北海道新聞文学賞(ほっかいどうしんぶんぶんがくしょう)は、日本の文学賞。道新文学賞とも呼ばれる[1][2]。
概要
1967年(昭和42年)10月23日に制定された[3][4][5]。北海道新聞社が主催している[6][7]。創作・評論は、未発表作については400字詰め原稿用紙50 - 150枚以内、既発表作については1年以内に発行された単行本、同人誌などが募集される[8]。詩は、編数に制限はないが、詩集に限られる[8]。応募資格は原則として道内在住者としていたが、2016年(平成28年)の第50回より道内に3年以上居住したことのある人も含むようになった[8]。受賞作には正賞(ブロンズレリーフ)と副賞(創作・評論100万円、詩50万円)、佳作には記念品と副賞(創作・評論20万円、詩15万円)が贈られる[8]。
1985年(昭和60年)までは小説・評論・詩・短歌・俳句が対象となっており、1986年(昭和61年)より短歌は北海道新聞短歌賞、俳句は北海道新聞俳句賞として独立して表彰されるようになった。2001年(平成13年)の第35回から小説・評論を対象とした「創作・評論部門」と詩集を対象とした「詩部門」に分かれた。
全国区の活躍を果たすようになる作家も輩出している。第11回受賞の高橋揆一郎は第79回芥川龍之介賞を、第17回受賞の小檜山博は第11回泉鏡花文学賞を[9]、第21回受賞の熊谷政江(藤堂志津子)は第100回直木三十五賞を[10]、第37回受賞の朝倉かすみは第30回吉川英治文学新人賞[11]や第32回山本周五郎賞を、第46回受賞の河崎秋子は2015年度JRA賞馬事文化賞や第21回大藪春彦賞を受賞した[12]。
選考委員
- 円城塔[注 1][13]、川村湊、桜木紫乃、久間十義
- 阿部嘉昭、工藤正廣、松尾真由美
受賞作一覧
第1回から第10回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第1回(1967年度) |
受賞 |
佐藤喜一 |
『小熊秀雄論考』 |
1967年3月 旭川市
|
第2回(1968年度) |
受賞 |
沢田誠一 |
「斧と楡のひつぎ」 |
『北方文芸』1968年9月号
|
木村敏男 |
『日高』 |
1968年7月 扉の会
|
第3回(1969年度) |
受賞作なし
|
佳作 |
倉島斉 |
「歳月の小車」 |
|
上西晴治 |
「川のある部落」 |
|
第4回(1970年度) |
受賞 |
永井浩 |
『陶器の時代』 |
1969年9月 黄土社
|
第5回(1971年度) |
受賞 |
木野工 |
「襤褸」 |
『北方文芸』 1970年7月号、1971年7月号
|
第6回(1972年度) |
受賞 |
進藤紫 |
『壺』 |
1972年8月 道の会
|
第7回(1973年度) |
受賞作なし
|
佳作 |
浅野太市 |
「闇の中」 |
|
吉岡康 |
「海からの声」 |
|
第8回(1974年度) |
受賞 |
平松勤 |
『幻日』 |
1974年2月 柏葉書院
|
寺久保友哉 |
「停留所前の家」 |
『北方文芸』1974年8月号
|
第9回(1975年度) |
受賞 |
木原直彦 |
『北海道文学史 明治編』 |
1975年3月 北海道教育委員会
|
第10回(1976年度) |
受賞 |
岡崎正之 |
『帽灯』 |
1975年 辛夷社
|
佳作 |
松田静偲 |
「緊急輸送指令」 |
『国鉄北海道文学』5号
|
加藤多一 |
『ふぶきだ 走れ』 |
1976年7月 北海道新聞社
|
第11回から第20回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第11回(1977年度) |
受賞 |
高橋揆一郎 |
「観音力疾走」 |
『季刊藝術』40号
|
第12回(1978年度) |
受賞 |
中沢茂 |
「紙飛行機」 |
『北方文芸』1978年2月号
|
佳作 |
草野ゆき子 |
「踏みしだく冬」 |
『奔流』7号
|
萩原貢 |
『ドアの断崖』 |
1978年1月 月刊おたる社
|
第13回(1979年度) |
受賞 |
かなまるよしあき |
『証人台』 |
1979年5月 噴火湾社
|
佐々木逸郎 |
『劇場』 |
1978年10月
|
第14回(1980年度) |
受賞 |
上西晴治 |
『コシャマインの末裔』 |
1979年10月 筑摩書房
|
第15回(1981年度) |
受賞 |
吉田十四雄 |
『人間の土地』 |
1978年11月 - 1981年8月 農山漁村文化協会
|
水口幾代 |
『散華頌』 |
1981年7月 雁書館
|
第16回(1982年度) |
受賞 |
田中和夫 |
『残響』 |
1982年6月
|
佳作 |
小松瑛子 |
『わたしがブーツをはく理由について』 |
1982年8月 朱鳥書屋
|
新井章夫 |
『北の明眸』 |
1982年8月 黄土社
|
第17回(1983年度) |
受賞 |
小檜山博 |
『光る女』 |
1983年7月 集英社
|
島恒人 |
『風騒集』 |
1982年9月 秋発行所
|
第18回(1984年度) |
受賞 |
川辺為三 |
『岬から翔べ』 |
1984年4月 構想社
|
鳥居省三 |
『異端の系譜』 |
1983年10月 北海道新聞社
|
佳作 |
澤井繁男 |
「雪道」 |
『北方文芸』1984年9月号
|
第19回(1985年度) |
受賞 |
土居良一 |
『夜界』 |
1984年12月 河出書房新社
|
佳作 |
森田省子 |
『諧調の勝手口』 |
1985年8月 あうら書房
|
第20回(1986年度) |
受賞 |
山川精 |
『哈爾賓難民物語』 |
1986年 現地出版
|
佳作 |
朴重鎬 |
「離別」 |
『北方文芸』1986年8月号
|
第21回から第30回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第21回(1987年度) |
受賞 |
熊谷政江[注 2] |
「マドンナのごとく」 |
『北方文芸』1987年4月号
|
佳作 |
玉井裕志 |
『萌える大草原』 |
1987年7月 草の根出版会
|
第22回(1988年度) |
受賞 |
朴重鎬 |
「回帰」 |
『民濤』創刊号
|
佳作 |
千田三四郎 |
『遠い疼き』 |
1988年9月 人間像同人会
|
第23回(1989年度) |
受賞 |
吉井よう子 |
「伐り株」 |
『白雲木』3号
|
第24回(1990年度) |
受賞 |
甲斐ゆみ代 |
「背中あわせ」 |
『北方文芸』1990年8月号
|
斎藤邦男 |
『幻獣図譜』 |
1989年11月 沖積舎
|
第25回(1991年度) |
受賞 |
木村政子 |
「爛壊」 |
『室蘭文藝』24号
|
佳作 |
足立妙子 |
「風紋」 |
『蟹』10号
|
伊東廉 |
『民話』 |
1991年8月 共同文化社
|
第26回(1992年度) |
受賞 |
吉田典子 |
「妹の帽子」 |
『森林鉄道』8号
|
佳作 |
北野洸 |
「弥生坂」 |
『札幌文学』54号
|
北村巌 |
「小林勝論」 |
『創人』13号
|
第27回(1993年度) |
受賞 |
佐野良二 |
「闇の力」 |
『士別市民文芸』14 - 16号
|
工藤正廣 |
『ロシア・詩的言語の未来を読む 現代詩1917-1991』 |
1993年2月 北海道大学図書刊行会
|
佳作 |
澤辺成徳 |
『無頼の河は清冽なり 柴田錬三郎伝』 |
1992年11月 集英社
|
第28回(1994年度) |
受賞 |
北村巌 |
『島木健作論』 |
1994年6月 近代文芸社
|
佳作 |
正木としか[注 3] |
「パーティしようよ」 |
『北方文芸』1994年8月号
|
第29回(1995年度) |
受賞 |
鎌田純一 |
『凍裂』【上下】 |
1995年2月 構想社
|
倉内佐知子 |
『新懐胎抄』 |
1995年6月 書肆山田
|
佳作 |
小山心平 |
「生きる者の旅路」 |
『山音文学』84号
|
第30回(1996年度) |
受賞 |
平野温美 |
『白い月』 |
1996年2月 近代文芸社
|
第31回から第40回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第31回(1997年度) |
受賞作なし
|
佳作 |
いのうえひょう |
『俺の幻日』 |
1997年12月 黎明社
|
吉岡康 |
「敷香市街地図」 |
『留萌文学』82号
|
第32回(1998年度) |
受賞 |
木下順一 |
『湯灌師』 |
1997年11月 河出書房新社
|
第33回(1999年度) |
受賞 |
桃谷方子 |
『百合祭』 |
1999年8月
|
第34回(2000年度) |
受賞 |
金行康子 |
『禁猟区』 |
2000年6月 緑鯨社
|
第35回(2001年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
堀内興一 |
「老入」 |
2000年12月 山音文学会『寒椿』所収
|
毛利かずえ |
「夢のほころび」 |
『市民文芸』40号別冊
|
【詩部門】
|
受賞 |
竹中征機 |
『雁の木』 |
2001年7月
|
第36回(2002年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
中里拓二 |
「うなぎや物語」 |
『文邪』3号
|
佳作 |
大森光章 |
『シャクシャイン戦記』 |
2002年4月 新人物往来社
|
宮原寧子 |
「小説家の家庭」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
大貫喜也 |
『黄砂蘇生』 |
2002年8月 思潮社
|
佳作 |
界兀歩 |
『非ぐる日』 |
2002年8月 旭図書刊行センター
|
熊谷ユリヤ |
『名づけびとの深い声が』 |
2001年11月 思潮社
|
第37回(2003年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
朝倉かすみ |
「コマドリさんのこと」 |
|
佳作 |
中村南 |
「昼の月」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
江原光太 |
『北極の一角獣』 |
2003年1月 響文社
|
第38回(2004年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
有田美江 |
「約束の町」 |
|
佳作 |
江藤あさひ |
「フルハウス」 |
『札幌文学』第63号
|
木村華奈美 |
「THE ROOF」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
木田澄子 |
『kleinの水管』 |
2004年8月 緑鯨社
|
第39回(2005年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
佐藤梅子 |
「すすきの六条寺町通り」 |
『蟹』14号
|
高橋駘 |
「イタドリ」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
金太中 |
『わがふるさとは湖南の地』 |
2005年4月 思潮社
|
第40回(2006年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
草野ゆき子 |
「海峡まで」 |
『鉤素』12号
|
佳作 |
米谷広貴 |
「火の色」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
佐々幸子 |
『うみ』 |
|
第41回から第50回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第41回(2007年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
まさきとしか |
「散る咲く巡る」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
荒木元 |
『砂浜についてのいくつかの考察と 葬られた犬の物語』 |
2007年8月 亜璃西社
|
佳作 |
井手上久光 |
「それより奥は現に過ぎない」 |
|
第42回(2008年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
窪田貴 |
「焚き火端会議」 |
|
佳作 |
井澗裕 |
「尼港奇譚、あるいは コンスタンチン・フョードルビッチの肖像」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
金石稔 |
『星に聴く』 |
2007年9月 書肆山田
|
第43回(2009年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
内山りょう |
「神様のいどころ」 |
|
【詩部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
谷崎真澄 |
『カナリアは何処か』 |
2009年4月
|
土屋一彦 |
『へんなへん』 |
2009年2月 グッフォーの会
|
第44回(2010年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
一楽麻子 |
「犬日和」 |
|
澤田展人 |
「螺旋の道」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
橋場仁奈 |
『ブレス』 『朝、私は花のように』 |
2009年10月 荊冠舎
|
佳作 |
野宮田功 |
『野宮田功詩集』 |
|
橋本征子 |
『秘祭』 |
2009年9月 書肆青樹社
|
第45回(2011年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
河崎秋子 |
「北夷風人」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
林美脉子 |
『宙音』 |
2011年5月 書肆山田
|
第46回(2012年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
河崎秋子 |
「東陬遺事」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
荒巻義雄 |
『骸骨半島』 |
2011年8月 林檎屋文庫
|
第47回(2013年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
末永直樹 |
「節子の来た道」[注 4] |
|
田口耕平 |
「家族の点描」[注 5] |
|
【詩部門】
|
受賞 |
萩原貢 |
『小さな椅子の鬣』 |
2013年1月 緑鯨社
|
第48回(2014年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
紺谷充彦 |
『イッペーの花 小説・ブラジル日本移民の「勝ち組」事件』[14] |
2014年7月 無明舎出版
|
蓑島知子 |
「マリーゴールドの庭」 |
『山音文学』124号
|
【詩部門】
|
受賞 |
阿部嘉昭 |
『ふる雪のむこう』 |
2013年9月 思潮社
|
佳作 |
小杉元一 |
『素足にへびをふむ』 |
2014年7月 水公舎
|
第49回(2015年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
井村敦 |
「大門辺り――『点消夫と電灯夫』」[15] |
『ざいん』19号
|
【詩部門】
|
受賞 |
原子修 |
『叙事詩 原郷創造』 |
2014年9月 共同文化社
|
第50回(2016年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞作なし
|
佳作 |
不破俊輔 |
「武四郎遭難一件」[16] |
|
岡和田晃 |
「破滅(カタストロフィー)の先に立つ ポストコロニアル現代/北方文学論」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
久石ソナ |
『航海する雪』 |
2015年11月 私家版
|
佳作 |
入谷寿一 |
『茜色の空の下で』 |
2016年6月 土曜美術社出版販売
|
第51回から第60回
回(年) |
賞 |
受賞者 |
受賞作 |
刊行・収録
|
第51回(2017度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
沓沢久里 |
『通天閣の消えた町』
|
【詩部門】
|
受賞 |
藤田民子 |
『少女の家』 |
2017年8月 私家版
|
佳作 |
土橋芳美 |
『痛みのペンリウク 囚われのアイヌ人骨』 |
2017年3月 草風館
|
草野理恵子 |
『黄色い木馬/レタス』 |
2016年9月 土曜美術社出版販売
|
第52回(2018年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
澤田展人 |
「ンブフルの丘」 |
|
佳作 |
石川郁夫 |
「佐藤喜一 記録への傾斜・内的漂白の封印」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
麻生直子 |
『端境の海』 |
2018年6月 思潮社
|
佳作 |
水出みどり |
『夜更けわたしはわたしのなかを降りていく』 |
2017年10月 思潮社
|
第53回(2019年度) |
【創作・評論部門】
|
佳作 |
貝塚円花 |
「岡田さんと煙草のこと」 |
|
妹尾雄太郎 |
「佐藤泰志試論」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
ヤリタミサコ |
『月の背骨/向う見ず女のバラッド』 |
2019年7月 らんか社
|
第54回(2020年度) |
【創作・評論部門】
|
佳作 |
結城はに |
「春のゆきだるま」 |
|
【詩部門】
|
受賞作なし
|
第55回(2021年度) |
【創作・評論部門】
|
佳作 |
原雪絵 |
「白鹿」 |
|
【詩部門】
|
佳作 |
二条千河 |
『亡骸のクロニクル』 |
2021年7月 洪水企画
|
本田初美 |
「『芭露の森』 |
2021年4月 緑鯨社
|
第56回(2022年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
津川エリコ |
「おに」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
山本博道 |
『夜のバザール』 |
2022年5月 思潮社
|
第57回(2023年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
原雪絵 |
「さち子の行方」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
故永しほる |
『壁、窓、鏡』 |
2023年7月 私家版
|
佳作 |
若宮明彦 |
『瑪瑙屋』 |
2023年4月 土曜美術社出版販売
|
第58回(2024年度) |
【創作・評論部門】
|
受賞 |
大平しふる |
「かなしみ」 |
|
佳作 |
齊藤ゆずか |
「さよなら、ライトブルー」 |
|
【詩部門】
|
受賞 |
張文經 |
『そらまでのすべての名前』 |
2023年11月 思潮社
|
佳作 |
清水博司 |
『せせらぎさがし』 |
2024年4月 土曜美術社出版販売
|
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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関連項目 | |
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