『伍と碁』(ごとご)は、原作 蓮尾トウト、作画 仲里はるなによる日本の漫画。『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて、2025年9号より連載中[1]。話数カウントは「第○局」。囲碁を主題とした週刊漫画誌の連載作品は、『ヒカルの碁』以来21年ぶり[2][3][注 1]。制作には日本棋院が協力し、棋士の井山裕太及び寺山怜が監修を務める。
あらすじ
小さい頃から何でも天才的な才能を見せた秋山恒星は小学6年生の時、囲碁教室に通い始めたが、そこにいる5人の子どもに負け続けてこの挫折によって普通の高校生になっていた。そんなある日、恒星はまた囲碁をすることになって。
登場人物
- 秋山 恒星(あきやま こうせい)
- 男性。高校1年生。短髪青髪。1歳で逆立ちをして、小学校時代、野球・勉強・サッカーで年上相手に凌駕するなど神童と呼ばれていた。囲碁界の藤井聡太を目指して囲碁教室を通い始める。しかしそこで5人の子どもたちに3か月連戦連敗の0勝1000敗で囲碁を辞めた後は何もやれず中学時代は帰宅部だった。ある日、母親に誘いでバイトで参加した町内会にて元院生小金と囲碁で対戦して再び囲碁をやり始める。
- 岡野 環(おかの たまき)
- 女性。短髪オレンジ髪で眼鏡をかけていてニットワンピースを着ている。恒星が通っていた囲碁教室のお姉さんで恒星が再び囲碁を始めた時、ハンディキャップをつけて対戦した。麦茶を作るのはうまい。
- 市原 葉月(いちはら はづき)
- 女性。短髪ピンク髪でドリルのような巻き髪を左右にしている。SNS総フォロワー数385万人の囲碁インフルエンサーで囲碁を広めるためにモデルタレントになった。アマチュア登竜戦優勝の恒星と一手のハンデ付きのエキシビションで対戦して、恒星の粘りから来たミスが発端となって敗れる。負け続けても何度も対戦を求める恒星を雑魚呼ばわりしていたが負けたことで呼ぶのを辞めた。
- 榎本 翠(えのもと みどり)
- 男性。14歳。短髪白髪。囲碁七段。恒星が囲碁教室に通い始めた頃、多く対戦して全勝で彼に挫折を味合わせた。その後史上最年少タイトル挑戦者になって、その若さから囲碁界の藤井8冠と呼ぶ声も少なくない。
- 白山 小金(しらやま こがね)
- 男性。長髪黒髪。一人称はワシ、関西弁で話す。4歳から囲碁を始めて中学1年生で院生になったが、そこの最下位クラスで小学生相手に毎日負けたので院生を辞めさせられて外部試験で囲碁棋士を目指している。恒星がバイトで参加した町内会で道場破りとして大人相手に9連勝していたが、恒星に敗れた。恒星と再戦した時は勝つと誓って分かれる。
- 村井(むらい)
- 女性。長髪黒髪で眼鏡をかけている。葉月のマネージャーで渋谷で彼女をスカウトした。
- 天原 慶宗(あまはら けいそう)
- 男性。短髪長髪で関西弁を使う。囲碁七冠で翠とタイトル戦で対戦予定。恒星対葉月のエキシビションマッチを見ていた。
制作背景
本作発案のきっかけは、才能のある少年が入った近所の野球教室に大谷翔平が5人いたら、その少年は自身には才能が無いと思うのではないか、という蓮尾のアイデア[4]。蓮尾は連載開始の8年前に友人の勧めもあって囲碁を覚えており、言葉がなくとも盤上で会話できるのが囲碁の魅力であることから、『ヒカルの碁』という成功例があったことも踏まえ、題材に囲碁を選んだ[4][5]。連載開始前には囲碁という題材は読者に分かりにくいのではないか、という声もあったというが、蓮尾の表現力が評価されて連載が決まった[4]。編集担当の森奏太は、「少年漫画のような、間口の広い“王道”を行く漫画にしたい」としている[6]。
蓮尾は週刊連載は初めて。仕事や育児の傍らで作品の構想を練っていたが、本作の連載開始前年に脱サラし、漫画家業に専念[4]。自身の持ち味については「良くも悪くも、極端なキャラづくりが自分の特徴」と語っている[4]。
囲碁の描写については日本棋院がバックアップ。作品の発表は2025年1月5日の日本棋院打ち初め式で行われた[7][8]。監修には棋士の井山裕太と寺山怜が付き、作中の盤面は寺山が監修[4]。展開やキャラクターに合った棋譜を都度選定・作成し、江戸時代の名局の棋譜を引用するなどの小ネタもしばしば挟まれている[4]。
普及が課題の日本囲碁界からは、かつて『ヒカルの碁』で囲碁ブームが起こった過去があることから、本作を機に囲碁に興味を持ってもらおうという期待も注がれている[5][9]。
書誌情報
脚注
注釈
- ^ 週刊漫画誌に限らなければ、『花とゆめ』(月2回刊)で連載された『星空のカラス』(2012-2015年)、『月刊アクション』(月刊)で連載された『群舞のペア碁』(2021-2023年)、週刊業界紙『週刊碁』(2023年休刊)の四コマ連載漫画(『ゆるみちゃん』など)などがある。
出典
外部リンク