デインヒル (英語: Danehill) とはアメリカ産の競走馬(サラブレッド)、種牡馬である。競走馬としては短距離戦で実績を残したが、種牡馬としては距離を問わず多数の活躍馬を輩出して大成功を収めた。さらに後継種牡馬も育っており、世界中でデインヒル系が形成されつつある。北半球と南半球を渡るシャトルサイアーの先駆であり、世界でも勢いのある系統の祖であるといえる。2003年に放牧中に転倒し死亡した。
現役時代
現役時代はイギリス、フランス、アイルランドで走り9戦4勝の成績を収めた。G1競走の勝利は1989年に開催されたスプリントカップの1勝のみ。クラシックは2000ギニーでナシュワンの3着、アイリッシュ2000ギニーでシャーディーの4着。そのほかの勝ち鞍はコーク&オラリーステークス(G3)、ヨーロピアンフリーハンデキャップ(LR)。
種牡馬時代
引退後はアイルランドの大牧場であるクールモアスタッドで種牡馬生活を送り、北半球がオフシーズン(秋・冬)の時はオーストラリアで種付けを行った。ここでオーストラリア2歳チャンピオンのフライングスパーが出る。その後本国アイルランドでアイリッシュダービー優勝馬デザートキングを出すなどの成功を収めた。2005年にはイギリスにおいて、長らくリーディングサイアーに君臨し続けていたサドラーズウェルズを破るという快挙を成し遂げた。こうした功績により、北半球に本拠地をおく種牡馬がオフシーズンには南半球(オーストラリア・ニュージーランド等)で種付けを行なう「シャトル種牡馬」という畜産ビジネスが確立した。
産駒もまた種牡馬として活躍し、北半球ではデインヒルダンサーが2009年イギリス・アイルランドリーディングサイアー、ダンシリが2007年フランスリーディングサイアーに、南半球ではフライングスパーが2006-2007年、リダウツチョイスが2005-2006年と2009-2010年、ファストネットロックが2011-2012年と2014-2015年にオーストラリアリーディングサイアーになっている。
日本では1996年に1年だけリース種牡馬としてイーストスタッドで種牡馬生活を送った。産駒としてフサイチソニック(神戸新聞杯)やブレイクタイム(京成杯オータムハンデキャップ2回・安田記念2着)などの活躍馬を出したが、当初の期待ほどの大物産駒は現れなかった(ただし、1997年生まれの生産年別統計ではサンデーサイレンス・トニービンに次ぐ3位で、ブライアンズタイムなどよりは上位の成績を残してはいた)。その他外国産馬としてではあるが、秋華賞およびエリザベス女王杯を優勝したファインモーションやエプソムカップ勝ち馬のツクバシンフォニーなどを出している。その後も産駒が何頭か輸入されていたが、海外における実績と比較してやや小粒な印象は否めなかった。
母の父としても良績を残しており、凱旋門賞優勝馬デインドリームなどのほか、日本でもエイジアンウインズ(ヴィクトリアマイル)、フェノーメノ(天皇賞(春)2回)といったGI馬を出した。特に父ガリレオとの配合には顕著な実績を挙げ、歴代最高レーティングを獲得したフランケルを代表として多くの活躍馬を輩出している。
種牡馬成績
- イギリス・アイルランドリーディングサイアー - 3回(2005年-2007年)
- オーストラリアリーディングサイアー - 9回(1994/95年-1996/97年、1999/00年-2004/05年)
- フランスリーディングサイアー - 2回(2001年、2007年)
主な産駒
- 1991年産
- キッシングカズン (Kissing Cousin) - コロネーションステークス
- ジョワデニーズ (Joie Denise) - クイーンズランドオークス
- ダナシンガ (Danasinga) - ストラドブロークハンデキャップ
- ダナラニ (Danarani) - フライトステークス
- ダンゼロ (Danzero) - ゴールデンスリッパーステークス
- デインウイン (Danewin) - スプリングチャンピオンステークス、ローズヒルギニー、コーフィールドステークス、マッキノンステークス、ドゥーンベンステークス
- デイニッシュ (Danish) - クイーンエリザベス2世チャレンジカップ
- 1992年産
- ナッシンライカデイン(Nothin' Leica Dane) - ヴィクトリアダービー、スプリングチャンピオンステークス
- フライングスパー (Flying Spur) - ゴールデンスリッパーステークス、オールエイジドステークス、オーストラリアンギニー
- 1993年産
- デインヒルダンサー (Danehill Dancer) - フェニックスステークス、ナショナルステークス
- デインリッパー (Dane Ripper) - コックスプレート、ストラドブロークハンデキャップ、オーストラリアンカップ、マニカトステークス
- マジックオブシドニー (Magic of Sydney) - スプリングチャンピオンステークス
- マーレーン (Merlene) - ゴールデンスリッパーステークス、AJCサイアーズプロデュースステークス
- 1994年産
- 1995年産
- アリーナ (Arena) - ヴィクトリアダービー、カンタベリーギニー
- タイガーヒル (Tiger Hill) - バーデン大賞2回、バイエルンツフトレネン
- デーンロー (Danelagh) - ブルーダイヤモンドステークス
- フェアリーキングプローン (Fairy King Prawn) - 安田記念、香港スプリント
- ミスデインヒル (Miss Danehill) - クイーンズランドオークス
- 1996年産
- インディアンデインヒル (Indian Danehill) - ガネー賞
- エメラルドドリーム (Emerald Dream) - ニュージーランド国際ステークス
- カットバード (Catbird) - ゴールデンスリッパーステークス
- コマンズ (Commands) - 種牡馬
- ダンシリ (Dansili) - 種牡馬
- ブラックフライヤーズ (Blackfriars) - ヴィクトリアダービー
- リダウツチョイス(Redoute's Choise) - ブルーダイヤモンドステークス、コーフィールドギニー、マニカトステークス、CFオーアステークス
- レッセフェール (Laisserfaire) - ケープフライングチャンピオンシップ2回、SAフィリーズスプリント2回、コンピュータフォームスプリント
- ワナビーグランド (Wannabe Grand) - チェヴァリーパークステークス
- 1997年産
- アジア (Asia) - サウスオーストラリアンオークス
- キーパー (Keeper) - グッドウッドハンデキャップ
- ミスターマーフィー (Mr. Murphy) - オーストラリアンギニー、フューチュリティステークス、イートウェルリヴウェルカップ
- 1998年産
- アーリントンロード (Arlington Road) - オールエイジドステークス
- アクワレリスト (Aquarelliste) - ディアヌ賞、ヴェルメイユ賞、ガネー賞
- ヴァイキングルーラー (Viking Ruler) - スプリングチャンピオンステークス
- デインストーム (Dane storm) - ブリズベーンカップ
- ハハ (Ha Ha) - ゴールデンスリッパーステークス、フライトステークス
- バンクスヒル (Banks Hill) - BCフィリー&メアターフ、ジャック・ル・マロワ賞、コロネーションステークス
- マジカルミス (Magical Miss) - VATC1000ギニー、ヴィクトリアオークス
- モーツァルト (Mozart) - ジュライカップ、ナンソープステークス
- リーガルローズ (Regal Rose) - チェヴァリーパークステークス
- 1999年産
- 2000年産
- インターコンチネンタル (Intercontinental) - BCフィリー&メアターフ
- エクシードアンドエクセル (Exceed and Excel) - ニューマーケットハンデキャップ
- エルヴストローム (Elvstroem) - ドバイデューティーフリー、ヴィクトリアダービー、アンダーウッドステークス、コーフィールドカップ、CFオーアステークス
- クロドヴィル (Clodovil) - プール・デッセ・デ・プーラン
- シンジグ (Shinzig) - CFオーアステークス
- スパルタクス (Spartacus) - フェニックスステークス、伊グランクリテリウム
- ライトジグ (Light Jig) -サンクルー大賞
- 2001年産
- 2002年産
- 2003年産
- 2004年産
そのほか日本調教馬
- ここではGI級競走以外の重賞勝ち馬のみを列挙する
- 1991年産
- 1993年産
- 1995年産
- 1997年産
- 1998年産
母の父としての主な産駒
- 1999年産
- 2000年産
- 2001年産
- 2002年産
- 2003年産
- 2004年産
- 2005年産
- 2006年産
- 2007年産
- 2008年産
- 2009年産
- 2010年産
- 2011年産
- 2012年産
- 2013年産
- 2014年産
- 2016年産
- 2017年産
- 2018年産
- 2020年産
- プラウドアンドリーガル(Proud And Regal)- クリテリウムドアンテルナシオナル
血統表
外部リンク
脚注
- ^ レッドキングダム - JBIS 2015年4月1日閲覧