リンク 4

リンク 4英語: Link 4)は、要撃機管制するための戦術データ・リンク[1][2][3]アメリカ軍での名称はTADIL-C[1]

来歴

1950年代アメリカ海軍で開発が進められていた海軍戦術情報システム(NTDS)は、デジタルコンピュータを用いた戦術情報処理装置による戦闘指揮所(CIC)の自動化とともに、戦術情報処理装置同士を戦術データ・リンクによって連接してコンピュータネットワークを構築することも重視していた[4]

そしてNTDS用戦術データ・リンクのなかには艦上戦闘機の管制用リンクも盛り込まれており、当初はUSC-2と称されていた[4]。これが北大西洋条約機構(NATO)で標準化されるにあたり、リンク 4Aと称されるようになった[4]。また後に、地対地用のリンク 4B、そして戦闘機同士が通信するためのリンク 4Cが派生し、後者はF-14に搭載された[1]

通信規格

ネットワーク

使用する周波数は超短波(UHF: 300-325 MHz)、変調方式周波数偏移変調(FSK)である[1]転送速度は5,000ビット毎秒である[2][3]暗号化はされておらず、ジャミング耐性も低い[1]

伝送方式は時分割複信で、全体的なネット・コントロール・クロックはなく、メッセージを受信する航空機は、同期パターンを使って自分のクロックを設定して受信する[1]。最大100機までの航空機管制が可能とされているが[2][3]、実用的なネットワークのサイズは、メッセージの許容時間によって制限される[1]

メッセージ

メッセージ・フォーマットはSTANAG 5504で規定されており[2]、管制メッセージ(Vシリーズ)、応答メッセージ(Rシリーズ)、試験メッセージの3形式がある[3]

メッセージひとつあたりの長さは、管制メッセージが14ミリ秒、応答メッセージが18ミリ秒である[2][3]。管制メッセージは70のタイムスロット (1スロットあたり0.2ミリ秒) に分かれていて、その内56タイムスロット(=56ビット)でデータが伝送される[2][3]。一方、応答メッセージは90のタイムスロット (1スロットあたり0.2ミリ秒) に分かれていて、やはりその内56タイムスロットでデータが伝送される[2][3]。残りのタイムスロットは伝送遅延の吸収などに用いられる[2][3]

リンク 4Aでは、自動着艦、航空管制、航空要撃管制、地上攻撃管制、艦載機搭載慣性航法装置などを支援するデータなどが取扱対象となる[3]

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g Friedman 1997, pp. 26–27.
  2. ^ a b c d e f g h 井上 2017, pp. 350–351.
  3. ^ a b c d e f g h i 多田 2002.
  4. ^ a b c Boslaugh 2003, pp. 177–182.

参考文献

  • 井上孝司『戦うコンピュータ(V)3―軍隊を変えた情報・通信テクノロジーの進化』潮書房光人新社、2017年。ISBN 978-4769816386 
  • 多田智彦「データリンクの基礎知識 (特集 システム艦隊)」『世界の艦船』第594号、海人社、82-85頁、2002年4月。 NAID 40002156292 
  • Boslaugh, David L. (2003), When Computers Went to Sea: The Digitization of the United States Navy, Wiley-IEEE Computer Society Press, ISBN 978-0471472209 
  • Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 978-1557502681 
Prefix: a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

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