ドラゴンシーズ 最終進化形態
『ドラゴンシーズ 最終進化形態』(ドラゴンシーズ さいしゅうしんかけいたい、DRAGON SEEDS)は、ジャレコより1998年8月6日に発売されたPlayStation用育成シミュレーションゲーム。アメリカでは同年9月30日に発売。 ゲーム内容ドラゴンのパートナーである「バトラー」となり、バトルアリーナという競技場でバトルを繰り返し、WDC(ワールドドラゴンチャンプ)のチャンピオンとなるのが目的の育成シミュレーションゲーム[2][3][4][5]。クローンラボでドラゴンを細胞からクローン再生し、最初にドラゴンに送る言霊や選択したドラゴン種、トレーニングや育成内容によってドラゴンは変化し成長していく[4][5]。なお、バトルでドラゴンの体力が0になると、ドラゴンは死亡、ロストし、一部の例外を除き2度と復活はしない[4][6]。ゲームの進行状況はゲーム中の施設である「公社ハイム」にてセーブできる。ゲームデータのセーブはゲーム終了時にしかできず、ゲームのプレイ途中でセーブやロードをするといった事はできない[7][8][9]。ただし、ゲームを途中でリセットし、セーブデータをロードするという事を行っても、特にペナルティなどはない。なお、作中の育成対象は「ドラゴン」と呼称されてはいるが、一般的に連想される首長竜や翼竜のほか、昆虫やカニのような形態のものもおり、未知の生物の総称を「ドラゴン」と呼んでいる世界観となっている[10][11]。 ドラゴンの再生細胞からのドラゴンのクローン再生はゲーム中の施設である「クローンラボ」で行う[12][13]。まず再生したいドラゴン種を選び、その後に言霊を選ぶ。言霊は「単語」(「古」「未来」「戦い」「今」「全て」「力」「ジャレコ」など)+「助詞」+「単語」(「輝く」「生きる」「蘇る」「廻る」「愛」「売り切れ」「30分」など)の3つで構成され、それぞれを繋げて文章を作る(「古に輝く」「未来に生きる」「戦いで蘇る」など)[4][12][14]。出来上がった文章とドラゴン種により、ドラゴンの初期ステータスと成長率が決まる事となる[15]。言霊入力の次はドラゴンの名前を決定する。この名前によりドラゴンの持つ属性が決まるほか[16]、特定の名前を入力するとドラゴンの成長率に補正がかかる[17]。再生されたドラゴンはそのままクローンラボ内になる「保育センター」に預けられる事となる。保育センターではドラゴンの能力の中から2項目を選んで重点的に成長させる事ができる[13][18][19]。保育センターに預けられたドラゴンは預けられて24時間後に迎えに行くと子竜となっており、引き取る事ができるようになる。 ドラゴンの成長ドラゴンは1日1才、年を取っていく[2]。個体差はあるが大体30才を過ぎたあたりで寿命を迎え、寿命を迎えたドラゴンは「記憶の森」という場所へ帰っていく[20](すなわちロストする)。ドラゴンは成長するに従い子竜→成竜→完竜へと進化していき[16][21]、その都度、姿を大きく変える事となる。なお、ドラゴンが進化する際はマユの中に入りその中で変態する事となる。完竜はいずれ年老いて老竜となり、徐々に能力が衰え寿命を迎えると記憶の森へ帰っていく[21][22]。だが、まれに完竜から変異竜、または超竜という特別な形態へと変化する事がある。変異竜は完竜と同じく年を重ねるといずれ老竜になってしまうが、超竜になると寿命がなくなり、いくら年月を重ねてもバトルで死亡しない限りロストする事はなくなる。超竜はバトルやトレーニングで能力を上げる事はできないが、「ジャンクショップ」で売っている能力上昇系アイテムで能力を上げる事は可能となっている。 ドラゴンの能力ドラゴンの能力はドラゴンを再生させる時のドラゴン種の選択と言霊の内容によって初期値と成長率が決まり、育成の仕方により異なる能力が上がっていく。バトルやトレーニングをすると腕力、特殊能力、素早さが上がり、休息、買い物、施設に寄るなどバトルやトレーニング以外の行動をすると体重と体力が上がっていく。また、ドラゴンは「火」、「雷」、「水」のいずれかの属性を必ず持っており、火は雷に強く水に弱い、雷は水に強く火に弱い、水は火に強く雷に弱い、という三すくみの関係になっている[16][23]。属性はバトル中に特殊攻撃で攻撃した際と、属性を持ったウエポンを装備した際に関係してくる。
ウエポンとリフレクタードラゴンには剣や斧などのウエポンと、特殊攻撃を防ぐ盾であるリフレクターを装備させる必要があり、ゲーム中の施設である「公営ショップ」や「ジャンクショップ」で購入できる。ウエポンやリフレクターにはS、M、Lとサイズがあり、Sサイズは子竜以上が装備可能、Mサイズは成竜以上が装備可能、Lサイズは完竜以上が装備可能となっている。また、ウエポンには属性を持つものも存在する。なお、ウエポンとリフレクターをドラゴンに装備させないと、バトルアリーナでの公式戦やパブロの店での賭け試合に出る事ができず、またトレーニングセンターでトレーニングを受けさせる事もできない。
バトルシステムバトルは、各ターン開始前にコマンドを「前進」「後退」「武器攻撃」「特殊攻撃」「リフレクター」「挑発」の6つのコマンドから行動させたい順に2つを選び、入力が完了すると相手も同じように動き出すというシステムを取っている。説明書ではこのシステムを「TCB」(ツインコマンドバトル)と呼称している[27]。なお、素早さが高いとドラゴンは相手の攻撃を回避する事があり、その場合は入力したコマンドをそのまま実行する。バトルの制限時間はコマンド入力の時間を除いて2分で、それまでに決着がつかない場合は残りHPの多い方が勝者となる。また、バトル中にSTARTボタンを押す事で、バトルをギブアップする事もできる。体力が0になって敗北した場合はドラゴンは死亡してしまうが、時間切れによる敗北もしくはギブアップした場合はドラゴンは死ぬことはない。
バトルアリーナでのバトルゲーム中の施設である「バトルアリーナ」では公式戦をする事ができ、勝つとファイトマネーを得る事ができる。このバトルアリーナで勝ち上がり、WDCのチャンピオンになる事がゲームの目的となっている[2][3][4][5]。バトルアリーナは子竜中心のクラスの「ベビークラス」、成竜中心のクラスの「ジュニアクラス」、完竜以降中心のクラスの「ファイタークラス」、そして「WDCクラス」の4つのクラスに分けられており、更にベビー、ジュニア、ファイターの3クラスはA~Eの5段階のランクに分けられている[30]。なお、ベビー、ジュニア、ファイターの3クラスの各ランク戦では、1回戦、2回戦、決勝戦と3回バトルを勝ち抜かなければ優勝する事はできない。各クラスのAランク戦で優勝する事で次のクラスへと昇級する事ができる。この時Eランクから順に挑戦していく必要はなく、いきなりAランクに挑戦する事も可能となっている。WDCクラスではそれまでのクラスにあった1回戦、2回戦といった予選はなく、1戦勝利するごとに昇級する事になる。またWDCクラスではNo.4から順にNo.3、No.2、No.1と勝ち進めなければならず、WDCのNo.1に勝利して初めてチャンピオンに挑戦できる。その他、プレイヤーがチャンピオンになった後、チャンピオンになったドラゴンを連れてバトルアリーナに行くと、防衛戦が発生する事がある。この防衛戦に負け尚且つ自身のドラゴンが生存していると、ドラゴンのランキングがWDCチャンピオンからWDC No.1へと降級する事となる。なお、前述のように各クラスによって登場するドラゴンの目安は決まっているが、プレイヤーはこれに合わせる必要はなく、例えば子竜中心のベビークラスに成竜、完竜も問題なく出場する事ができる。 VS対戦バトルとトレード
VSメモリーカードバトラーと野生のドラゴンメモリーカード内のセーブデータに基づいて生成された野生のドラゴン軍団を使い、3対3のバトルを行う対戦モード[4][32][33]。メモリーカードに保存されているセーブデータの内容によって、生成される3頭のドラゴンの内容は変化する。なお、メモリーカードに本作のセーブデータが入っている必要はない。メモリーカードをPlayStationの差込口1と2に差し込み、1P側は差込口1のドラゴン軍団を、2P側は差込口2のドラゴン軍団を操作する。バトルは勝ち抜き戦で行われ、バトルに勝ったドラゴンはそのまま相手の次のドラゴンと戦う事となる。表示させる上から順にドラゴンを戦わせ、最終的に相手の3頭のドラゴン全てを倒した方が勝利となる。その他、メモリーカードに特定のゲームのセーブデータがあると、特別なドラゴンが出現する事がある[34]。なお、このモードに登場する野生のドラゴンは、条件を満たすとゲーム中の施設である「記憶の森」にて捕獲でき、本編で使用できる[35]。野生のドラゴンはバトルやトレーニング、ジャンクショップで売っている能力上昇系アイテムで能力を上げる事ができず、年を取る事もない。またバトルアリーナでの公式戦にも出られず、パブロの店での賭け試合にのみ出場する事ができる。 登場するドラゴン種
施設ゲームの舞台となる「ウォームシティ」には施設が点在している。1日は朝6時からスタートし、施設に寄って何かしら行動を行うと3時間が経過する。そして夜21時の行動を済ますと1日が終了し、深夜0時から翌朝6時までの間は公社ハイムにて睡眠をとる事となる[9][44]。そのため1日の中でこなせる行動は6回までとなっている[2]。
ストーリーセイラ暦180年4月、惑星の温暖化により世界政府は氷の大地消失を5年以内と発表、水没シティの閉鎖を指示した。 セイラ暦183年2月、溶けだした氷の大地の永久氷塊から全長10メートルを越える未知の生物が発見される。その生物があった氷層年代は5億年以上を示し、採取されたDNAも分類不能であったため、惑星外生物の可能性も議論される。そして彼ら自体の再生こそ出来なかったものの、クローン再生は成功し研究が続けられていく事となる。 その15年後のセイラ暦198年5月、世界政府はクローン再生された未知の生物「X-01」の存在を公表、極めて戦闘的な生物で、また言霊によりその行動を制御できる事を発表する。その翌年のセイラ暦199年1月、世界政府は「X-01」の呼称を、ヨハン聖書に記された秩序と破壊の戦闘神になぞらえ「ドラゴン」に統一、併せてドラゴンによるバトルトーナメントを実施する事を発表した。そして新都市ウォームシティではバトルアリーナ建設と共にバトラーの受け入れが始まる[10][11]。 そして物語は、1人のバトラーとそのパートナーであるドラゴンがウォームシティを訪れる所から始まる。 登場キャラクター
音楽音楽は荒川憲一と山崎良の二人が担当[1]。本作の企画デザインを担当した市崎裕康と山崎との話しによると、「作曲は結構自由にやらせてもらった」「世界観や設定の説明を受けて、でも具体的なディレクションというのはなかった」としている[46]。また作曲の分担は、ダークサイドの曲が山崎が、明るい曲は荒川が担当、全体の作曲しなければならない曲を半分に割ってそれぞれが担当したと山崎、荒川は振り返っている[46]。また作曲のコンセプトとして、MIDIだけでなくサンプリングの手法が流行っていたので、サンプリング素材を集めてこれで何かやろう、という事もしていたと山崎は語っている[46]。 サウンドトラック本作の音源は以下の作品に収録されている。
移植版
開発本作の企画、ゲームデザイン、ディレクターを担当した市崎裕康はインタビューにて、当時カードゲームが流行っており、オリジナルのカードゲームを作ろうとした、つまり『ドラゴンシーズ』は元はカードゲームとして企画した事を語っている[46]。例えば「一歩前に行く」「一歩後ろへ下がる」というカードを二枚選び、めくって勝負をする。そのカードを作り二人で何度か対戦し、「これ面白いからいつかゲームにしよう」というのが最初だったとしている[46]。また市崎は製作期間が短く盛り込めなかったが、当初考えていた設定は「バイオを利用した世界観、それと対抗するメカテクノロジーとの対立があって、その戦士を育てるために細胞を使う」というもので、続編を作らせてくれたらそれができたとも語っている[46]。また、『ドラゴンシーズ』のプロジェクトメンバーは古参のジャレコスタッフはあまり参加せず、若いスタッフ中心で作っていたと市崎と作曲の山崎良は振り返っている[46]。 評価
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計28点(満40点)[52]となっている。 脚注
参考文献
外部リンク |
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