ロールス・ロイス・モーター・カーズ
ロールス・ロイス・モーター・カーズ(Rolls-Royce Motor Cars )は、イギリスの高級自動車メーカーである。BMWが2003年にイギリスウェスト・サセックス州グッドウッドに同社を設立し、ヴィッカースからロールス・ロイスブランドを引き継いで、ロールス・ロイスを製造・販売している。 設立までの経緯→1990年代以前のロールス・ロイスについては「ロールス・ロイス」を参照
ロールス・ロイス(Rolls-Royce Limited )は、1906年、イギリス北西部のマンチェスターに設立され、乗用車や航空機用エンジンを製作していたが、1971年に経営破綻し、国有化された。1973年、ロールス・ロイス社のうち自動車部門(ロールス・ロイス、およびベントレーブランドの乗用車の生産)のみが分離され、同国の工業メーカー、ヴィッカースに売却された。この再度民営化された会社がロールス・ロイス・モータース(Rolls-Royce Motors )であり、1992年からはドイツのBMWとの提携し、同社からロールス・ロイス・シルヴァーセラフに搭載するV型12気筒エンジンやベントレー・アルナージに搭載するV8エンジンの供給を受けるなどしていた。 1998年、ヴィッカースはロールス・ロイス・モータースの売却を決定。売却先としてはそれまでの経緯からBMWが最有力とされた。同年4月、3億4,000万ポンドでBMWへの売却の成立が報じられたが、翌5月、同じくドイツのフォルクスワーゲンが4億3,000万ポンドの買収額を提示、同6月5日、同社による買収が決定した。 ところが、ロールス・ロイス(自動車部門)の売却時には、同じくロールス・ロイスを起源とする航空機用エンジンメーカーであるロールス・ロイス・ホールディングスが、ロールス・ロイスのブランドや企業ロゴマークなどの権利を保持する、との約定があった。その当時、ドイツに合弁会社BMW ロールス・ロイスを設立するなど、BMWとの合弁事業を行っていたロールス・ロイス・ホールディングスは、フォルクスワーゲンではなくBMWにそれらの権利を譲渡することを決定、ロールス・ロイスのブランドとロゴマークは、4,000万ポンドでヴィッカースからBMWに譲渡された。BMWとの航空機エンジンの合弁事業は、後にロールス・ロイス・ホールディングスの会社であるロールス・ロイス・ドイツになった。 結果としてロールス・ロイスの本社と工場等の固定資産、ロールス・ロイスの企業マスコットであるスピリット・オブ・エクスタシー、大型で縦格子の入ったフロントグリルの意匠権、さらにベントレーブランドはフォルクスワーゲンが所有する。一方で、ロールス・ロイスのブランドやロゴマークを使用できるのはBMWであるというねじれが生じ、両社ともに完全なロールス・ロイスの乗用車を生産、販売することができない状態となった。またBMWは12か月の猶予を持って、ロールス・ロイス/ベントレー向けエンジンの供給を停止することが可能であった。 ここでBMWとフォルクス・ワーゲンは以下のような合意に達した。1つは、1998年から2002年までBMWはフォルクスワーゲンによるロールス・ロイスのブランド使用を認めるとともに、BMW製エンジンの供給を続ける。もう1つは、2003年1月1日からロールス・ロイスを生産・販売する権利はBMWが所有するというものであった。 2003年1月、BMWはロールス・ロイスのブランドで乗用車を製造・販売することが可能となり、ロールス・ロイス・モーターカーズ社を、イギリス南部、ウェスト・サセックス州グッドウッドに設立した。この、かつての本拠地、マンチェスターとは異なる拠点が示すように、旧ロールス・ロイス・モータースが有していた生産設備、従業員、知的財産などの一切はフォルクスワーゲンが所有したままであり、BMWには移譲されていない。したがって、現在のロールス・ロイス・モーター・カーズは、ブランドと採用されている意匠こそロールス・ロイスの伝統を受け継いでいるが、実態はBMWによる全く新規の自動車会社となっている。 歴史2003年から新開発車ファントムの生産・販売を開始した。2003年10月に発表された新型ファントムは、デザインモチーフを往年のシルヴァー・クラウドから採り、スピリット・オブ・エクスタシーを頂にしたパルテノン神殿風のラジエーターグリルを引き続き用いた。その後、ファントムシリーズの最大の市場はアメリカ合衆国であり、なかでもロサンゼルス地区での販売が突出した。次いでイギリス、中華人民共和国の順であった(2006年)。 車種一覧2003年からファントムの生産に始まり、ファントム・エクステンディッド・ホイールベース、ファントム・ドロップヘッド・クーペ、ファントム・クーペの販売を行った。 2006年12月、イアン・ロバートソン会長兼CEOは、中華人民共和国が日本を追い越し、ロールス・ロイスにとってアジア最大の市場となったことを発表した[1]。2009年のジュネーブ・モーターショーでコンセプトカーの200EXを公開し、後にロールス・ロイス・ゴーストの名が与えられた[2]。 モデル一覧
過去の車種
販売1978年までに3357台販売された[3]。
日本における正規販売代理店
日本の自動車検査証における車名は「ロールスロイス」(車名コード:943)であり、中黒が入らない。 出典
外部リンク
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