合成可能なダイアクリティカルマーク拡張
Combining Diacritical Marks Extended 範囲
U+1AB0..U+1AFF (80 個の符号位置 ) 面
基本多言語面 用字
Common 主な言語・文字体系
割当済
31 個の符号位置 未使用
49 個の保留 Unicodeのバージョン履歴
7.0
15 (+15) 13.0
17 (+2) 14.0
31 (+14) 公式ページ
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合成可能なダイアクリティカルマーク拡張 (ごうせいかのうなダイアクリティカルマークかくちょう、英語 : Combining Diacritical Marks Extended )は、Unicode の58個目のブロック 。
解説
主に欧文 において別の文字に結合して発音の変化などを表すダイアクリティカルマーク (分音記号)のうち、合成可能なダイアクリティカルマーク ブロックに含まれていない、辞書や文法書などで発音記号と共に用いられるものを収録している。
このブロックには、ヨーロッパ方言学の転写規則に由来する特殊な結合記号が多数含まれている[ 1] 。
本ブロックに含まれる文字は全てダイアクリティカルマークであるため、文字幅を持たない結合文字 である。
Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。
収録文字
コード
文字
文字名(英語)
用例・説明
ドイツ語方言学で使用される記号
U+1AB0
᪰
COMBINING DOUBLED CIRCUMFLEX ACCENT
ドイツ語の方言学においてより長く発音される母音であることを表す[ 2] 。
U+1AB1
᪱
COMBINING DIAERESIS-RING
U+1AB2
᪲
COMBINING INFINITY
ドイツ語の方言学において弱い鼻音化を表す[ 2] 。
U+1AB3
᪳
COMBINING DOWNWARDS ARROW
ドイツ語の方言学においてsに結合してs᪳の形で、šとχの間の無声の歯槽音(z音のような摩擦音)を表す[ 2] 。
U+1AB4
᪴
COMBINING TRIPLE DOT
U+1AB5
᪵
COMBINING X-X BELOW
U+1AB6
᪶
COMBINING WIGGLY LINE BELOW
U+1AB7
᪷
COMBINING OPEN MARK BELOW
U+1AB8
᪸
COMBINING DOUBLE OPEN MARK BELOW
U+1AB9
᪹
COMBINING LIGHT CENTRALIZATION STROKE BELOW
U+1ABA
᪺
COMBINING STRONG CENTRALIZATION STROKE BELOW
他のダイアクリティカルマークや文字を囲む記号
U+1ABB
᪻
COMBINING PARENTHESES ABOVE
上に付いたダイアクリティカルマークを囲むことを意図している[ 1] 。
U+1ABC
᪼
COMBINING DOUBLE PARENTHESES ABOVE
U+1ABD
᪽
COMBINING PARENTHESES BELOW
下に付いたダイアクリティカルマークを囲むことを意図している[ 1] 。
U+1ABE
᪾
COMBINING PARENTHESES OVERLAY
基本文字を囲むことを意図している[ 1] 。
正確な配置はフォントによって異なる[ 1] 。
スコットランド方言学で使用される記号
U+1ABF
ᪿ
COMBINING LATIN SMALL LETTER W BELOW
有声唇音化を表す[ 1] [ 3] 。
IPA におけるU+02B7 ʷ
と同様の機能を持つ。
U+1AC0
ᫀ
COMBINING LATIN SMALL LETTER TURNED W BELOW
無声唇音化を表す[ 1] [ 3] 。
他のダイアクリティカルマークの隣または周囲に付く記号
U+1AC1
᫁
COMBINING LEFT PARENTHESIS ABOVE LEFT
拡張 IPA では、左括弧または右括弧が有声音または無声音のダイアクリティカルマークと組み合わせて使用され、最初または最後の部分適用性を示す[ 1] [ 4] 。
U+1AC2
᫂
COMBINING RIGHT PARENTHESIS ABOVE RIGHT
U+1AC3
᫃
COMBINING LEFT PARENTHESIS BELOW LEFT
U+1AC4
᫄
COMBINING RIGHT PARENTHESIS BELOW RIGHT
U+1AC5
᫅
COMBINING SQUARE BRACKETS ABOVE
上に付いたダイアクリティカルマークを囲むことを意図している[ 1] 。
日本語 の音訳でアクセントの取り消しを示すために使用される[ 1] [ 5] 。
発音記号
U+1AC6
᫆
COMBINING NUMBER SIGN ABOVE
Harringtonの表記法において強いストレス (強勢)を表す[ 6] 。
拡張IPAで使われる記号
U+1AC7
᫇
COMBINING INVERTED DOUBLE ARCH ABOVE
唇音化 を表す古いIPA の記法の 032B ̫ COMBINING INVERTED DOUBLE ARCH BELOW
がpなどのディセンダ のある文字などに付く場合の記号[ 5] 。
U+1AC8
᫈
COMBINING PLUS SIGN ABOVE
前寄りの調音を表すIPA の U+031F ̟ COMBINING PLUS SIGN BELOW
がpなどのディセンダ のある文字などに付く場合の記号[ 5] 。
U+1AC9
᫉
COMBINING DOUBLE PLUS SIGN ABOVE
より強い前寄りの調音を表す。基本的に文字の下に書かれるが、ディセンダのある文字や、他の下付きのダイアクリティカルマークがある場合は上に付けられる[ 5] 。
U+1ACA
᫊
COMBINING DOUBLE PLUS SIGN BELOW
中英語のオルムルムで使われる記号
U+1ACB
᫋
COMBINING TRIPLE ACUTE ACCENT
中英語 で書かれたオルムルム において用いられたダイアクリティカルマーク。
詳しい用途は分かっていない[ 7] 。
U+1ACC
ᫌ
COMBINING LATIN SMALL LETTER INSULAR G
中英語 で書かれたオルムルム において短母音を表す際に用いられた。子音の前にある短母音を表す際に、母音字の後の子音字の上に更に同じ子音字を重ねて書かれていた[ 7] 。
U+1ACD
ᫍ
COMBINING LATIN SMALL LETTER INSULAR R
U+1ACE
ᫎ
COMBINING LATIN SMALL LETTER INSULAR T
小分類
このブロックの小分類は「ドイツ語方言学で使用される記号」(Used in German dialectology )、「他のダイアクリティカルマークや文字を囲む記号」(Marks surrounding other diacritics or letters )、「スコットランド方言学で使用される記号」(Used in Scots dialectology )、「他のダイアクリティカルマークの隣または周囲に付く記号」(Marks next to or surrounding other diacritics )、「発音記号」(Phonetic sign )、「拡張IPAで使われる記号」(Used in extended IPA )、「中英語のオルムルムで使われる記号」(Used in Middle English Ormulum )の7つとなっている[ 1] 。
ドイツ語方言学で使用される記号(Used in German dialectology )
この小分類にはドイツ語 の方言学 で用いられるダイアクリティカルマークが収録されている。
他のダイアクリティカルマークや文字を囲む記号(Marks surrounding other diacritics or letters )
この小分類には他のダイアクリティカルマークや文字を囲む括弧の形状をしたダイアクリティカルマークが収録されている。
これらの記号は、別の発音区別符号の部分的または不確実な適用を示すためによく使用される[ 1] 。
スコットランド方言学で使用される記号(Used in Scots dialectology )
この小分類にはスコットランド の方言学で用いられるダイアクリティカルマークが収録されている。
他のダイアクリティカルマークの隣または周囲に付く記号(Marks next to or surrounding other diacritics )
この小分類には他のダイアクリティカルマークや文字を囲む括弧の形状をしたダイアクリティカルマークが収録されている。
拡張 IPA では、左括弧または右括弧が有声音または無声音のダイアクリティカルマークと組み合わせて使用され、最初または最後の部分適用性を示す[ 1] 。
発音記号(Phonetic sign )
この小分類には発音記号として用いられる、結合して上に付く番号記号 (#)1つのみが収録されている。
拡張IPAで使われる記号(Used in extended IPA )
この小分類には拡張IPA で用いられるダイアクリティカルマークが収録されている。
中英語のオルムルムで使われる記号(Used in Middle English Ormulum )
この小分類には中英語 においてオルムルム という聖書 の注釈書で用いられるダイアクリティカルマークが収録されている。
文字コード
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
バージョン
コードポイント[ a]
文字数
L2 ID
ドキュメント
7.0
U+1AB0..1ABE
15
L2/08-428
Michael Everson (27 November 2008), Exploratory proposal to encode Germanicist, Nordicist, and other phonetic characters in the UCS (英語)
L2/10-346
Michael Everson; Eveline Wandl-Vogt; Alois Dicklberger (23 September 2010), Preliminary proposal to encode "Teuthonista" phonetic characters in the UCS (英語)
L2/11-137
Michael Everson; Eveline Wandl-Vogt; Alois Dicklberger (9 May 2011), Proposal to encode "Teuthonista" phonetic characters in the UCS (英語)
L2/11-202
Michael Everson; Alois Dicklberger; Karl Pentzlin; Eveline Wandl-Vogt (2 June 2011), Revised proposal to encode "Teuthonista" phonetic characters in the UCS (英語)
L2/11-203
Michael Everson (27 May 2011), Support for "Teuthonista" encoding proposal (英語)
L2/11-240
Michael Everson; Karl Pentzlin (9 June 2011), Report on the ad hoc re "Teuthonista" (SC2/WG2 N4081) held during the SC2/WG2 meeting at Helsinki (英語)
L2/12-269
Irish National Body (26 July 2012), Request to change the names of three Teuthonista characters under ballot (英語)
L2/13-172
Denis Jacquerye (1 August 2013), Preliminary proposal to encode additional dialectology Latin characters (英語)
13.0
U+1ABF..1AC0
2
L2/19-075
Michael Everson (7 May 2019), Proposal to add six phonetic characters for Scots (revised, WG2 N5036) (英語)
14.0
U+1AC5,1AC7..1ACA
5
L2/21-042
Kirk Miller (11 January 2021), Unicode request for phonetic punctuation & diacritics (英語)
U+1AC1..1AC4
4
L2/20-039
Kirk Miller; Martin Ball (9 January 2020), Unicode request for extIPA support (英語)
L2/20-116
Kirk Miller; Martin Ball (20 July 2020), Expansion of the extIPA and VoQS (revised) (英語)
U+1AC6
1
L2/20-182
Kirk Miller; Timothy Henry-Rodriguez (20 July 2020), Unicode request for Harrington diacritic (英語)
U+1ACB..1ACE
4
L2/20-268
Michael Everson (5 October 2020), Revised proposal to add ten characters for Middle English (WG2 N5145) (英語)
^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。
出典
^ a b c d e f g h i j k l m "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1AB0.pdf" (PDF) . The Unicode Standard (英語). 2024年10月29日閲覧 。
^ a b c Michael Everson, Eveline Wandl-Vogt, Alois Dicklberger (2010年9月23日). “Preliminary proposal to encode “Teuthonista” phonetic characters in the UCS ” (英語). Unicode. 2024年11月2日閲覧。
^ a b Michael Everson (2019年5月7日). “Proposal to add six phonetic characters for Scots (revised, WG2 N5036) ” (英語). Unicode. 2024年10月30日閲覧。
^ Kirk Miller; Martin Ball (2020年1月9日). “Unicode request for extIPA support ” (英語). Unicode. 2024年10月30日閲覧。
^ a b c d Kirk Miller (2021年1月11日). “Unicode request for phonetic punctuation & diacritics ” (英語). Unicode. 2024年10月30日閲覧。
^ Kirk Miller; Timothy Henry-Rodriguez (2020年7月20日). “Unicode request for Harrington diacritic ” (英語). Unicode. 2024年10月30日閲覧。
^ a b Michael Everson (2020年10月5日). “Revised proposal to add ten characters for Middle English (WG2 N5145) ” (英語). Unicode. 2024年10月30日閲覧。
関連項目