『パコと魔法の絵本』(パコとまほうのえほん)は、2008年公開の日本映画。
派生アニメーション作品『いつもワガママガマ王子』についても本項で説明する。
概要
2004年に全国8都市で公演された後藤ひろひと原作の舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人』を、『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』などの監督を手がける中島哲也が、長編日本映画としては初めて3DのフルCGと実写を駆使し、新たな解釈で映像化。
2008年7月29日には東京都内で行われた完成披露記者会見で、約400万円の制作費をかけて作られた高さ3m、幅4.2mの絵本が登場。「世界最大の飛び出す絵本」としてギネスブックに申請された[3]。
キャッチコピーは「子どもが大人に、読んであげたい物語。」。
興行成績
2008年9月13日に日本全国292の劇場で公開され[4]、週末興行成績で初登場2位となった。1位は公開3週目の『20世紀少年 第1章 -終わりの始まり-』が堅守した。客層は男女比26対74で、家族や女性を中心とした広い客層を呼び込み、初日からの連休3日間で382,700人を動員、興行収入467,929,100円を上げた[5]。公開3週目には動員数が100万人に達し、興収は13億円を突破[6]。日本国内の公開年度内最終収益は23.6億円に達した[2]。
あらすじ
そう遠くはない昔、あるところに変人ばかりが集まる病院があった。院内一の嫌われ者で偏屈な“クソジジイ”と呼ばれていた大貫は、ある日パコという少女と出会う。彼女にも意地悪に接することしかできない大貫は、紛失した純金のライターをパコが盗んだと誤解して頬を引っ叩き、泣かせてしまう。
翌日、大貫は再びパコと出会うが、パコは大貫のことを覚えていなかった。パコは事故で両親を失い、彼女だけは奇跡的に助かったが、事故の後遺症でたった1日しか記憶を保てないという記憶障害を持っていたのだ。今日起こった出来事は、明日になれば全て忘れてしまう。その翌日も、何事もなかったかのように大貫に近づいて来たパコだったが、彼が自分の頬に「触れた」ことは覚えていた。
パコと接していくうちに彼女の記憶に“何か”を残すことが出来るかもしれない。彼女のために“何か”出来るかもしれない。そう考えた大貫は、パコのために何か自分にできる事はないかと、病院の皆に頭を下げ、一緒にパコの愛読する絵本の演劇をしたいと懇願する。
キャスト
括弧内はクリスマスの劇中で演じた役名。
- 大貫(ガマ王子)
- 演 - 役所広司
- 入院患者。浩一のおじで大会社の会長。傲慢で乱暴者。悪態をつき、意地悪ばかりしているため、入院患者からは「クソジジイ」と呼ばれていたが、パコに出会ってから変わっていき、パコのために何か記憶に残せるものを作ろうと、彼女の愛読している絵本の演劇をしようと奔走する。
- パコ
- 演 - アヤカ・ウィルソン
- 入院患者の少女。交通事故の後遺症で、1日しか記憶が保てない記憶障害を持つ。両親は同じ交通事故で亡くなっている。大貫には最初は意地悪されていたが、ある出来事をきっかけに大貫の良き理解者となる。
- 滝田(サカナ)
- 演 - 劇団ひとり
- 入院患者。消防車に轢かれて怪我を負った消防士。人命救助を生きがいにしている。
- 龍門寺(ミズスマシ君)
- 演 - 山内圭哉
- 入院患者。銃の暴発で怪我を負い、入院しているヤクザ。
- 木之元(ガマ姫・ガマ王子の母)
- 演 - 國村隼
- 入院患者。ジュディ・オング好きのオカマで、子持ち。怪我は治っているが、賠償金を吊り上げるため入院を無理に延ばしている。
- 室町(ザリガニ魔人)
- 演 - 妻夫木聡
- 薬物依存症の入院患者。自殺癖が強く、その度に入退院を繰り返している。子供の頃は売れっこの子役だったため、大人の俳優になりきれないことを悩んでいる。
- 堀米(ヤゴ)
- 演 - 阿部サダヲ
- 神出鬼没で掴み所のない謎の入院患者。空気が読めない。なぜ入院しているのかは不明だが、作中での医者 浅野との会話から精神疾患系での入院患者と推測される。
- 浩一(アメンボ・ガマ王子の家来)
- 演 - 加瀬亮
- 大貫の甥で、雅美の夫。弱気で妻には頭が上がらない(所謂、恐妻家)。
- 雅美(沼エビの魔女)
- 演 - 小池栄子
- 看護師。浩一の妻で、大貫の甥嫁。悪魔のような性格で、ことあるたびに夫に噛みつく癖がある。金のため大貫に媚びを売る。浩一からは「雅美ちゃん」と呼ばれている。
- タマ子(メダカちゃん)
- 演 - 土屋アンナ
- 強面で髑髏とバラのタトゥーを入れた、悪魔のような不良看護師。
- 浅野(タニシ)
- 演 - 上川隆也
- 変装好きで陽気な性格の医者。
- 包帯バンド
- 劇中で音楽を演奏する包帯ぐるぐる巻きの入院患者たち。
スタッフ
主題歌
受賞歴
いつもワガママガマ王子
『いつもワガママガマ王子』(いつもわがままがまおうじ)は、『パコと魔法の絵本』のスピンオフ作品として作成された日本のアニメーション。2008年4月から9月までの月曜20:54 - 21:00に、テレビ東京系列で全17話が放送された。『パコと魔法の絵本』内の劇中劇に登場するキャラクターが登場し、ナビゲーターとしてパコが実写で出演する[13]。
- キャスト
テレビ東京 月曜日20:54 - 21:00枠 |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
柔道ワールドグランプリへの道
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いつもワガママガマ王子
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関連商品
書籍
- 著者:関口尚、映画のノベライズ作品。
- 著者として、パコが読んでいた絵本の作者であり入院患者の一人である「堀米けんじ」の名が書かれている。
- 映画「パコと魔法の絵本」のオフィシャルブック。ストーリー、キャラクターを写真で紹介し、監督インタビューも掲載。
- 著者:えんどうしゅうこ、イラスト:マクティコ、スピンオフアニメ『いつもワガママガマ王子』の絵本化作品。
映像作品
- パコと魔法の絵本(2009年3月8日、アミューズソフトエンタテインメント)
- 通常版DVD DSL-10015:映画本編(視聴覚障碍者向けに、場面説明音声、セリフ字幕、場面説明字幕を収録)
- 特別版DVD 2枚組 DSL-10016:映画本編、メイキング、主題歌PV、予告、CM
- Blu-ray DSL-10017:映画本編
- メイキング オブ「パコと魔法の絵本」と「いつもワガママガマ王子」(2008年8月30日、よしもとアール・アンド・シー)YRBN-90023
- 『いつもワガママガマ王子』の1話から5話、予告編、メイキング、および『パコと魔法の絵本』のメイキングを収録。
- 映画「パコと魔法の絵本」スピンオフアニメ『いつもワガママガマ王子』(2009年3月6日、よしもとアール・アンド・シー)YRBN-90050
- 放送されたアニメ17話および特別編4話を収録。
脚注
関連項目
外部リンク
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関連項目 | |
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