ニベ科
ニベ科(Sciaenidae)は、スズキ目またはニザダイ目に属する魚類の分類群の一つ。67属で構成され、ニベ・シログチなど沿岸に生息する海水魚を中心に少なくとも280種が含まれる。 概要![]() ニベ科には少なくとも283種が含まれる[1]。太平洋・インド洋・大西洋など世界中の海に住むが、分布範囲は大陸周辺の沿岸域に限られ、インド洋中央部や太平洋の島嶼地域には生息しない。沿岸から大陸棚にかけての砂泥地帯で生活する種類が多く、水深200m以深の深海に出現する場合もある[2]。海産種の一部は汽水域にも進出し、南北アメリカ大陸の大西洋岸からは28種の純粋な淡水魚が知られる。 ほとんどの仲間は体長数十cmにまで成長し、ニベ・シログチのように食用魚として重要な種類も多く含まれる。オオニベ(Argyrosomus japonicus)など、2mに達する大型種も知られている[2]。 ニベ科の魚類は「イシモチ」あるいは「グチ」と総称されることがある。前者はテンジクダイ科の魚類が同じ名で呼ばれるのと同じく、本科魚類が他の科の魚類に比してかなり大き目の耳石をもつこと、後者は浮き袋を反響させ発音することがその由来となっている。 形態ニベ科魚類はやや左右に平べったく側扁した体型をもち、一部に小さな口ヒゲを有する種類もある。背鰭の基底は長く、前半の棘条部(6-13本)と後半部(1棘20-35軟条)との間には深い切れ込みがある。臀鰭は1-2本の棘条と6-13本の軟条で構成され、棘条は通常か細く2本目の方が大きいことが多い。側線は尾鰭の後端まで伸びる。尾鰭の形態は中央部がややくぼむものから、丸みを帯びるものまでさまざま。口蓋骨・鋤骨の歯を欠く。浮き袋には特徴的な多数の分岐構造がみられる。椎骨は24-30個[1]。 分類![]() ![]() ![]() Nelson(2016)では67属283種が認められており、10亜科に細分する見解もある[1]。Fishbaseでは69属298種が認められている[3]。 利用![]() ニベ科の魚は食用のほか、その発達した耳石が工芸に使用された例がある。幕末の尾張藩主・徳川慶勝が所用し、現在は徳川美術館が所蔵する石首魚石入蝋色塗刀拵・脇差拵(いしもちいしいりろいろぬりかたなごしらえ・わきざしごしらえ、それぞれ1857年(安政4年)6月と1854年(安政元年)3月の作)は、刀や脇差の鞘の漆塗にイシモチ(ニベ科)の耳石を散りばめて黒地に白の斑模様を表している[4][5][6]。 出典・脚注参考文献
外部リンク
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