メモリースポーツメモリースポーツは、記憶した能力を披露し競う競技である。Memory Sportsをそのまま直訳し、記憶力競技と呼ばれることもある。イギリス発祥の競技でドイツ、アメリカ、オーストラリア、アルジェリアなど世界40カ国以上で大会が開催されており、英語名ではMemory Championshipと呼ばれ、日本語では記憶力選手権や記憶力大会と呼ばれることが多い。 近年世界中での急激な競技に発展に伴い、10種競技、5種目競技、1種目競技、1VS1やチームでの対戦形式でも大会が行われており、日本メモリースポーツ協会のホームページによると世界で1000万人以上の競技人口がいると言われている。 日本でも2005年から2019年まで奈良県の大和郡山市で記憶力大会が開催されていた。 2014年からは国際大会標準に則ったルールで行われるジャパンオープン記憶力選手権(2017年まで東京フレンドリー記憶力選手権という名称)が開催されている。 対戦形式の大会として2018年からMemory League Championship(MLC)、初心者に優しい1種目の大会として2019年からSpeed Cards Challenge(SCC)が開催されている。 記憶力のみを競うマインドスポーツ(頭脳スポーツ)とも捉えられる。 メモリースポーツを行う競技者のことをメモリーアスリートと呼ぶ。 日本国内でも急激な競技の発展に伴いメモリースポーツを行うチームや地域クラブ、大学サークルなどが続々と誕生している。 ![]() 世界の大会世界記憶力選手権(World Memory Championships)は、1991年にトニー・ブザンとチェスのグランドマスターであるレイモンド・キーンが創設した、人間の記憶技術の向上をテーマとした世界競技大会である。元々2016年途中までWorld Memory Sports Council(WMSC:世界メモリースポーツ協会)が全ての大会の統括を行っていたが、World Memory Sports Council(世界メモリースポーツ協会)が内部分裂する形で、The International Association of Memory(IAM:国際記憶協会)が2016年に発足された。その後、The International Association of Memoryから香港、インドネシア、シンガポールなどの一部の組織が離脱し、Global Alliance Memory of Athletics(GAMA)を新たに発足した。 また2014年からは、IAM管轄下で従来の形式とは異なる1対1の対戦形式5種目で競う、World Memory League Championship(World MLC)も開催されている。World Memory League Championshipも含めると現在4つの世界選手権が存在することになる。世界的なコロナウイルスの流行により、ほとんどの世界選手権は開催されていないが、オンライン対戦型のWorld Memory League Championshipが2022年1月に開催予定。 世界記憶力選手権と各統括団体2016年まで世界記憶力選手権(World Memory Championship)はWMSC(World Memory Sports Council)統括の大会のみであったが、WMSC内部や選手と協会間のさまざまなトラブルなどを理由に、WMSC内部から中国とアラビア圏を除くほとんどの組織が離脱し新組織IAM(The International Association of Memory)を立ち上げた。 そのため、2017年には、WMSC統括の世界記憶力選手権とIAM統括の世界記憶力選手権が存在するという複雑な形になった。また、2018年の10月にIAMからアジアの数カ国が離脱し、Global Alliance of Memory Athletics(GAMA)を立ち上げた。そのため2019年にはGAMA統括下での世界記憶力選手権が2019年から開催される予定。 競技内容は、全て10種目で競い、WMSC統括の大会はAbstract Imagesを行うのに対し、IAM統括の大会はRandom Imagesで行う。GAMA傘下の大会についてはさらなる競技種目の変更が行われる予定。 2019年後半には、WMSCが「IAMやGAMAの公認大会に出場した選手は、WMSCの大会への出場を禁ずる」との発表を行ったが、その後コロナウイルスの世界的流行もあり、2021年段階では大会がされていないため実施はされていない。日本メモリースポーツ協会は、WMSC、IAM、GAMAとの全ての組織との提携を結んでいる。
World Memory League Championship(World MLC)全米チャンピオンであるネルソン・デリスと豪州チャンピオンでコンピューターエンジニアであるサイモン・オルトンが中心となり、選手だけでなく観客も楽しむことのできる1対1の対戦形式で行うExtreme Memory Tournament(現:World Memory League Championship)を2014年に創設した。その後名称を変え毎年アメリカのサンディエゴでWorld Memory League Championshipを開催している。コンピューターを使用し、1対1の対戦形式で5種目で勝敗を競う。全ての競技で1分で記憶し、4分で回答する方式を取っている。観客席にはモニターがあり、両方の選手が記憶している内容や回答している際の内容と正誤が表示され、試合の流れを見ることができる。大会出場には予選があり、突破した選手のみ参加が可能である。 World Memory League Championshipの競技5種目についてWorld Memory League Championshipの開催地と歴代優勝者について![]()
世界各国での10種競技の大会世界記憶力選手権以外にも毎年20以上の国と地域でメモリースポーツの大会が開催されている。ルールは世界記憶力選手権10種目で3日間開催に対し、1種目競技ごとの時間を短縮し10種目を1〜2日間で開催される。 世界各国での大会には、national standardとinternational standardと呼ばれる2種類があり、national standardの方がinternational standardよりも各種目の時間が短い。主に各国レベルの国際大会(オーストラリア選手権や香港選手権など)では、national standardで開催され、大陸レベルの大会(アジア選手権やアラビア選手権など)ではinternational standardで開催されることが多い。
各種目の世界記録と日本記録世界記録は2017年12月3日現在。 世界各国の大会での日本人選手の成績10種競技の日本人選手の成績
※大会の得点は世界記録を元に毎年種目ごとに見直しがされるため、大会当時の得点と現在の得点は異なる場合があり、それにより当時下位だった選手が上位だった選手を現得点で上回ることがある。 Memory League Championship(5種目)の日本人選手の成績
※大会本戦に進出した選手のみ掲載 日本の大会日本のメモリースポーツの大会は、2005年に奈良県の大和郡山市で始まった記憶力大会が始まりとされており、その後2014年にメモリースポーツの日本チャンピオンである青木健を中心に日本メモリースポーツ協会が設立された。現在開催されているメモリースポーツの大会については、年に1度開催される奈良県の大和郡山市の記憶力大会を除き、国際大会などの予選などを含め全て日本メモリースポーツ協会の管轄下で大会が行われている。 記憶力大会奈良県の大和郡山市で町おこしの一環として開催され、町おこしを目的としたイベント。「自慢の部」、「競技の部」、「記憶力日本選手権大会」の3部門で構成される。
日本国内ルール世界記憶力選手権大会公式ルールを参考にした独自のルールで行う。 競技5種目世界記憶力選手権大会の10種目より5種目を抜粋。
総合成績
※2020年以降の記憶力日本選手権大会は大会そのものが廃止、消滅した。新型コロナウイルスのパンデミックにより、これまでの形式での開催継続が難しくなったことも、廃止の理由の一つとなった。 Japan Open Memory Championships(ジャパンオープン記憶力選手権)ジャパンオープン記憶力選手権(Japan Open Memory Championships)は、10種競技の日本一のメモリーアスリートを決める大会である。2012年度の記憶力日本選手権大会の優勝者である青木健が東京フレンドリー記憶力選手権(Tokyo Friendly Memory Championships)を、メモリースポーツの発展と各国選手ならび関係者の親交を深めることを目的に、創設したが、競技人口の増加や国際組織公認の日本チャンピオンを決定する大会がなかったため、2018年度より名称が変更になった。 奈良県で毎年開催される記憶力日本選手権大会とは異なり、国際的な大会のため日本語以外の言語にも対応しているため、外国人選手の参加も可能である。毎年、韓国、中国、シンガポール、インドネシア、ドイツ、アメリカなど世界中から選手が参加している。また、2016年まではWorld Memory Sports Council(WMSC:世界記憶競技協議会)公認の大会であったため、本大会での成績は、WMSC発表の世界ランキングに反映されていた。2017年の大会からIAMの公認の大会になり、IAM発表の世界ランキングに反映されるようになった。 総合成績
Friendly Memory Championships(フレンドリー記憶力選手権)2018年から開催されている5種目(顔と名前、無作為の単語、イメージ、スピードナンバー、スピードカード)の大会であり、第一回は東京で開催された。 従来の10種目の大会は、選手にとっての負担や競技への参加するハードルが高いが、5種目で開催されるため比較的参加しやすい大会になっている。 5種目のためIAM発表の世界ランキングには反映されないがスコアはオンライン上に掲載され、日本メモリースポーツ協会の5種目の日本ランキングには反映される。 ジャパンオープン記憶力選手権と同様に、国際的な大会のため日本語以外の言語にも対応しているため、外国人選手の参加も可能である。 総合成績
Japan Memory League Championship(Japan MLC)日本チャンピオンの青木健とオーストラリアチャンピオンのサイモン・オルトンを中心にメモリースポーツのオンラインサイトMemory Leagueを使用した大会が2018年に初めて開催された。 各国のチャンピオンなどの招待選手と国内予選を通過した選手で優勝を競う。各選手は他の大会と異なりプレイヤー名でプレイする。 コンピューターを使用し、1対1の対戦形式で5種目で勝敗を競う。全ての競技で1分で記憶し、4分で回答する方式で行う。 観客席にはモニターがあり、両方の選手が記憶している内容や回答している際の内容と正誤が表示され、試合の流れを見ることができる。 またインターネットで実況つきのライブ配信も行っており、一般向けにわかりやすい解説をおこなっている。 成績Speed Cards Challenge(SCC)従来のメモリースポーツは10種目と初心者にとって非常にハードルが高いため、メモリースポーツの花形種目であるスピードカードのみ1種目で競う大会が2019年から新設された。 通常では1大会で2回までしかチャレンジできないが、本大会では5回までチャレンジが可能となっている。 各大会では”単発記録”と”平均記録”の2種類でランキングを決めるため、スピード型の選手、安定型の選手どちらにもチャンスがある大会になっている。 "単発記録"は5回のうちの一番良い成績の記録が反映され、"平均記録"は一番良い記録と一番悪い記録を除いた3回の記録の平均がスコアとなる。 トランプ記憶1種目のSCCは、10種目のジャパンオープンや5種目のJapan MLCのようにチャンピオンを決める大会があるのではなく、 各年の終了時点の成績で単発記録と平均記録の日本チャンピオンを決定する方式を取っている。
日本チャンピオン
日本人選手の世界ランキング日本人選手のランキング(10種目) TOP10(2022年終了時点)世界の協会や統括団体の内紛による分裂により、ランキングの算出方法がまちまちになり、2022年現在10種競技のみでも世界ランキングも複数存在する複雑な状態になっている。コロナウイルスの世界的流行により、現在ランキングの更新は停止している。
日本人選手のランキング(5種目 Memory League) TOP10(2021年)1VS1のバトル形式であるメモリースポーツの世界リーグであるMemory Leagueでも世界ランキングが公開されている。
チャンピオン日本チャンピオン2005年から2019年まで奈良県大和郡山市主催で開催されていた記憶力日本選手権大会(2019年をもって廃止)、 2014年からIAMの下部組織(2016年までWMSC)の日本メモリースポーツ協会(JMSC)主催で開催されているジャパンオープン記憶力選手権、 日本国内外のIAM統括下で開催されるMLCの日本大会、スピードカードのみで競う大会であるSCC(単発・平均)が存在する。
世界チャンピオンメモリースポーツの発展に伴い、様々な主催団体下での記憶力選手権が世界各国で開催されるようになってきている。 国レベルの大会や大陸レベルの大会、世界選手権など様々なレギュレーション下で複数開催されているため、チャンピオンに関しても複数名存在している。 現在世界レベルの大会はWorld Memory Sports Council(WMSC)とInternational Association of Memory(IAM)とGlobal Alliance of Memory Athletics(GAMA) IAM統括下で行われる1対1形式の大会であるMemory Leagueの4つ存在しており、それぞれで世界チャンピオンを決める大会が開催されている。 ![]()
日本国内のチーム・クラブ競技の発展に伴いチームやクラブも続々と誕生している。 日本メモリースポーツ協会に登録されているチーム・クラブは以下の通り。
メディア
脚注関連文献
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