する方針を発表した[12]。 2022年12月23日、共和国国務院は大統領に代わる新たな役職名を、アラビア語で「指導者」「首長」を意味するライス(露: Раис)を付け加えた Глава — Раис Республики Татарстан に決定した[6][13]。現職のミンニハノフには、任期満了を迎える2025年9月まで「大統領」を保持する移行措置が執られることになった[14]。だが憲法改正を急ぐ国務院は2023年1月26日に突如移行措置の破棄を決定した。同日、ミンニハノフは憲法改正案に署名した[15]。 2023年2月6日、新憲法の施行により役職名が首長(ライス)に変更された[16]。 歴代首長一覧本項ではタタールスタン共和国の前身にあたるタタール自治ソビエト社会主義共和国における最高職も含めている。 ソ連時代事実上の首長
法令上の首長
ロシア連邦時代
脚注注釈出典
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