テキサス・レンジャー![]() テキサス・レンジャー(英語: The Texas Ranger)は、米国テキサス州公安局 (Texas Department of Public Safety) に属する法執行官。アメリカ最古の州法執行機関であり[1]、ハイウェイパトロール (Texas Highway Patrol) とともに、州公安局の中核を担っている[2]。 メジャーリーグのチーム「テキサス・レンジャーズ」は本隊にちなんで命名されたものである。 歴史1821年、スティーブン・オースティンはメキシコ領テキサスへの入植の認可を得て、まず300家族が移民した[3]。入植地の拡大に伴って、アメリカ先住民族の襲撃に対抗するための自警団が必要になったことから、1823年、オースティンは10人の志願者を募り、騎馬による警邏隊を組織した。当時、地域内を巡回するという意味の"range"からの派生語として、騎馬パトロール隊員が"ranger"と呼ばれていた[2]。 1835年にテキサス革命が勃発すると、暫定政府は3個中隊からなるレンジャー部隊を設置した。これは軍の指揮下で国境警備にあたる騎兵部隊だったが、テキサス共和国成立後、更にはテキサス併合後も存続し、次第に州内全域の一般警察活動も所掌するようになっていった[1]。 20世紀に入ると、モータリゼーションの進展とともに街道上の治安維持が問題になり、全米でハイウェイ・パトロールの発足が相次いでおり、テキサス州でも1929年に設置されていた。そして1935年に州公安局が設置され、テキサス・レンジャーは、ハイウェイ・パトロールとともにその傘下に入った[2]。 編制組織もともと、州公安局の各部門はそれぞれ別々に出先機関を設ける縦割り方式をとっていたが、1957年の再編の際に6つの地区ごとに分ける横割り方式が採用された。これにあわせて、テキサス・レンジャーも6個中隊に再編され、地区司令部と同じ管轄区域が割り振られた[2]。しかし地区司令部の指揮下にあるわけではなく、運用担当副局長と調整はするものの、公安局長の直轄下にある[4]。 現在、テキサス・レンジャー部は人員222名(レンジャー162名と一般職員60名)を擁している[5]。上記の6個地区中隊のほかに特殊作戦群(SOG)が設置されており、SWAT部隊や爆発物処理班、国境警備のための偵察部隊などが編成されている[6]。 人材レンジャーに就任するには8年以上の法執行官としてのキャリアと 2 年以上のテキサス公安局における職歴等の資格要件がある。つまり仲間内からしか新しいレンジャーは生まれない。平均年齢も44歳となっている[7]。 歴史と伝統に基づく誇りを大切にし、現在でも新任のレンジャーはブーツ、白のカウボーイハット、ピストルベルトを前任者より引継ぐ。発足当時より、僅かな日当以外、馬や銃などの装備類はすべて自分持ちであったことから、現在でも制服はない[注 1][8]。日常業務時には胸にバッジを付け、ブーツを着用することになっている。一般に武装は .45口径のM1911A1または .357口径リボルバーであるが、未だにコルトSAAを携行するレンジャーもいる。 その伝統から白人のみの組織と思われがちだが、特に現在では黒人やヒスパニックなど白人以外の人種も受け入れている。 その他
「影」の部分正義のヒーローとして数々の武勇伝に飾られたテキサス・レンジャーであるが、その「正義」とは専らアングロサクソン系アメリカ人の視点からのものであって、先住民であるインディアンや、国境を接するメキシコ人達にとっては全くの「不正義」といえるものであった。とりわけメキシコ人に対しては「文明的に劣っている」と信じていたため、法執行官という権力を持つ者が行った悪辣な暴虐の類は目を覆うものが数多い[9]。インディアンにいたっては後年、キリスト教徒でないという理由だけで人間として扱うことすらなかった。
テキサス・レンジャーの登場する作品
脚注注釈出典
参考文献
関連項目外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia