北九州・福岡大都市圏(きたきゅうしゅう・ふくおかだいとしけん)とは、福岡県北九州市と同県福岡市の2つの政令指定都市を中心とした都市圏のこと。両市を合わせて福北(ふくほく)と略称されることもある[1][2]。当都市圏は、日本において三大都市圏に次ぐ規模を誇っている[3][4]。
「北九州・福岡大都市圏」という名称は国勢調査における統計上の地域区分を主に指すが、この項においては、名称や定義が異なるものの北九州市と福岡市の二市を中心としている様々な地域区分についても述べる。
概要
福岡市の都心(天神)と北九州市の都心(小倉)は約 70 km 離れており、それぞれが独自の都市圏を形成してきた。一般的な都市圏設定で用いる 5% 都市圏、10% 都市圏(通勤通学圏)で見ても、福岡市を中心市とする福岡都市圏、および、北九州市を中心市とする北九州都市圏(あるいは北九州市と下関市の2市を中心市とする関門都市圏)の両者の絶対都市圏が重なるのは、両市の間にある宗像市・福津市・宮若市・遠賀郡の一部に限られている。
名称・定義
当都市圏の定義がはっきりしているのは、国勢調査における統計上の地域区分としての「北九州・福岡大都市圏」に限られる。その他の名称が用いられる時はいずれも定義域が漠然としているが、その多くは単に「福岡都市圏+北九州都市圏」という意味合いで用いられている。
北九州・福岡大都市圏
総務省統計局が国勢調査において統計上の地域区分として定義されているもの。福岡・北九州の両市を中心市とし、両市への15歳以上の通勤・通学者数の合算が、当該市町村の常住人口の 1.5% 以上を占める地域[5][6] を指す。
定義域ははっきりしているものの、定義の性質上、福岡市または北九州市のうち一方に対しては通勤・通学客が僅少な市町村も含まれるほか、大牟田都市圏など国土交通省が定義した都市圏を分断する線引きとなっている[7]。なお、中心市である福岡市と北九州市もそれぞれの 1.5% 都市圏には含まれない。
北九州・福岡大都市圏の人口、面積及び人口密度の推移[8][9][10][11]
年
|
人口 (人)
|
面積 (km2)
|
人口密度 (人/km2)
|
1960年
|
2,724,756
|
|
|
1965年
|
3,765,891
|
4,242
|
888
|
1970年
|
4,088,610
|
4,529
|
903
|
1975年
|
4,638,907
|
4,969
|
934
|
1980年
|
4,730,261
|
4,850
|
975
|
1985年
|
4,973,770
|
4,905
|
1,014
|
1990年
|
5,285,236
|
5,105
|
1,035
|
1995年
|
5,458,947
|
5,265
|
1,037
|
2000年
|
5,418,537
|
4,943
|
1,096
|
2005年
|
5,590,378
|
5,926
|
943
|
2010年
|
5,515,427
|
5,731
|
962
|
2015年
|
5,538,142
|
5,731
|
966
|
2020年
|
5,510,405
|
5,663
|
973
|
- 範囲
その他の呼称
- 福岡・北九州大都市圏
名称としての使用例[12][13]は多くみられる。
- 福北大都市圏
名称としての使用例は最も多い。福岡市[14]・北九州市[15]・宗像市[16]・アジアス九州[17] などの公的機関や、公的資料[1][2]、新聞社[18] などで広く用いられている。
- 北部九州大都市圏、北部九州都市圏、北部九州圏
これら3つの名称の使用例[19] を合わせると、「福北大都市圏」と並んで多い。
- 北九州大都市圏
-
福岡市(政令指定都市)
-
北九州市(政令指定都市)
-
久留米市(中核市)
-
下関市(中核市)
交通
鉄道
主な道路
高速道路
関門橋
国道
港湾
-
下関港(本港地区)
-
北九州港(門司港地区)
-
博多港
空港
福北連携
かつて福岡市と北九州市は犬猿の仲とされ、政財界は1995年まで断交状態だった。福北連携は1995年4月、福岡地所の榎本一彦とゼンリンの大迫忍が、「両市の経営者を集めた梅鶯会(ばいおう会)を立ち上げ、経済面での両市の連携を唱えた」(松下政経塾)ことに起こる。
榎本と大迫の主張は「経済のグローバル化の影響を受ける現在、200万人規模の経済圏では太刀打ちできない、福岡と北九州を合わせて香港やシンガポールと同規模の400万 - 500万人規模の経済圏になって初めてアジアの諸都市と競争できる」(同上)。
1999年5月からは福岡・北九州両市長の定期会談が開始された。両市長は、福北連携の理念をまとめ、企画・財政・保健福祉・環境・情報管理・国際交流の7分野で研究会が発足し、1つの都市圏あるいは経済圏と見なして、日本国内のみならずアジアに対しても競争力のある地域となれるよう試みられている。当初、両市長による会談は半年に1回開催されていたが徐々に頻度が減少し、12回目となる2011年を最後に開催されていない[20]。
福北連携によって以下のような事業等が実施された。
現状
- 福岡都市圏と北九州都市圏の重複地域では、福津市、宗像市など福岡寄りが人口増、岡垣町など北九州寄りが人口減に。(2015年国勢調査速報)
- 通勤通学人口の減少。福岡→北九州 微増、北九州→福岡 減少。(2000年国勢調査)
- 転出入人口の減少。福岡→北九州 減少、北九州→福岡(出超) 減少。(2002年 - 2004年調査)
- 生活圏間流動
以下は、福岡あるいは北九州の各生活圏を目的地・旅行先とする流動(年間・全機関)。福岡へ向かう大きな人の流動の中に北九州周辺生活圏が浮かんでいる形となっている。
- 207地域生活圏 (PDF) (2006年3月末現在)
- 単位:万人/年
- 目的地・旅行先として多い方の生活圏を「■」「■」で示す。
出発地→目的地[21]
県
|
出発地
|
福岡
|
北九州
|
広島
|
広島
|
62.3
|
26.8
|
山口
|
岩国
|
3.6
|
4.0
|
徳山
|
15.5
|
11.8
|
山口
|
30.4
|
39.9
|
宇部
|
24.0
|
52.0
|
萩
|
7.8
|
16.3
|
下関
|
84.1
|
359.2
|
大分
|
周防灘
|
60.5
|
588.6
|
大分
|
264.7
|
182.6
|
日田・玖珠
|
292.6
|
36.8
|
佐伯
|
9.7
|
5.9
|
佐賀
|
佐賀
|
690.1
|
54.5
|
唐津
|
183.7
|
14.1
|
伊万里・北松
|
28.9
|
2.5
|
長崎
|
伊万里・北松
|
15.3
|
2.9
|
佐世保
|
94.2
|
12.5
|
長崎
|
196.3
|
24.7
|
対馬
|
13.7
|
1.0
|
壱岐
|
19.2
|
0.8
|
五島
|
4.7
|
0.5
|
熊本
|
熊本
|
571.0
|
94.5
|
八代・芦北
|
35.5
|
8.0
|
天草
|
18.5
|
3.2
|
球磨
|
13.6
|
1.2
|
宮崎
|
延岡
|
39.2
|
11.2
|
宮崎
|
64.1
|
9.2
|
小林・西諸県
|
6.0
|
2.7
|
都城・北諸県
|
12.7
|
2.0
|
日南
|
4.6
|
1.2
|
鹿児島
|
鹿児島
|
111.0
|
14.8
|
川北薩・串木野
|
16.9
|
2.9
|
大隅
|
7.2
|
0.7
|
南薩
|
3.5
|
1.0
|
|
居住地→旅行先[22]
県
|
出発地
|
福岡
|
北九州
|
広島
|
広島
|
32.8
|
13.5
|
山口
|
岩国
|
2.1
|
1.3
|
徳山
|
11.7
|
3.2
|
山口
|
20.4
|
17.1
|
宇部
|
12.2
|
10.0
|
萩
|
1.6
|
5.0
|
下関
|
42.0
|
100.8
|
大分
|
周防灘
|
21.9
|
275.1
|
大分
|
83.4
|
61.0
|
日田・玖珠
|
204.2
|
4.7
|
佐伯
|
6.3
|
0.7
|
佐賀
|
佐賀
|
423.0
|
13.3
|
唐津
|
93.8
|
3.9
|
伊万里・北松
|
24.2
|
0.1
|
長崎
|
伊万里・北松
|
5.5
|
0.1
|
佐世保
|
46.1
|
2.3
|
長崎
|
112.3
|
7.9
|
対馬
|
15.1
|
1.1
|
壱岐
|
22.3
|
0.3
|
五島
|
5.0
|
0.4
|
熊本
|
熊本
|
173.6
|
12.8
|
八代・芦北
|
8.8
|
2.1
|
天草
|
8.0
|
0.7
|
球磨
|
3.0
|
|
宮崎
|
延岡
|
22.3
|
7.4
|
宮崎
|
36.5
|
2.5
|
小林・西諸県
|
0.6
|
0.3
|
都城・北諸県
|
4.1
|
1.1
|
日南
|
5.0
|
0.1
|
鹿児島
|
鹿児島
|
67.2
|
6.5
|
川北薩・串木野
|
11.5
|
3.0
|
大隅
|
4.3
|
0.2
|
南薩
|
2.4
|
1.2
|
|
脚注
関連項目