ブエノスアイレスの鉄道![]() ![]() ブエノスアイレスの鉄道(ブエノスアイレスのてつどう)では、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで運行されている鉄道路線についてを記述する。同じ路線で運行されている中・長距離列車と貨物列車についてはアルゼンチンの鉄道も、同市内で運行されている地下鉄についてはブエノスアイレス地下鉄を参照。 概要1948年、当時同国の大統領であったフアン・ペロンによる経済計画の一環として、同国内の私有・州有鉄道がすべて国有化されたが、国家財政の悪化により設備の維持が困難となり、1991年に鉄道労働組合の大きなストライキが発生したことを受けて順次再民営・州営化が始まり、1997年にすべて完了した。その民営化後、2007年までブエノスアイレスの近郊鉄道は
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前ブエノスアイレス市長で第57代大統領となったマウリシオ・マクリが中心となってパリのRERをモデルとしたPER計画が進められており、都心部を16kmの地下トンネルを建設して相互乗り入れを行う計画となっている。
ベルグラーノ北線概要ベルグラーノ北線はレティーロ(ベルグラーノ)駅とビシャローザ駅を結ぶ総延長55 km・1,000 mmの非電化路線であり、民営のフェロビアスが運行。 2015年、アルゼンチン国鉄により、同国製の新しい気動車、Emepa Alerceが投入され、朝晩を中心にレティーロ(ベルグラーノ)駅とデル・ヴィゾ駅の間において、途中二つの駅のみ停車する急行列車の運行を開始したが、利用率や車両の脱線事故などが影響したとみられ、2018年より運行を休止している。 フェロビアスによる運行は終日、各駅停車のみ。ブエノスアイレス大学に隣接したブエノスアイレス都市大学駅など新駅の設置や、プラットホームの嵩上げなどの近代化が行われている。 運行形態フェロビアス
アルゼンチン国鉄
ベルグラーノ南線![]() ![]() ベルグラーノ南線は1,000mmの非電化路線であり、新アルゼンチン国鉄が2015年に中国の大連機車車輛から購入した気動車及びディーゼル機関車と客車の編成によって、ブエノスアイレス駅と6月20日駅およびマリノス・デル・ベルグラーノ駅の間の2系統及びアルシナ橋駅とアルド・ボンスィ駅の間の1系統の計3系統が運行され、新駅の設置や一部区間の高架化工事などの近代化が行われている[3][4]。ターミナル駅が都心部から離れているため近郊鉄道の中では利用客数は最も少ない。2019年現在は線路の改良工事に伴いブエノスアイレス駅と隣のDr・アントニオ・サエンス駅の間は運休しており、上記2系統の列車は全てDr・アントニオ・サエンス駅発着となっている。 運行形態
ミトレ線![]() ミトレ線はレティーロ駅を拠点とする電化3系統と、途中駅を拠点とする非電化2系統の計5系統に分かれている。 運行形態
サン・マルティン線サン・マルティン線はレティーロ駅(サン・マルティン)とDr・ドミンゴ・カブレド駅を結ぶ72.5kmの非電化路線[9]。中国南車及び大連機車車輛製の新車両投入と駅施設等の改築や一部区間の高架化等が進められている。1980年代にソビエト連邦の技術支援により計画されたものの実現しなかった電化工事(全区間)が計画されている。 運行形態![]() ![]() サルミエント線サルミエント線は総延長174km。オンセ - モレーノ及びプラサ・ミゼレレ - カバシート間が電化、プエルトマデロ - カバシート、モレーノ - メルセデス、メルロ - ロボス間が非電化となっている。踏切が多く、周辺道路の渋滞を発生させているカバシート - モレーノ間の33km区間の地下化が進められている。 運行形態
![]() ![]() ロカ線ロカ線はプラサ・コンスティトゥシオン駅を拠点に、総延長198kmに及ぶ最長の路線で13系統に分かれており、主要な区間は全て電化されている。乗客数も最も多く、1日に50万人以上の利用客数を数える。1960年代から80年代には日本政府がロカ線電化に貢献し、"Toshiba"と呼ばれる高性能の日本製電車が導入された。1995年より民間の企業であるTMR(Transporte Metropolitano Roca,3路線総合鉄道運営会社メトロポリターノ傘下)の元でサービスが劣化し、電化延伸工事も停滞していたが、2007年よりUGOFEの元で近代化に着手し、2015年より再び国営となった。 運行形態
![]() ![]() ウルキサ線→詳細は「ブエノスアイレス地下鉄 § 郊外電車」を参照
ウルキサ線は地下鉄B線のフェデリコ・ラクロセ駅と郊外のヘネラル・レモス駅の間で運行され、地下鉄各線と同じメトロビアスによる運営[22]。唯一の1,435mm路線である。 運行形態
州内の都市間列車と州間の都市間列車→詳細は「アルゼンチンの鉄道」を参照
1857年に鉄道がはじめて建設されて以降、アルゼンチンの鉄道はパタゴニア地方の4路線を除きすべてブエノスアイレスを起点として放射状に国内全土にはりめぐらされ、ブエノスアイレスは陸上輸送の結節点となった。しかし、1990年代の鉄道民営化に伴って国内の旅客列車の多くが廃止となった。 2010年時点の都市間列車運営会社は以下の通りである。
2013年以降は再国有化の一環として、TEAを除く上記の企業からSOFSE(新アルゼンチン国鉄)に順次これらの列車の運行が移されたが、移行期間の間は一部の列車は上記企業と共同で運行され、2016年のフェロバイレスの運行休止によりひととおりの列車が国鉄の運行に戻った。いくつかの引き継がれなかった路線は運休している。 ブエノスアイレスとロサリオやコルドバを最高時速320 km/hで結ぶ高速鉄道プロジェクトが進行中であるが、資金トラブルが発生し計画は進んでいない。
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![]() ![]() 地下鉄→詳細は「ブエノスアイレス地下鉄」を参照
メトロビアスによってA線・B線・C線・D線・E線・H線の地下鉄(Subte)6路線が運営されている。 路面電車(トラム)・LRTメトロビアスと新アルゼンチン国鉄(SOFSE)がそれぞれ1路線ずつ、計2路線を運営している。
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→詳細は「ブエノスアイレス地下鉄 § トラム」を参照
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→詳細は「トレン・デ・ラ・コスタ」を参照
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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