人でなしの恋『人でなしの恋』(ひとでなしのこい)は、作家江戸川乱歩が1926年(大正15年)に発表した短編小説。ピグマリオニズムの作品としてのちの『押絵と旅する男』に通じるものがある。 乱歩によると、この作品は読者にも編集者にもあまり評価されなかったが、乱歩自身のお気に入りの一つである。 登場人物
あらすじ京子という名の婦人が10年前に死んだ先の夫のことを語る。10年前、19歳のときに京子は同じ町の旧家門野家へ嫁ぐ。夫は非常な美男子だが、どこか病的で変人、人嫌い、女嫌いとの噂であった。が、結婚するや京子を案外と可愛がってくれるので、京子は幸せに有頂天になっていた。それがおかしいと思い出したのは結婚半年後からのことで、夫は自分のほうに心を向けていないと京子は感じだしはじめる。現に夫は夜中に起きてどこかへ行く。京子がある夜つけてみると、夫の行き先は土蔵の2階で、鍵を閉めた中から夫と女の密会の声が聞こえてくる。ところがその部屋から出てきたのは夫だけである。京子は鍵を盗んで昼間にそこを探ってみるが古い骨董、長持などがあるだけで、抜け道などない。しかし何度か夫と女の密会を盗み聞きしているうちに京子は、密会の最後に長持の閉まるような音を聞く。再びひとり踏み込んだ京子は、そこに白木の箱にはいった、江戸時代の精巧な京人形を見つける。これが夫の恋の相手だった、女の声は夫が声色を変えて出していたのだと悟った京子は、嫉妬のために、その人形を叩き潰す。その夜、また夫が土蔵の2階に向かう。叱られてもいいと腹をくくっていた京子だったが、胸騒ぎを感じ、土蔵に行ってみる。夫は叩き潰された人形の上に折り重なり、日本刀で血まみれになって死んでいた。 映像化映画1995年版
2022年版井上博貴監督により映画化。2022年6月25日に公開されている。R-15作品。 テレビドラマ2018年12月30日、NHK BSプレミアム、「満島ひかり×江戸川乱歩」内でドラマ化。演出・渋江修平 引用
漫画化JETが本作を漫画化している。JETは同じ江戸川乱歩の「黒蜥蜴」、「赤い部屋」も漫画化しており、『明智小五郎・黒蜥蜴』(ソノラマコミック文庫・朝日新聞社、2008年8月、ISBN 9784022671813)に合わせて収録されている。 関連項目
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