フォーエヴァー・チェンジズ
『フォーエヴァー・チェンジズ』(Forever Changes)は、アメリカ合衆国のバンド、ラヴが1967年に発表した3作目のスタジオ・アルバム。リリース当時は大きな成功に至らなかったが、多くの批評家によって高く評価されてきた作品である[5]。 背景ブルース・ボトニックによれば、当初はニール・ヤングを共同プロデューサーに迎える案もあったが、当時ヤングはバッファロー・スプリングフィールドとしての活動に拘束されており、体調も思わしくなかったため、最終的にはボトニックとバンドの中心人物アーサー・リーの共同プロデュース体制となった[6]。また、ジョン・エコールズによれば、一つの物語を綴ったナレーションと楽曲を組み合わせ、2枚組LPのコンセプト・アルバムとして発売するアイディアもあったが、物語は完成せず、最終的に収録された楽曲に関しても、その物語に基づいた曲が全部完成するには至らなかったという[7]。 ブルース・ボトニックと「エレクトラ」創設者のジャック・ホルツマンは、本作にはストリングスが必要と判断してデヴィッド・エンジェルをアレンジャーとして招いたが、ホルツマンによれば、アーサー・リーはこのアイディアに反対していたという[8]。また、「アンドモアアゲイン」と「ザ・デイリー・プラネット」では、ビリー・ストレンジ(ギター)、ドン・ランディ(ピアノ)、ハル・ブレイン(ドラムス)といったスタジオ・ミュージシャンが起用され、ベースはキャロル・ケイが弾いたといわれている[1]。 反響リリース当時はセールス的に大きな成功を収められず、Billboard 200では154位に終わり、ラヴのアルバムとしては初めて全米トップ100入りを逃す結果となった[4]。また、シングル「アローン・アゲイン・オア」は、Billboard Hot 100入りを果たしたものの最高99位に終わった[9]。 評価マーク・デミングはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「ラヴの『フォーエヴァー・チェンジズ』は、1967年の初リリース時にはチャートにおいて大した注意を引くことができなかったが、何年も後になって、サマー・オブ・ラブから生まれたアルバムの中でも特に優れ、特に忘れられない作品の一つとして認識されるようになった」「ラヴの初期2作において支配的だった鋭利なエレクトリック・ギターは、ここでも時折、"A House Is Not a Motel"や"Live and Let Live"といった曲で登場しているが、『フォーエヴァー・チェンジズ』の大部分は、折り重なったアコースティック・ギターと、メロディを補強・強調するストリングスやホーンによる繊細なオーケストレーションを中心に構築されている」と評している[10]。Richard Cromelinは2001年3月9日付の『ロサンゼルス・タイムズ』紙において「時に時代遅れな骨董品と感じられることもあるとはいえ、『フォーエヴァー・チェンジズ』は、その型破りな構成と魅惑的な質感により、今なお挑戦的かつ爽快なアルバムであり続けている」と評している[11]。また、ロバート・プラントは、最も好きなアルバムの一つとして本作を挙げている[12]。 『ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では40位にランク・イン[13]。2008年にはグラミーの殿堂入りを果たした[14]。また、ピッチフォーク・メディアのスタッフが2017年に選出した「1960年代のベスト・アルバム200」では33位となった[15]。 リイシューライノ・エンタテインメントから発売された2枚組CDのコンピレーション・アルバム『Love Story 1966-1972』には、本作からの全11曲が完全収録された[11]。 2001年発売のリマスターCDには7曲のボーナス・トラックが追加され[16]、そのうち「ユア・マインド・アンド・ウィ・ビロング・トゥギャザー」と「ラフィング・ストック」は、本作リリース後の1968年1月30日に録音されたシングル曲である[1]。イギリスでは、2001年再発盤が全英アルバムチャートで最高63位を記録し、オリジナル・リリース時には叶わなかった全英チャート入りを果たした[3]。 収録曲特記なき楽曲はアーサー・リー作。
2001年デラックス・エディション盤ボーナス・トラック
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン 2001年デラックス・エディション盤(R2 76717)のブックレットに記載されたクレジットでは、キャロル・ケイに関しては「poss(恐らく)」という扱いになっている。
脚注・出典
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