三者連続三球三振を記録した日本プロ野球投手一覧(さんしゃれんぞくさんきゅうさんしんをきろくしたにほんプロやきゅうとうしゅいちらん)は、日本プロ野球公式戦において、1イニングに3人の打者から連続して3球のストライクのみの投球で三振を奪い、その3人の打者との対戦だけでイニングの投球を完了した(英: immaculate inning, イマキュレートイニング)投手の一覧である。同じイニングで先んじて走者を許しているケースは含めない[注釈 1]。「イマキュレート」は「完璧な」などの意味を持つ英単語である。
この記録はメジャーリーグベースボール (MLB) においても希少とされる(2023年シーズン途中時点で104人・114回)が、日本プロ野球ではさらに少なく、2025年4月5日時点で21人(23回)である。2度達成した選手は梶本隆夫とリバン・モイネロの2人のみで[2]、同じシーズンに複数回記録されたのは、2014年が初めてだった[注釈 2]。
日本のプロ野球ではカウント0ボール2ストライクからストライクを投じることが忌避された時期があり、1980年代にセントラル・リーグで3年連続最多奪三振を記録した江川卓(読売ジャイアンツ)は、現役時代に0-2のカウントからヒットを打たれると罰金を科されたため、捕手からの懇願でやむなくボール球を投げていたと引退後に証言している[3]。江川も含め、1980年代には達成者は一人もいない。
2018年5月16日、福岡ソフトバンクホークスのリバン・モイネロが記録を達成[4]したことで、2025年現在存在するチームの中で公式戦での達成者が出ていないのは埼玉西武ライオンズだけとなった(後述の通りポストシーズンでの達成者はあり)。
宇佐美徹也は1993年の著書『プロ野球記録大鑑<昭和11年 - 平成4年>』のこの記録を取り上げた箇所で、「ほとんどが下位打線相手に作られたもので、クリーンアップを相手にしたのが一つもないのが内容的にもの足りない」と記していた[注釈 3]。それから24年後の2017年に、東北楽天ゴールデンイーグルスの松井裕樹が千葉ロッテマリーンズの3-5番の3人から奪う記録を初めて達成している[6]。
一覧
凡例
投手 (X)
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投手の氏名と記録回数
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日付
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試合が行われた日付
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チーム
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所属球団
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対戦チーム
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打ち取られた選手の所属球団
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イニング
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記録したイニング
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打者 (X)
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打ち取られた選手
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Box
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試合のボックススコア
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日本野球殿堂選出
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現役選手
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公式戦外での達成者
公式戦以外の試合(オープン戦は除く)でのNPB選手による達成が2例ある。
ポストシーズン
日本代表試合
脚注
注釈
- ^ 一例として、藤川球児(阪神タイガース)が2009年5月27日の対埼玉西武ライオンズ戦の9回に3人から連続して三球三振を奪ったものの、その前に被安打等による走者を2人許していた[1]。
- ^ 過去2回ある「年間複数回記録」では、同じ年に達成した投手はいずれも同一チームの所属である(2014年:中日ドラゴンズ、2024年:広島東洋カープ)。
- ^ この書籍に収録された記録の中で、打順3-5番を含んでいたのは、佐藤良一(1956年、5-7番)、石川緑(1962年、2-4番)、野村収(1976年、5-7番)の3例あり、石川は2人含んでいた。
- ^ NPBでの所属は埼玉西武ライオンズ。
出典
- ^ “藤川球児の「3者連続3球三振」 狩野恵輔氏がバッテリー組んだ当時振り返る”. デイリースポーツ. (2020年12月13日). https://www.daily.co.jp/tigers/2020/12/13/0013934233.shtml 2022年9月3日閲覧。 )
- ^ “ソフトB・モイネロ 自身2度目の大記録達成 3球三振×3、サヨナラ勝利呼ぶ完璧投球”. スポーツニッポン. (2023年6月6日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/06/06/kiji/20230606s00001173554000c.html 2023年6月6日閲覧。
- ^ 江川卓・掛布雅之『巨人 - 阪神論』角川書店〈角川新書〉、2010年、p.101
- ^ “ソフトバンクのモイネロが3者連続3球三振の快投 パ・リーグでは7人目”. デイリースポーツ. (2018年5月16日). https://www.daily.co.jp/baseball/2018/05/16/0011262359.shtml 2018年5月16日閲覧。
- ^ “松井裕、3連続3球三振9球中7球空振り 最多記録更新”. スポーツニッポン. (2017年4月14日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/04/26/kiji/20170426s00001173086000c.html 2018年1月21日閲覧。
- ^ 2005年9月6日【公式戦】試合結果(阪神vs中日) - 日本野球機構
- ^ 2011年5月24日【公式戦】試合結果(横浜vs北海道日本ハム)- 日本野球機構
- ^ 2014年5月18日【公式戦】試合結果(中日vs東京ヤクルト) - 日本野球機構
- ^ 2014年9月10日【公式戦】試合結果(広島東洋vs中日) - 日本野球機構
- ^ 2017年4月25日【公式戦】試合結果(東北楽天vs千葉ロッテ) - 日本野球機構
- ^ 2018年5月16日【公式戦】試合結果(福岡ソフトバンクvs東北楽天) - 日本野球機構
- ^ 2023年6月6日 【公式戦】試合結果(福岡ソフトバンクvs横浜DeNA) - 日本野球機構
- ^ 2024年6月1日 【公式戦】試合経過(福岡ソフトバンクvs広島東洋) - 日本野球機構
- ^ 2024年7月2日 【公式戦】試合経過(広島東洋 vs 阪神) - 日本野球機構
- ^ 2025年4月5日 【公式戦】試合経過(東京ヤクルト vs 中日) - 日本野球機構
- ^ 工藤公康、清原の涙にかすんだ胴上げ投手 - SPORTS COMMUNICATIONS(2013年10月10日)
- ^ 「【侍ジャパン】西武・隅田知一郎が圧巻の3者連続3球三振 「完全リレー」つなぐ」『西スポWEB OTTO!』2024年3月7日。2024年10月8日閲覧。
- ^ 「【侍ジャパン】隅田が3者連続3球三振の「イマキュレートイニング」を達成! 決め球は全てチェンジアップ」『スポニチ Sponichi Annex』2024年3月7日。2024年10月8日閲覧。
出典
関連項目