ラヴレス (アルバム)
『ラヴレス[5]』(Loveless)は、アイルランドのオルタナティヴ・ロック・バンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが1991年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。シューゲイザーというジャンルを象徴する作品として評価されており[6][7]、オーストラリアのウェブサイトSounds Better With Reverbが2013年に選出した「100 Greatest Shoegaze Albums」では1位となった[8]。2012年には、オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからのマスタリングとオリジナル・テープからのリマスターの2種類を収録した2枚組のCDがリリースされた。 背景本作のレコーディングは2年半がかりで行われ、そのうち最初の2年間はクリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーでさえスタジオに出入りを許されなかった[9]。そして、マッギーによれば前作『イズント・エニシング』の制作費が7千ポンドだったのに対し[10]、本作には27万ポンドを費やし、クリエイション・レコーズの副社長だったディック・グリーンの家を抵当に入れてもらわなければならなくなったという[11]。また、レコーディングには19か所のスタジオが使用された[6]。 演奏はメンバー4人だけで行われたが、エンジニアのクレジットには、メンバーのケヴィン・シールズとコルム・オコーサクも含む18人の名前が記載された[12]。 反響本作に先行してリリースされたシングル「スーン」(1990年)は全英シングルチャートで41位に達し、続く「トゥ・ヒア・ノウズ・ホエン」は29位に達した[13]。そして、バンドは本作で自身初の全英アルバムチャート入りを果たし、最高24位に達した[2]。 アメリカではBillboard 200入りは果たせなかったが、収録曲「オンリー・シャロウ」は『ビルボード』のモダン・ロック・チャートで27位に達した[14]。 2012年には2枚組リマスターCDがヒットしており、5月19日付の全英アルバムチャートで50位を記録[2]。また、日本のオリコンチャートでは18位[1]、ベルギーのフランデレン地域で154位[3]、ベルギーのワロン地域で188位に達した[4]。 評価・影響『ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では73位[15]、「90年代のベスト・アルバム100」では39位[16]、「グレイテスト・ストーナー・アルバム40」では22位[17]と、3部門にランクインしている。 ピッチフォーク・メディアのスタッフが2003年に選出した「1990年代のトップ100アルバム」では、レディオヘッドの『OK コンピューター』に次ぐ2位にランクインした[18]。 音楽評論家のHeather Pharesはオールミュージックにおいて満点の5点を付け、「『イズント・エニシング』はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音楽性の全体像を十分に示唆していたが、『ラヴレス』の偉大さはバンドが唯一無二の存在であることを証明した」と評している[19]。 本作はミュージシャンからの評価も高い。ブライアン・イーノは本作を最も創造的なロック・アルバムと称賛し[20]、フィッシュのトレイ・アナスタシオは「'90年代に録音された最高のアルバム」「20年たって今ポピュラーなアルバムが忘れ去られたとしても、このアルバムは完全なる名盤とみなされることだろう」とコメントしている[20]。また、本作はレディオヘッドのギター・サウンドに影響を与えた作品としても知られる[6]。 収録曲特記なき楽曲は作詞・作曲:ケヴィン・シールズ。
他メディアでの使用例本作収録曲「サムタイムズ」は、2003年公開の映画『ロスト・イン・トランスレーション』のサウンドトラックで使用された[21]。 参加ミュージシャン脚注・出典
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