佐野眞一
佐野 眞一(さの しんいち、1947年(昭和22年)1月29日 - 2022年(令和4年)9月26日)は、日本のジャーナリスト、ノンフィクション作家。東京都葛飾区出身[1]。 経歴1965年早稲田大学第一文学部[2]に入学。当時、早稲田大学では学費値上げ反対闘争が起こっており、佐野も学生運動に参加したが幹部学生たちの左翼小児病的体質に嫌気がさし足を洗う。その後、「稲門シナリオ研究会」に入り(このシナリオ研究会には、古くは今村昌平や実相寺昭雄が在籍し、佐野の卒業と入れ替わるように村上春樹が入ってきた)、ぼんやりとだが映画監督になることを夢見ていた[1]。 大学卒業後は、主に子供向けソノシート制作などを手がけていた音楽出版社・勁文社に入社。当初はソノシートの録音のチェック等の仕事をしていたが、1971年12月、ウルトラマンだけでなく、仮面ライダーやゴジラ、ガメラなどすべての怪獣、怪人を網羅した「原色怪獣怪人大百科」を自ら企画編集を手がけ発行。この当時の第二次怪獣ブームを受け、53万部を完売(小此木二郎)[3]という当時としては画期的なベストセラーになった[1]が、好景気となり翌年にかなりの数の新入社員が採用され、佐野は彼らをオルグして労組を結成したため1年半で解雇された[1]。 以降フリーに転身[1]。佐野がフリーライターに転じた1970年代には、立花隆、柳田邦男、沢木耕太郎、本田靖春、上前淳一郎らが新たにノンフィクションの書き手として登場してきており、佐野は彼らの作品を読みながら自らの方向性を考え、焦りや葛藤を感じていたという[4]。その頃、同年輩のライター、編集者らと市ヶ谷駅前の居酒屋「番屋」にて月に一度、「番屋会」として勉強会を行っていた。「番屋会」は規模としては10人未満だったが、猪瀬直樹、高野孟、美里泰伸、吉岡忍、足立倫行、山根一眞、花田紀凱らが参加していた。本田靖春も先輩ゲストとして会に参加した[4]。1977年には、小板橋二郎、山根一眞、猪瀬直樹と「グループ915」を結成。グループ名の由来は、猪瀬と佐野で仕事場として間借りしていた先輩ライターのマンションの部屋番号からきている。月刊「現代」上での企画に小板橋二郎から声がかかり「グループ915」として共同執筆した作品を毎月のように発表していた。佐野は、小板橋とスタッフの3名で韓国へ取材し、120枚ほどの韓国論を執筆した[4]。その後、「週刊文春」デスクだった花田と組み連載を開始、当時急速に成長しつつあった流通業界や外食産業にスポットを当てた内容で、佐野の実質的デビュー作となった。 1990年、無着成恭と「山びこ学校」の取材を開始した。同年、佐野の父が死去する。通夜の席では従兄弟から「「山びこ学校」の無着成恭は父と親戚関係にあるらしい」と聞いた。また佐野のひとり息子が中学を卒業したのも同じ年だったが、卒業文集がどれもこれも似通ったワンパターンの内容であることに愕然とし、「山びこ学校」の生活綴り方教育を受けて貧しい山形県の寒村で中学生たちが必死で綴った作文、詩を思い起こしたという[4]。 1997年、民俗学者・宮本常一と渋沢敬三の生涯を描いた『旅する巨人』により第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2009年(平成21年)、『甘粕正彦 乱心の曠野』により第31回講談社ノンフィクション賞受賞。2003年(平成15年)から開高健ノンフィクション賞選考委員を務める。2010年、心臓のバイパス手術を受けた[4]。 2012年、週刊朝日による橋下徹特集記事問題が起こる。2012年10月26日号の佐野と週刊朝日取材班(今西憲之・村岡正浩)による「ハシシタ・奴の本性」という連載記事が問題となった。この事件をきっかけに佐野による数々の剽窃行為が明るみに出され、溝口敦・荒井香織『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相』(2013年、宝島社)の中で、盗用問題の詳細が検証された。また、溝口は佐野からの直筆の詫び状をインターネットで公開している[5]。この問題を受けて、佐野は石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム賞と開高健ノンフィクション賞の選考委員を辞任し、レギュラーの仕事もすべて休載とした。 2013年(平成25年)7月31日、著作権を侵害されたとして、日隈威徳から訴訟を起こされたが[6]、2014年(平成26年)10月16日に和解が成立した[7]。2015年2月18日、橋下徹に対して「タイトルをはじめ記事全体が差別的で、深くおわびする」との「おわび文」を渡し、解決金を支払うことで、大阪地方裁判所において和解が成立[8]。 2022年9月26日、肺がんのため千葉県流山市の病院で死去[9][10]。75歳没。 人物・評価
著書共著(グループ915として)
単著
共編著
関連書籍脚注
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