ロシア鉄道ET4A形電車
ET4A形(ロシア語: ЭТ4А)は、ロシア鉄道(ОАО «Российские железные дороги»)で2012年から営業運転を開始したトルジョーク車両工場製の電車。ロシア連邦の国産電車として初めて可変電圧可変周波数制御方式(VVVFインバータ制御方式)を用いた量産形式である[注釈 1][1][2]。 概要・運用トルジョーク車両工場が1999年に試作したET2A形(ЭТ2А)の技術を基に製造された車両。開発にあたってはトルジョーク車両工場に加え中央研究所TEP(ЗАО ЦНИИ "ТрансЭлектроПрибор" 、ЦНИИ ТЭП)、NPPダリニャーヤ・スヴャースィ(НПП Дальняя Связь)、エレクトロアッパラット(ОАО Электроаппарат)が参加した企業グループ "電気機械交通機関製造"(Транспортное электромашиностроение»)が設立され、2008年から研究が実施された。形式名の「ET4A」(ЭТ4А)は、「トルジョーク車両工場(Т)で製造された第4世代の電車(Э)・誘導発電機(А)を搭載」と言う意味である他、これとは別にトルジョーク車両工場では62-9003と言う番号でも呼ばれている[1][2][4]。 編成は制御車(Пг)、中間電動車(Мп)、付随車(Пп)で構成される。トルジョーク車両工場が提示した基本編成は8両編成(Пг+Мп+Мп+Мп+Мп+Пп+Мп+Пг)だが、最短3両、最長12両編成まで組成可能である。車体はそれまでトルジョーク車両工場が生産していたET2形(19,600 mm)[5]よりも長い22m級の長さを有し、乗降扉の幅も1,250 mmに拡大している。各車両の屋根上には換気・暖房機能を搭載したNPPロングハウル(НПП Дальняя связь)製の空調装置が2基設置され、車内照明にはLEDが用いられる。また先頭車にはバリアフリー対応トイレが設置されている。座席配置は3列+3列のボックスシートである[1][2][6]。 エレクトロアッパラットが製造した制御装置はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御を用い、各電動車に4基搭載されたATD450形三相誘導発電機(450 kw)を稼働させる。制動装置として電気指令式空気ブレーキ、回生ブレーキが搭載し、電気指令式空気ブレーキの故障などの非常時には自動的に空気ブレーキが作用するようになっている[1][2][7]。 2011年に最初の車両が完成し、全ロシア鉄道輸送研究所(ЭК ВНИИЖТ)の実験線やロシア鉄道の営業用路線での試運転が実施された。これらの結果を受けて2012年4月5日に安全基準への適合を示す証明書が発行され、量産が決定した。営業運転開始は同年の6月9日、サンクトペテルブルク - ルーガ間の急行列車からである[2][4]。 当初は30編成の量産が計画されていたが[8]、2013年の時点での導入数は3編成のみであり、更に2016年に製造元のトルジョーク車両工場が破産したため、以降の増備は行われていない[9][10]。
関連形式
脚注注釈
出典
参考資料
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