ニード・ユア・ラヴ・ソー・バッド (Need Your Love So Bad )(あるいはI Need Your Love So Bad の題名でも知られる)は、R&B シンガー、リトル・ウィリー・ジョン が1955年 に初めてレコーディングした楽曲。ゴスペル 、ブルース およびリズム・アンド・ブルース が特徴的に融合したと評される[ 3] 。ジョンの2枚目のシングルであり、かつ米国における2枚目のチャート入りしたヒット曲でもある。
ジョンの最も著名な楽曲のひとつとして知られ、数多くのコンピレーション・アルバムに収録されている。1968年 には、フリートウッド・マック がカヴァーし、イギリス およびオランダ のシングル・チャート入りを果たしている。
概要
曲の構成はAABA形式で、ハーモニーの使い方は典型的なR&Bバラードのスタイルとなっている[ 4] 。しかしながら、この曲は「一般的なR&Bバラードとは大きく異なる濃縮され強烈な愛への嘆願」と評された[ 5] 。
ジョンは、この曲を1995年 9月20日 、ニューヨークにて録音した[ 5] 。彼がヴォーカルを取り、ロバート・"ババー"・ジョンソンがピアノ、ミッキー・ベイカー がギター、ミルトン・ヒントンがベース、カルヴィン・シールズがドラムス、ウィリス・ジャクソン とデイヴィッド・ヴァン・ダイクがテナー・サックス、そしてルーベン・フィリップスがバリトン・サックスを担当した[ 5] [ 6] 。
ソングライター・クレジットとリリース
ソングライター・クレジットについては、レコードのリリースによって異なるものが存在する。オリジナルのキング・レコードのリリースにおいては、ソングライターは"Willie John"となっており、フリートウッド・マックのオリジナルのブルー・ホライズン盤およびCBS盤 シングルも同様である。しかしながら、コンピレーションによっては、ライターをジョンの兄である"Mertis John"としているものもある[ 7] [ 8] 。
2001年 に出版されたリトル・ウィリー・ジョンの伝記には以下の通り記述されている:
マーティス・ジュニアが楽曲の大部分を朝鮮で書きウィリーのもとに持っていった。ウィリーはそれに手を加えて曲を完成させた。ウィリーの個性は明らかにこの楽曲で発揮されており、マーティスは
2008年 になってから共作者としてウィリーの名前を復活させている
[ 3] 。
アメリカ合衆国 の演奏権管理団体 のひとつ放送音楽協会 (BMI)はこの曲のソングライターとしてウィリアム・エドワード・ジョンとマーティス・ジョン・ジュニア(リトル・ウィリーと彼の兄の法的な氏名)の2人をクレジットしている[ 9] 。
キング・レコードがリリースしたジョンのこのシングルは、1956年 にビルボード のR&Bチャートの第5位を記録し[ 10] 、B面の「Home At Last 」も同チャートの第6位のヒットとなっている[ 10] 。この曲はジョンの最もポピュラーな曲として知られ、『Fever: The Best of Little Willie John 』(1993年 )[ 11] 、『The Very Best of Little Willie John 』(2001年 )[ 12] など様々なコンピレーション・アルバムに収録されている。
参加ミュージシャン
Little Willie John リトル・ウィリー・ジョン - vocals
Willis Jackson ウィリス・ジャクソン - tenor saxophone
David Van Dyke デイヴィッド・ヴァン・ダイク - tenor saxophone
Reuben Phillips ルーベン・フィリップス - baritone saxophone
Robert "Bubber" Johnson ロバート・"ババー"・ジョンソン - piano
Mickey Baker ミッキー・ベイカー - guitar
Milt Hinton ミルト・ヒントン - bass
Calvin Shields カルヴィン・シールズ - drums[ 6]
カバー・バージョン
フリートウッド・マック
1968年、フリートウッド・マック がマイク・ヴァーノンのプロデュースの下、ブルー・ホライズン・レコードに「ニード・ユア・ラヴ・ソー・バッド 」を吹き込んだ[ 14] 。ヴァーノンによると、彼はグループのギタリストであり、ヴォーカリストのピーター・グリーン に対し、ストリングスを加えることを提言した[ 14] 。ヴァーノンはジョンのオリジナル・バージョンでギターを担当したミッキー・ベイカーにコンタクトし、この曲のオーケストラ・スコアを書くよう依頼している[ 14] 。
この曲はシングルとしてリリースされ、B面には「Stop Messin' Round 」が収録された。1968年 8月、UKのシングル・チャートの第31位を記録[ 13] 、そしてオランダではチャートの7位まで上った[ 15] 。後になって英国でブルー・ホライズンがシングルとして再発し、その際はB面に「No Place To Go 」が収録された[ 16] 。そしてCBS は『ホール・オヴ・フェイム・ヒッツ 』シリーズのひとつとしてこの曲をシングルのB面でリリースした。このリリースのA面は"「Albatross 」だった[ 17] 。
この曲は、いくつかのフリートウッド・マックのコンピレーション・アルバムに収録されている。その中には『The Pious Bird of Good Omen 』(1969年 )[ 18] 、『Greatest Hits 』(1971年 )[ 19] などがある。1999年 には『The Complete Blue Horizon Sessions 1967–1969 』がリリースとなり、この曲の別テイクが収録された。テイクのひとつにはグリーンによるギターとヴォーカルのオーヴァーダブがなされており、当初このバージョンが米国のシングルとなる予定だったがリリースされなかった[ 14] 。
ゲイリー・ムーア
1995年 には、ギタリスト/シンガーのゲイリー・ムーア がピーター・グリーンへのトリビュート・アルバム『ブルーズ・フォー・グリーニー 』(1995年 )のためにこの曲をレコーディングした。ムーアのバージョンは1995年 6月にシングルとしてリリースされ、UKシングル・チャートの48位を記録している[ 20] 。
その他のカバー
この曲はジョンの楽曲の中では「フィーヴァー 」と並び、最も多くのカバーがなされた楽曲のひとつである[ 21] 。アーマ・トーマス (1964年 )、ソロモン・バーク (1968年 )、ジュニア・パーカー (1971年 )、オールマン・ブラザーズ・バンド (1979年 )、リトル・ミルトン (1980年 )、スティング (1982年 )、ボビー・ブランド (1985年 )といったアーティストがカバーをリリースしている[ 22] 。
脚注
^ Little Willie John - Discography (45cat)
^ Joel Whitburn's Top R&B Singles 1942-1988 (Record Research), P. 222
^ a b Whitall, Susan (2011). Fever: Little Willie John . ロンドン: Titan Books. p. 60. ISBN 978-0857687968
^ Appen, Ralf von / Frei-Hauenschild, Markus "AABA, Refrain, Chorus, Bridge, Prechorus — Song Forms and their Historical Development" . In: Samples. Online Publikationen der Gesellschaft für Popularmusikforschung/German Society for Popular Music Studies e.V. Ed. by Ralf von Appen, André Doehring and Thomas Phleps. Vol. 13 (2015), p. 31, 35.
^ a b c Grendysa, Peter A. (1993). Fever: The Best of Little Willie John (liner notes). Rhino Records . p. 1. R2 71511.
^ a b The Blues Discography 1943-1970 The Classic Years, Les Fancourt & Bob McGrath (Eyeball Productions)
^ Wynn, Ron. “Little Willie John: Fever – Review ”. AllMusic . 2020年8月26日閲覧。
^ Tapp, Richard. “Little Willie John ”. Ace Records . 2006年9月23日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年8月26日閲覧。
^ “BMI Repertoire: "Need Your Love So Bad" (BMI Work #1052543) ”. BMI . 2020年8月26日閲覧。
^ a b Whitburn, Joel (2004). Top R&B/Hip-Hop Singles: 1942–2004 . Record Research. p. 228
^ Wynn, Ron. “Fever: The Best of Little Willie John – Review ”. AllMusic . 2014年12月22日閲覧。
^ Phares, Heather. “The Very Best of Little Willie John ”. AllMusic . 2020年8月26日閲覧。
^ a b Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). ロンドン: Guinness World Records Limited. p. 205. ISBN 1-904994-10-5
^ a b c d
Vernon, Mike (1999). The Complete Blue Horizon Sessions 1967–1969 (Boxed set booklet). Fleetwood Mac. ニューヨーク: Sire Records . pp. 8– 9. 73003-2.
^ “Top 40 week 44 van 1968 ”. Top40.nl . 2021年4月29日閲覧。
^ フリートウッド・マック. "Need Your Love So Bad" / "No Place to Go" (Single notes). イギリス: ブルー・ホライズン・レコード. Label. 57-3157.
^ フリートウッド・マック. "Albatross" / "Need Your Love So Bad Need Your Love So Bad" (Single notes). England: CBS . Label. CBS 8306.
^ The Pious Bird of Good Omen - オールミュージック
^ Greatest Hits - オールミュージック
^ “Gary Moore – Singles ”. Official Charts . 2020年8月26日閲覧。
^ Songs originally by Little Willie John | SecondHandSongs 2023年7月24日閲覧
^ Cover versions of Need Your Love So Bad by Little Willie John | SecondHandSongs 2023年7月24日閲覧