トラパニの聖アルベルトにスカプラリオを与えるカルミネの聖母

『トラパニの聖アルベルトにスカプラリオを与えるカルミネの聖母』
イタリア語: Sant’Alberto (o san Simone Stock) riceve lo scapolare dalla Madonna del Carmine
英語: St. Albert (or St. Simon Stock) receives the scapular from Our Lady of Mount Carmel
作者グエルチーノ
製作年1618年
種類キャンバス上に油彩
寸法243 cm × 163 cm (96 in × 64 in)
所蔵イル・グエルチーノ市立美術館イタリア語版チェント

トラパニの聖アルベルトにスカプラリオを与えるカルミネの聖母』(トラパニのせいアルベルトにスカプラリオをあたえるカルミネのせいぼ、: Sant’Alberto (o san Simone Stock) riceve lo scapolare dalla Madonna del Carmine : St. Albert (or St. Simon Stock) receives the scapular from Our Lady of Mount Carmel)、または『カルミネの聖母』(カルミネのせいぼ、: Madonna del Carmine: Madonna del Carmine)は、イタリアバロック絵画の巨匠グエルチーノが1618年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。チェントのサンタ・マリア・デッランヌンツィアータ聖堂 (Santa Maria dell'Annunziata) のために[1][2]アントニア・ピオンビーニ (Antonia Piombini) の遺産で制作された[1]が、グエルチーノに支払われた制作料が低かったため[2]、右の2人の修道士は助手のベネデット・ザッローネ英語版によって描かれた[1]。かつてロレンツォ・ジェンナーリ英語版に帰属されたため、ナポレオン戦争中はフランス軍による接収を免れ、1839年以来[2]、チェントのイル・グエルチーノ市立美術館イタリア語版に所蔵されている[1][2]

作品

ルドヴィコ・カラッチ『サウロの回心』 (1587-1589年)、ボローニャ国立絵画館英語版

画面に描かれているのは、聖母子トラパニの聖アルベルト英語版のもとに現れ、スカプラリオ (略肩衣) を授ける瞬間である[1][2]フランシスコ会修道士にとって、スカプラリオは叙階象徴であり、右側で鑑賞者を見つめる聖フランチェスコは、鑑賞者に場面の救済的価値を理解するよう促している[1]

聖母マリアからスカプラリオを授けられるのは本来、カルメル会修道士シモン・シュトック英語版のエピソードである。彼のもとに聖母が現われてスカプラリオを手渡し、臨終の時にこれを身に着けていたものは永遠の業火を免れるだろうと語ったというものである[2]。このことに関連して、画面左下部左側では天使煉獄の業火から魂を救いあげている[1][2]。本作の寄進者 (上記のアントニア・ピオンビーニの家族[1]) の洗礼名がアルベルトであったために、シモン・シュトックのエピソードをこの絵画では寄進者と同名の聖人によって表していると考えられる[2]

絵画の焦点となっているのはアルベルトの両手である。天井からの強い光によって際立つ両手は、まるで聖母子を下から支えるように、あるいは引き寄せるようにして画面の緊張を高めている[2]。この劇的な明暗表現や伸びやかな表現には、ルドヴィコ・カラッチの『サウロの回心』 (ボローニャ国立絵画館英語版) からの影響が示唆されてきた。伝記作者カルロ・チェーザレ・マルヴァージア英語版によると、グエルチーノは『聖家族と聖フランチェスコ、寄進者たち』 (イル・グエルチーノ市立美術館) と並び、特に『サウロの回心』を研究して研鑽を積んだのであった[2]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h Sant’Alberto (o san Simone Stock) riceve lo scapolare dalla Madonna del Carmine - detta Madonna del Carmine”. イル・グエルチーノ市立美術館公式サイト (イタリア語の英訳). 2025年4月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、2015年、68頁。

参考文献

外部リンク

Prefix: a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

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