トラマドール・アセトアミノフェントラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合錠(トラマドールえんさんえん・アセトアミノフェンはいごうじょう)とは、弱オピオイド(麻薬系鎮痛薬)のトラマドールと、アセトアミノフェンが配合された鎮痛薬である。 日本ではトラムセット配合錠[1]、後発薬のトアラセット配合錠[2]が市販されている。1錠につきトラマドール37.5mgとアセトアミノフェン325mgを含有する配合錠である。 オピオイドとアニリン系解熱鎮痛薬という、作用機序の異なる鎮痛薬を併用することで、さまざまな痛みに有効性が期待される。 アセトアミノフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とは異なり、末梢でのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用は弱く、主に中枢神経系で鎮痛作用を示すと考えられている[3]。非ピリン系の、抗炎症作用を持たない解熱鎮痛薬である[4]。 薬理NSAIDsと異なり、中枢性に作用する。トラマドールは、μオピオイド受容体への結合作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を、アセトアミノフェンはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体およびサブスタンスP受容体を介した一酸化窒素(NO)経路の阻害作用を示す。 適応
医療上の特徴これまで、オピオイドによる疼痛制御の恩恵を受けられるのは、癌患者に限られていたため、全身性疼痛性疾患といった良性疾患での使用はできなかった。 トラマドール・アセトアミノフェン配合錠(トラムセット配合錠)は、日本ではヤンセンファーマ株式会社が臨床試験を実施し、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な、非がん性慢性疼痛及び抜歯後の疼痛に対して、効能・効果をもつ治療剤として、2011年4月、承認を取得した[5]。2017年1月からは持田製薬が販売元となった[6]。2013年8月現在、世界70以上の国と地域で承認されている[5]。 副作用など
慢性疼痛および抜歯後疼痛を有する患者を対象に実施した、日本の臨床試験における安全性評価対象症例599例中486例(81.1%)に、副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、悪心248例(41.4%)、嘔吐157例(26.2%)、傾眠155例(25.9%)、便秘127例(21.2%)、浮動性めまい113例(18.9%)であった[3](承認時)。
投与に際しては、酸化マグネシウム(瀉下薬)、プロクロルペラジン(制吐薬)が同時に処方される場合が多い。 患者選択慢性疼痛患者において、心理的社会的要因を伴う場合は、これらに対して適切な治療を行う必要がある[3]。 『非がん性慢性[疼]痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン』(日本ペインクリニック学会編)[7]によると、「明らかな心因性[疼]痛を訴えている患者」「心理的・社会的要因が痛みの訴えに影響している患者」は、オピオイドの非適応症例と明記されているため、これらの鑑別と患者選択は最も重要な項目となる。 脚注
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