北海道林木育種場旧庁舎
北海道林木育種場旧庁舎(ほっかいどうりんぼくいくしゅじょうきゅうちょうしゃ)とは、北海道江別市文京台緑町に所在する建築物であり、登録有形文化財である[1]。北海道庁林業試験場として建設される[1]。1階を煉瓦組積造、2階をハーフティンバー風木造とし、外装モルタル洗出とする[1]。小屋組はクイーンポストトラス風[1]。市の高台に位置し、地域のランドマークとして親しまれている[1]。 1927年(昭和2年)に場所に建設され、1996年(平成8年)まで林木育種センター 北海道育種場庁舎として使用されていた[2]。2001年(平成13年)に日本国の登録有形文化財に登録[3]。 2020年(令和2年)に保存・活用事業者の公募を行い、株式会社珈房サッポロ珈琲館が活用することとなった[2]。2021年(令和3年)4月から外壁や内装などの改修工事を行い、2022年(令和4年)4月に同社の本社事務所が移転、5月11日に直営のカフェがオープンした[3]。 外観外観は、大正・昭和初期に流行したハーフティンバー様式を基調とした洋風庁舎建築である[2]。内部は、林業試験場庁舎として建築されたことから、木製ドア・腰壁・木製窓枠などに加え、天井・壁・階段手すりなどが見られる。1935年(昭和10年)頃の戦時体制により、建築資材の質が低下する前の建物であり、当時の社会情勢を感じることができる貴重なものと言われている[2]。 歴史1927年(昭和2年)11月に、内務省林業試験場北海道支場庁舎として、工事費約13万5千円をかけ8か月間で建築され、北方林業研究の中心的な役割を担った[2]。1936年(昭和11年)10月の北海道陸軍特別大演習時に、昭和天皇が林業試験場を訪れ、庁舎の2階に設置された御座所で、石原供三場長の上奏を受けた後、秩父宮・三笠宮とともに、試験林を散策した[2]。また、この時期に近代試験場として人員や施設が整備され、研究分野も森林土壌や人工造林、林産製造など充実していった[2]。 戦後組織改正により、1947年(昭和22年)に農林省林業試験場札幌支場となったが、1953年(昭和28年)に札幌市に移転した[2]。敷地内に同年設けられた野幌試験地は、トドマツやエゾマツなどの人工林の研究が行われたが、1972年(昭和47年)に試験地も廃止された[2]。本庁舎は、1957年(昭和32年)に創設された北海道林木育種場の庁舎となり、優良品種の開発、樹木遺伝子研究技術を用いた実験事業などは、隣接地に移転した現在も行われている[2]。1996年(平成8年)に北海道育種場の移転により、庁舎としての利用を終えた[2]。 2001年(平成13年)には、歴史的価値が高い建物として、国の登録有形文化財に登録され、2002年(平成14年)に、江別市が「長年市民に親しまれた後世に残すべき歴史的建築物」として、国から購入し、2020年(令和2年)に保存・活用事業者の公募を行い、4事業者が応募した[2]。選定委員会の選考を経て、株式会社珈房サッポロ珈琲館が保存・活用事業者に決定し、2021年(令和3年)に外壁や内装などの改修工事を行い、2022年(令和4年)4月に同社の本社事務所が移転、5月11日に直営のカフェがオープンした[3]。 沿革(この節の出典:[2])
脚注
関連項目外部リンク
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