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フビニ・スタディ計量 (Fubini–Study metric)は、射影ヒルベルト空間 上のケーラー計量 である。つまり、複素射影空間 CP n がエルミート形式 を持つことを言う。この計量 は、もともとは1904年と1905年にグイド・フビニ (Guido Fubini)とエドワード・スタディ (英語版 ) (Eduard Study)が記述したものであった。
ベクトル空間 C n +1 のエルミート形式 は、GL(n +1,C ) の中のユニタリ部分群 U(n +1) を定義する。フビニ・スタディ計量は、U(n +1) 作用の下での不変性(スケーリングに対して)により差異を同一視すると決定し、等質性を持つ。フビニ・スタディ計量を持つ CP n は、(スケーリングを渡る)対称空間 (英語版 ) (symmetric space)である。特に、計量の正規化は、スケーリングの適用に依存する。リーマン幾何学 においては、正規化された計量を使うことができるので、(2n + 1) 次元球面 上のフビニ・スタディ計量は、単純に標準の計量と関連付けられる。代数幾何学 では、正規化を使い、CP n をホッジ多様体 とすることができる。
構成
フビニ・スタディ計量は複素射影空間 の商空間 [要曖昧さ回避 ] の構成の中で自然に現れる。
特に、CP n を C n+1 の中のすべての複素直線からなる空間として、つまり、各々の点に複素数を掛けること(スケーリング)を同一視することによる C n+1
∖
{\displaystyle \setminus }
{0} の商空間として定義される。これは、乗法群 C * = C
∖
{\displaystyle \setminus }
{0} の対角的な群作用 による商と一致する。
C
P
n
=
{
Z
=
[
Z
0
,
Z
1
,
…
,
Z
n
]
∈
C
n
+
1
∖
{
0
}
}
/
{
Z
∼
c
Z
,
c
∈
C
∗
}
.
{\displaystyle \mathbf {CP} ^{n}=\left\{\mathbf {Z} =[Z_{0},Z_{1},\ldots ,Z_{n}]\in {\mathbf {C} }^{n+1}\setminus \{0\}\,\right\}/\{\mathbf {Z} \sim c\mathbf {Z} ,c\in \mathbf {C} ^{*}\}.}
この商は、基礎空間 CP n 上の複素ラインバンドル として C n+1 \{0} として実現される。(実際、この商は CP n 上のトートロジーバンドル (英語版 ) (tautological bundle)である。)このようにして、CP n は、0 でない複素数によるリスケールを modulo とした (n + 1)-個の組 [Z0 ,...,Zn ] の同値類と同一視される。Zi をその点での斉次座標 (英語版 ) (homogeneous coordinates)という。
さらに、2つのステップを経て、この商を得る。0 でない複素スカラー z = R eiθ による積は、一意的に原点を中心として反時計回りの角度
θ
{\displaystyle \theta }
の回転を modulus R による遅れの合成と考えることができ、商 C n+1 → CP n は、次の 2つの部分へと分解する。
C
n
+
1
∖
{
0
}
⟶
(
a
)
S
2
n
+
1
⟶
(
b
)
C
P
n
{\displaystyle \mathbf {C} ^{n+1}\setminus \{0\}{\stackrel {(a)}{\longrightarrow }}S^{2n+1}{\stackrel {(b)}{\longrightarrow }}\mathbf {CP} ^{n}}
ここに step (a) は遅れ R ∈ R + 、つまり、正の実数による乗法に対する商 Z ~ RZ であり、step (b) は回転 Z ~ eiθ Z による商である。
(a) での商の結果は、方程式 |Z |2 = |Z0 |2 + ... + |Zn |2 = 1 で定義される実超球面 S2n+1 である。(b) の商は CP n = S2n+1 /S1 が実現される。ここに、S1 は回転群を表現する。この商は、有名なホップファイバー構造 (英語版 ) (Hopf fibration) S1 → S2n+1 → CP n により、明確に実現される。このファイバーは S2n+1 の大円 の中にある。
計量の商として
リーマン多様体 (あるいは、一般に計量空間 でもよい)の商を考えると、商空間は well-defined なリーマン計量 を持つことを確認する必要がある。たとえば、群 G がリーマン多様体 (X,g) 上へ作用していると、軌道空間 X/G が誘導された計量を持つためには、
g
{\displaystyle g}
が G-軌道にそって定数である必要がある。このためには、任意の元 h ∈ G とベクトル場のペア X,Y に対し、g(Xh,Yh) = g(X,Y) でなければならない。
C n+1 上の標準エルミート計量 は、
d
s
2
=
d
Z
⊗
d
Z
¯
=
d
Z
0
⊗
d
Z
0
¯
+
⋯
+
d
Z
n
⊗
d
Z
n
¯
{\displaystyle ds^{2}=d\mathbf {Z} \otimes d{\overline {\mathbf {Z} }}=dZ_{0}\otimes d{\overline {Z_{0}}}+\cdots +dZ_{n}\otimes d{\overline {Z_{n}}}}
により標準基底の上で与えられる。このエルミート計量は、R 2n+2 上の標準のユークリッド計量 として実現される。この計量は、C * 上の対角作用の下に不変ではない ので、直接、CP n の中の商として落とし込むことは不可能である。しかし、この計量は S1 = U(1) 上の回転群の対角作用の下では不変である ので、上の構成 step (a) が完了れば step (b) が可能となる。
フビニ・スタディ計量 (Fubini–Study metric)は、商 CP n = S2n+1 /S1 上に誘導された計量であり、そこでは
S
2
n
+
1
{\displaystyle S^{2n+1}}
が標準のユークリッド計量の単位超球面上へ制限 することにより、いわゆる「周囲の計量」(round metric)として与えられる。
局所アフィン座標の中では
CP n の中で同次座標 (Z0 ,...,Zn ) を持つ点に対して、Z0 ≠ 0 であり、特に、zj = Zj /Z0 とすると、一意に n 個の座標の組 (z1 ,…,zn ) が存在し、
[
Z
0
,
…
,
Z
n
]
∼
[
1
,
z
1
,
…
,
z
n
]
,
{\displaystyle [Z_{0},\dots ,Z_{n}]{\sim }[1,z_{1},\dots ,z_{n}],}
となる。すると、(z1 ,…,zn ) は、座標の貼りあわせ U0 = {Z0 ≠ 0} での CP n のアフィン座標系 (英語版 ) (affine coordinate system)を形成する。アフィン座標は、明らかに、代わりに Z i で割ることにより、任意の座標系での貼り合わせでの U i = {Z i ≠ 0} としてアフィン座標系を得ることができる。n + 1 個の座標は、CP n を覆う被覆 Ui を貼り合わせ、Ui 上のアフィン座標 (z1 ,…,zn ) の項として明確に計量を与えることが可能となる。この座標の微分は、CP n の正則接バンドルの標構
{
∂
1
,
…
,
∂
n
}
{\displaystyle \{\partial _{1},\ldots ,\partial _{n}\}}
を定義し、フビニ・スタディ計量は、エルミート成分
h
i
j
¯
=
h
(
∂
i
,
∂
¯
j
)
=
(
1
+
|
z
|
2
)
δ
i
j
¯
−
z
¯
i
z
j
(
1
+
|
z
|
2
)
2
{\displaystyle h_{i{\bar {j}}}=h(\partial _{i},{\bar {\partial }}_{j})={\frac {(1+|\mathbf {z} |^{2})\delta _{i{\bar {j}}}-{\bar {z}}_{i}z_{j}}{(1+|\mathbf {z} |^{2})^{2}}}}
として表すことができる。ここに |z |2 = z 1 2 +...+z n 2 である。つまり、この標構でのフビニ・スタディのエルミート行列 は、
(
h
i
j
¯
)
=
1
(
1
+
|
z
|
2
)
2
[
1
+
|
z
|
2
−
|
z
1
|
2
−
z
¯
1
z
2
⋯
−
z
¯
1
z
n
−
z
¯
2
z
1
1
+
|
z
|
2
−
|
z
2
|
2
⋯
−
z
¯
2
z
n
⋮
⋮
⋱
⋮
−
z
¯
n
z
1
−
z
¯
n
z
2
⋯
1
+
|
z
|
2
−
|
z
n
|
2
]
{\displaystyle {\bigl (}h_{i{\bar {j}}}{\bigr )}={\frac {1}{(1+|\mathbf {z} |^{2})^{2}}}\left[{\begin{array}{cccc}1+|\mathbf {z} |^{2}-|z_{1}|^{2}&-{\bar {z}}_{1}z_{2}&\cdots &-{\bar {z}}_{1}z_{n}\\-{\bar {z}}_{2}z_{1}&1+|\mathbf {z} |^{2}-|z_{2}|^{2}&\cdots &-{\bar {z}}_{2}z_{n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\-{\bar {z}}_{n}z_{1}&-{\bar {z}}_{n}z_{2}&\cdots &1+|\mathbf {z} |^{2}-|z_{n}|^{2}\end{array}}\right]}
である。
各々の行列要素はユニタリ不変であることに注意すると、対角作用
z
↦
e
i
θ
z
{\displaystyle \mathbf {z} \mapsto e^{i\theta }\mathbf {z} }
はこの行列を不変とする。
斉次座標
斉次座標 Z = [Z0 ,...,Zn ] による表現も可能である。表現の意味をうまく解釈すると、
d
s
2
=
|
Z
|
2
|
d
Z
|
2
−
(
Z
¯
⋅
d
Z
)
(
Z
⋅
d
Z
¯
)
|
Z
|
4
=
Z
α
Z
¯
α
d
Z
β
d
Z
¯
β
−
Z
¯
α
Z
β
d
Z
α
d
Z
¯
β
(
Z
α
Z
¯
α
)
2
=
2
Z
[
α
d
Z
β
]
Z
¯
[
α
d
Z
¯
β
]
(
Z
α
Z
¯
α
)
2
.
{\displaystyle {\begin{aligned}ds^{2}&={\frac {|\mathbf {Z} |^{2}|d\mathbf {Z} |^{2}-({\bar {\mathbf {Z} }}\cdot d\mathbf {Z} )(\mathbf {Z} \cdot d{\bar {\mathbf {Z} }})}{|\mathbf {Z} |^{4}}}\\&={\frac {Z_{\alpha }{\bar {Z}}^{\alpha }dZ_{\beta }d{\bar {Z}}^{\beta }-{\bar {Z}}^{\alpha }Z_{\beta }dZ_{\alpha }d{\bar {Z}}^{\beta }}{(Z_{\alpha }{\bar {Z}}^{\alpha })^{2}}}\\&={\frac {2Z_{[\alpha }dZ_{\beta ]}{\overline {Z}}^{[\alpha }{\overline {dZ}}^{\beta ]}}{\left(Z_{\alpha }{\overline {Z}}^{\alpha }\right)^{2}}}.\end{aligned}}}
を得る。ここに和は、ギリシャ文字のインデックス α β が 0 から n までを渡るようにとり、最後の等式は次のテンソル積の非対称部分の標準記法が使われる。
Z
[
α
W
β
]
=
1
2
(
Z
α
W
β
−
Z
β
W
α
)
.
{\displaystyle Z_{[\alpha }W_{\beta ]}={\frac {1}{2}}\left(Z_{\alpha }W_{\beta }-Z_{\beta }W_{\alpha }\right).}
この ds2 の表現は、全トートロジーバンドル
C
n
+
1
∖
{
0
}
{\displaystyle \mathbb {C} ^{n+1}\backslash \{0\}}
の全空間上のテンソルを定義するように一見、思われる。CP n のトートロジーバンドルの正則切断 σ にそって引き戻すことにより、CP n 上のテンソルであることが分かる。従って、この値は、引き戻しの値が切断の選択に独立であることが判明し、直接、計算することができる。
この計量のケーラー形式は、全体渡る定数正規化を、
ω
=
i
∂
∂
¯
log
|
Z
|
2
{\displaystyle \omega =i\partial {\overline {\partial }}\log |\mathbf {Z} |^{2}}
とすると、正則切断の選択とは明らかに独立である引き戻しとなる。log|Z |2 の値は、CP n のケーラースカラーである。
n = 1 の場合
n = 1 の場合は、立体射影 により微分同相
S
2
≅
C
P
1
{\displaystyle S^{2}\cong \mathbb {CP} ^{1}}
が存在する。この同相は、「特別な」ホップファイバー S1 → S3 → S2 を導く。フビニ・スタディ計量が CP 1 上の座標で記述されると、実接バンドルへの制限は、S2 上の半径 1/2 (ガウス曲率 が 4 である)通常の「周りの」(球面上の)計量の表現となる。
すなわち、z = x + iy をリーマン球面 CP 1 上の標準的アフィン座標系とし、x = r cosθ, y = r sinθ が C 上の極座標系とすると、回転の計算は、
d
s
2
=
Re
(
d
z
⊗
d
z
¯
)
(
1
+
|
z
|
2
)
2
=
d
x
2
+
d
y
2
(
1
+
r
2
)
2
=
1
4
(
d
ϕ
2
+
sin
2
ϕ
d
θ
2
)
=
1
4
d
s
u
s
2
{\displaystyle ds^{2}={\frac {\operatorname {Re} (dz\otimes d{\overline {z}})}{\left(1+|z|^{2}\right)^{2}}}={\frac {dx^{2}+dy^{2}}{\left(1+r^{2}\right)^{2}}}={\frac {1}{4}}(d\phi ^{2}+\sin ^{2}\phi \,d\theta ^{2})={\frac {1}{4}}ds_{us}^{2}}
であることを示している。ここに、
d
s
u
s
2
{\displaystyle ds_{us}^{2}}
は単位 2-球面の上の回転する計量である。ここに φ, θ は数学で使う立体射影 r tan(φ/2) = 1, tanθ = y/x による S2 上の球面座標 である(物理では、 φ と θ の役割が入れ替わることが多い)。
曲率の性質
n = 1 の特別な場合には、フビニ・スタディ計量は、2-球面の上の計量との同一性に従うと、4 である定数のスカラー曲率を持つ(このことは与えられた半径 R の球面はスカラー曲率
1
/
R
2
{\displaystyle 1/R^{2}}
を持つ)。しかし、n > 1 に対しては、フビニ・スタディ計量は定数曲率を持たない。その断面曲率は、代わりに、次の等式で与えられる[ 1] 。
K
(
σ
)
=
1
+
3
⟨
J
X
,
Y
⟩
2
{\displaystyle K(\sigma )=1+3\langle JX,Y\rangle ^{2}}
ここに、
{
X
,
Y
}
∈
T
p
C
P
n
{\displaystyle \{X,Y\}\in T_{p}\mathbf {CP} ^{n}}
は 2-平面 σ の直交基底であり、J : TCP n → TCP n は CP n 上の線型複素構造 (英語版 ) (linear complex structure)であり、
⟨
⋅
,
⋅
⟩
{\displaystyle \langle \cdot ,\cdot \rangle }
はフビニ・スタディ計量である。
この公式の結果、断面曲率はすべての 2-平面
σ
{\displaystyle \sigma }
に対し
1
≤
K
(
σ
)
≤
4
{\displaystyle 1\leq K(\sigma )\leq 4}
を満たす。最大断面曲率 (4) は正則 2-平面で到達される。つまり、そこでは J(σ) ⊂ σ である。一方、最小断面曲率 (1) は J(σ) が σ に直交である 2-平面で達成される。フビニ・スタディ計量が 4 に等しい「定数」正則 断面曲率であるとよく言われる理由である。
このことは、CP n を1/4ピンチ多様体 (英語版 ) (quarter pinched manifold)である。この優れた定理は、厳密な 1/4 ではられる単連結 な n 次元多様体は、球に同相でなければならないことを示している。
フビニ・スタディ計量は、自分自身のリッチテンソル に比例するアインシュタイン計量 でもある。すなわち、定数 λ が存在して、すべての i, j に対し、
R
i
c
i
j
=
λ
g
i
j
{\displaystyle Ric_{ij}=\lambda g_{ij}}
である。このことは、なによりも、フビニ・スタディ計量がリッチフロー のスカラー倍に対しては不変のままであることを意味する。また、CP n のフビニ・スタディ計量は、アインシュタインの場の方程式 の非自明な真空解となっているので、一般相対論 において不可欠なものとなっている。
量子力学では
量子力学 では、フビニ・スタディ計量は、ビューレス計量 (英語版 ) (Bures metric)としても知られている[ 2] 。しかしながら、ビューレス計量は、典型的には混合状態 の記法の中で定義される。一方、以下に示すことは純粋状態 の項で記述されている。計量の実部は、フィッシャー情報計量 (英語版 ) (Fisher information metric)(の 4倍)である[ 2] 。
フビニ・スタディ計量は、量子力学 で共通して使われているブラ-ケット記法 (bra–ket notation)を使い書くこともできるし、代数幾何学 の射影多様体 の記法を使っても書くことができる。これら 2つのことばが明らかに同じであることを示すために、
|
ψ
⟩
=
∑
k
=
0
n
Z
k
|
e
k
⟩
=
[
Z
0
:
Z
1
:
…
:
Z
n
]
{\displaystyle \vert \psi \rangle =\sum _{k=0}^{n}Z_{k}\vert e_{k}\rangle =[Z_{0}:Z_{1}:\ldots :Z_{n}]}
とする。ここに、
{
|
e
k
⟩
}
{\displaystyle \{\vert e_{k}\rangle \}}
はヒルベルト空間 の直交 基底ベクトル の集合であり、
Z
k
{\displaystyle Z_{k}}
は複素数で、
Z
α
=
[
Z
0
:
Z
1
:
…
:
Z
n
]
{\displaystyle Z_{\alpha }=[Z_{0}:Z_{1}:\ldots :Z_{n}]}
は斉次座標 (英語版 ) (homogenous coordinates)での射影空間
C
P
n
{\displaystyle \mathbb {C} P^{n}}
の標準的記法である。すると、2つの点
|
ψ
⟩
=
Z
α
{\displaystyle \vert \psi \rangle =Z_{\alpha }}
and
|
ϕ
⟩
=
W
α
{\displaystyle \vert \phi \rangle =W_{\alpha }}
が空間内に与えられると、これらの間の距離は、
γ
(
ψ
,
ϕ
)
=
arccos
⟨
ψ
|
ϕ
⟩
⟨
ϕ
|
ψ
⟩
⟨
ψ
|
ψ
⟩
⟨
ϕ
|
ϕ
⟩
{\displaystyle \gamma (\psi ,\phi )=\arccos {\sqrt {\frac {\langle \psi \vert \phi \rangle \;\langle \phi \vert \psi \rangle }{\langle \psi \vert \psi \rangle \;\langle \phi \vert \phi \rangle }}}}
あるいは、同じことであるが射影多様体の記法では、
γ
(
ψ
,
ϕ
)
=
γ
(
Z
,
W
)
=
arccos
Z
α
W
¯
α
W
β
Z
¯
β
Z
α
Z
¯
α
W
β
W
¯
β
.
{\displaystyle \gamma (\psi ,\phi )=\gamma (Z,W)=\arccos {\sqrt {\frac {Z_{\alpha }{\overline {W}}^{\alpha }\;W_{\beta }{\overline {Z}}^{\beta }}{Z_{\alpha }{\overline {Z}}^{\alpha }\;W_{\beta }{\overline {W}}^{\beta }}}}.}
である。
ここに、
Z
¯
α
{\displaystyle {\overline {Z}}^{\alpha }}
は
Z
α
{\displaystyle Z_{\alpha }}
の複素共役 である。分母に
⟨
ψ
|
ψ
⟩
{\displaystyle \langle \psi \vert \psi \rangle }
が現れたことは、
|
ψ
⟩
{\displaystyle \vert \psi \rangle }
と、同様に
|
ϕ
⟩
{\displaystyle \vert \phi \rangle }
が単位長へ正規化されていないので正規化するためである。このように、正規化は明確になされる。ヒルベルト空間では、計量は 1つのベクトルの間の角度として、むしろ容易に解釈することができる。これが量子角度 (quantum angle)と呼ばれるものである。角度は実数値で 0 から
π
/
2
{\displaystyle \pi /2}
まで変化することができる。
この計量の無限小形式は、
ϕ
=
ψ
+
δ
ψ
{\displaystyle \phi =\psi +\delta \psi }
、あるいは同じことであるが、
W
α
=
Z
α
+
d
Z
α
{\displaystyle W_{\alpha }=Z_{\alpha }+dZ_{\alpha }}
を取ることにより、直ちになされ、
d
s
2
=
⟨
δ
ψ
|
δ
ψ
⟩
⟨
ψ
|
ψ
⟩
−
⟨
δ
ψ
|
ψ
⟩
⟨
ψ
|
δ
ψ
⟩
⟨
ψ
|
ψ
⟩
2
.
{\displaystyle ds^{2}={\frac {\langle \delta \psi \vert \delta \psi \rangle }{\langle \psi \vert \psi \rangle }}-{\frac {\langle \delta \psi \vert \psi \rangle \;\langle \psi \vert \delta \psi \rangle }{{\langle \psi \vert \psi \rangle }^{2}}}.}
を得る。
量子力学 の脈絡では、CP 1 のことをブロッホ球 と呼ぶ。フビニ・スタディ計量は、量子力学の幾何学化への自然な計量 である。量子エンタングルメント やベリー位相 などの量子力学での特別な振る舞いの多くは、フビニ・スタディ計量の特別性に帰着することができる。
積計量
分離性の共通の考え方は、フビニ・スタディ計量にも適用される。さらに詳しくは、計量が射影空間の自然な積、セグレ埋め込み (英語版 ) (Segre embedding)で分離的である。すなわち、
|
ψ
⟩
{\displaystyle \vert \psi \rangle }
が分離的状態 (英語版 ) (separable state)[ 3] であるとき、従って、
|
ψ
⟩
=
|
ψ
A
⟩
⊗
|
ψ
B
⟩
{\displaystyle \vert \psi \rangle =\vert \psi _{A}\rangle \otimes \vert \psi _{B}\rangle }
とかけるときに、計量は部分空間の計量の和として書くことができる。
d
s
2
=
d
s
A
2
+
d
s
B
2
.
{\displaystyle ds^{2}={ds_{A}}^{2}+{ds_{B}}^{2}\ \ .}
ここに
d
s
A
2
{\displaystyle {ds_{A}}^{2}}
と
d
s
B
2
{\displaystyle {ds_{B}}^{2}}
はそれぞれ部分空間 A と B 上の計量とする。
脚注
^ Sakai, T. Riemannian Geometry , Translations of Mathematical Monographs No. 149 (1995), American Mathematics Society.
^ a b Paolo Facchi, Ravi Kulkarni, V. I. Man'ko, Giuseppe Marmo, E. C. G. Sudarshan, Franco Ventriglia "Classical and Quantum Fisher Information in the Geometrical Formulation of Quantum Mechanics " (2010), Physics Letters A 374 pp. 4801. DOI: 10.1016/j.physleta.2010.10.005
^ エンタングルメントを持たない状態のことをいう。
参照項目
参考文献
Besse, Arthur L. (1987), Einstein manifolds , Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete (3) [Results in Mathematics and Related Areas (3)], vol. 10, Berlin, New York: Springer-Verlag , pp. xii+510, ISBN 978-3-540-15279-8
Brody, D.C.; Hughston, L.P. (2001), “Geometric Quantum Mechanics”, Journal of Geometry and Physics 38 : 19–53, arXiv :quant-ph/9906086 , Bibcode : 2001JGP....38...19B , doi :10.1016/S0393-0440(00)00052-8
Griffiths, P. ; Harris, J. (1994), Principles of Algebraic Geometry , Wiley Classics Library, Wiley Interscience, pp. 30–31, ISBN 0-471-05059-8
Onishchik, A.L. (2001) [1994], "Fubini–Study metric" , Encyclopedia of Mathematics , EMS Press .