マジックミラー号
![]() ![]() マジックミラー号(マジックミラーごう)は、ソフト・オン・デマンドが製作したアダルトビデオ撮影用の移動スタジオ。およびこの車両を使用した映像作品。「MM号」と略される場合もある。 マジックミラー号の商標権は、ソフト・オン・デマンド株式会社が所有しており(登録商標 第4746722号)、2016年10月発売よりディープスからリリースされている「顔出し!マジックミラー号」シリーズは「ザ・マジックミラー」、「マジックミラー便」へ名称が変更された。 概要![]() ![]() トラック(6代目三菱ふそう・キャンターベースのキャンピングカーを改造したもの)の荷台が一面マジックミラーによって囲われており、外から見ると一見ただの鏡にしか見えないが、中から見ると外が丸見えになっており、そこで脱ぐ事であたかも路上で脱いでいるように見える。そのためナンパしてきた素人の女性をただ脱がす事以上に恥じらいを演出できる。初期の作品では裸になった素人女性が通行人に見られているかのように思わせる演出が行われていた。なおマジックミラーの特性上、夕方や夜といった「太陽光が少ない状態」では外から見えてしまうため、その時間帯の撮影はカーテンが閉められる。 元テレビマンでもある高橋がなりが、テレビ番組のコーナーをヒントに考案[1]。当初はマジックミラーを使った「露出モノ」の企画だったが、そこに「ナンパ」という要素を組み入れ、マジックミラー号は誕生した[1]。総製作費は約5000万円[2]。 車体は、通常は普通のトラックの状態だが、撮影時には運転席側に張り出し部(アウトリガー)を展開し、そこに荷台(カプセル)を押し出すことで部屋を拡張する[2]。構造が複雑であるため、SOD社内でもMM号を運行できるのは整備士等の資格を持つ2名のみ[2]。室内は約6畳の広さがある上にエアコンやシャワー室も付いており、実際に中を見学した人間からは「普通に住める」とも評されている[3]。またマジックミラーは助手席側に設けられているが、こちらも通常は跳ね上げ式のシャッター(ウィング)で隠されており、撮影時のみ開けられる[2]。室内の壁紙は年1回貼り替えを行う[2]。 車両重量は車体が約3.5トンに対して架装部が約4~5トンあり、初期には車体が傾くトラブルなどが発生しているほか、タイヤへの負担も大きいため「一度の撮影で2回タイヤがバーストした」こともある。このためタイヤの管理には特に気を使っているという[2]。 歴史背景として、SODの企画作品「地上20メートル空中ファック」(1996年)が惨憺たる売上に終わり、資金が尽きかけた同社がナンパもの作品に活路を見出したことがあり、高橋がなりがテレビ時代にマジックミラーを利用したバラエティ作品を手掛けていた経験を生かして発案したとされている[4]。 1996年に、マジックミラー号を使った第1号作品「爆走マジックミラー号がイク」[5]がリリースされる[1]。サダージ深野やマメゾウ(のちの久保直樹[6])などが中心となり、ソフト・オン・デマンドの素人ナンパものの看板シリーズとして名を上げた。初代車両の初期は水玉模様の外装であったが[7]、人だかりができるようになったため3作目より白に塗りかえられた[7]。この時期はトラック自体は撮影の度に借りており、荷台に乗せるボックス部分のみだった[8]。 1997年に女優側が成人式や入学式に赴き素人男性をナンパする『逆ナンパ』シリーズが開始。のちの女優×ミラー号シリーズにも発展する爆発的なヒット作となる[8]。1998年より機動力を生かし、振袖ナンパ編や、成人式晴れ着で野球拳編、湘南ビキニ編、私をスキーに連れてって編。さらに京都・大阪・神戸をめぐる三都物語編などをリリース。同年には女流監督・菅原ちえがデビューし『ウブな女のちんちん研究』、『初めてのDeepKiss』がヒット[8]。 1999年よりマジックミラー号は、この年に設立されたディープスに移行[9]、マメゾウの後継者としてパンチが二代目として監督を引き継ぎ、ハイパーマジックミラー号として活躍を続けている。また、ソフト・オン・デマンドでもマジックミラー号作品を定期的にリリース。2000年には『マジックミラー号逆ナンパ編14』がSOD年間売り上げ1位を記録[8]。2001年には撮影スペースが拡充する2代目マジックミラー号が誕生。当時は『スーパーマジックミラー号』『マジックミラー号21』『新型マジックミラー号』など作品ごとに別の呼称となっていた[8]。 誕生以来、何度も改造が行われ[10]、撮影スペースであるミラーボックスを拡充していったが、ついには路上駐車が困難なまでに車体が大型化したため、2009年にはマジックミラー号を小型化した「マジックミラー便(MM便)」が製作されている[1]。これとは別に、2004年には「マジックミラー号ちびQ」なる物も製作されているが、こちらは軽トラックや手押し台車に乗せて運ぶことができる、マジックミラーで囲まれた箱であり、自力での移動能力を持たない。 一時売上が低迷した時期もあったが、後にいわゆる「寝取られもの」へMM号が利用され、それが「単体デビューでもなかなか1万本いかないって時代に、2万本の大台を超えていきました」という高い売上を記録したことで復活につながった[4]。 現在[いつ?]は道路交通法上の理由で繁華街等での路上撮影が困難な為、マジックミラーでの演出については形骸化している部分もある。実際マジックミラー号が有名になりすぎたため、撮影をしていると野次馬がどこからともなく集まってきてしまうといい、「人が写り込むとVTR的に使えなくなってしまう」ため、2021年時点では新作の撮影が難しくなっているとされた[11]。 2019年1月には元TVバラエティ制作者・小林ソーランによる“密室だと思っていたらすべて周囲から見られていた”という『逆転マジックミラー号』シリーズがSODクリエイトから発売開始された[12][13]。 芸人のリップグリップ岩永は、『マジックミラー号』作品は継続的に出ているものの、2025年時点では有名になり過ぎてしまったが故「外から見られてしまうかも」という羞恥を生かした作品は減少していると分析[14]。外に抜けた景色があるということ生かし春は振袖、夏は水着女子、秋はアスリート、冬はゲレンデなど「春夏秋冬を楽しむ」作品となっており、車の使い方としては「ラブホ的な場所」へと作品の位置づけの変容を指摘している[14]。 25周年作品として2021年12月に制作された『マジックミラー号からの脱出』シリーズ(レミレミ・ニューワールド監督)では岩永の指摘の通り「セックスしないと脱出できない」閉鎖された箱として使用されており、2025年5月26日週FANZA動画フロアランキングにおいて、『マジックミラー号からの脱出!7 LIKEとLOVEの違いが分からない18歳応援SP!制限時間100分でSEXしないと脱出できないマジックミラー号に、絶対にヤってはイケない関係の2人を閉じ込めたら…禁断のSEXをしてしまうのか!?』(SODクリエイト)が初登場6位にランクインするヒット作となった[15]。 既に2代目の導入から20年以上が経過しているが、2022年のインタビューで同社は「機関部は好調であと10年は大丈夫そう」「架装部は雨漏りなどの問題は出ているものの、年1回ペースで大規模修繕を行い状態を維持している」と答えている。むしろ問題は運行担当者の後継者がいないことだという[4]。また3代目の製作については、アイデアは社内でいくつか出ているものの、具体的な計画立案までは至っていないとしている[4]。 2022年時点でマジックミラー号のタイトルが付せられたアダルト・ビデオ作品の総発売本数は1473本[16]。乗車した人数は延べ8000人を超え、総走行距離は地球25週分(約100万キロ)[16]。 その他
脚注
関連書籍
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