国鉄ミ170形貨車(こくてつミ170がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)およびその前身である鉄道省等に在籍した水運車(水槽車)である。
本形式と同時期に同種類の種車を改造したミ150形についても本項目で解説する。
ミ170形
1925年(大正14年)から1927年(昭和2年)11月にかけて廃車となった蒸気機関車の三軸炭水車を種車として10 t積み水運車が6形式(ミ335形、ミ340形、ミ350形、ミ360形、ミ375形、ミ385形)製作された。製造所は苗穂工場、小倉工場、名古屋工場、金沢工場、土崎工場の5か所であった。種車はいずれも三軸炭水車であるがその大きさはまちまちである。
形式名は1928年(昭和3年)5月の車両称号規程改正によりミ170形(ミ170 - ミ176、ミ180 - ミ195)に改名の上統合された。この際何故かミ177 - ミ179が欠番である。
塗色は、黒であり、寸法関係は種車により違いがあるが一例として全長は5,721 mm、全幅は2,356 mm、全高は2,902 mm、軸距は1,499 mm + 1,499 mm、自重は11.1 t、換算両数は積車2.0、空車1.0である。
1956年(昭和31年)7月20日に最後まで在籍したミ189が廃車となり同時に形式消滅となった。
車番履歴
ミ170形
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種車
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旧車番
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改造年月
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改造工場
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配置局
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ミ170 |
5860形蒸気機関車の炭水車 |
ミ335 |
大正14年 |
苗穂 |
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ミ171 |
5860形蒸気機関車の炭水車 |
ミ336 |
大正14年 |
苗穂 |
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ミ172 |
8450形蒸気機関車の炭水車 |
ミ340 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ173 |
8450形蒸気機関車の炭水車 |
ミ341 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ174 |
8450形蒸気機関車の炭水車 |
ミ342 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ175 |
8450形蒸気機関車の炭水車 |
ミ343 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ176 |
8450形蒸気機関車の炭水車 |
ミ344 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ180 |
6350形蒸気機関車の炭水車 |
ミ350 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ181 |
6350形蒸気機関車の炭水車 |
ミ351 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ182 |
6350形蒸気機関車の炭水車 |
ミ352 |
大正14年 |
小倉 |
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ミ183 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ360 |
大正15年4月 |
名古屋 |
名古屋
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ミ184 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ361 |
大正15年4月 |
名古屋 |
名古屋
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ミ185 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ362 |
大正15年4月 |
金沢 |
名古屋
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ミ186 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ363 |
大正15年4月 |
金沢 |
名古屋
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ミ187 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ364 |
昭和2年11月 |
名古屋 |
名古屋
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ミ188 |
5630形蒸気機関車の炭水車 |
ミ365 |
昭和2年11月 |
名古屋 |
名古屋
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ミ189 |
5400形蒸気機関車の炭水車 |
ミ375 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ190 |
6200形蒸気機関車の炭水車 |
ミ376 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ191 |
5160形蒸気機関車の炭水車 |
ミ385 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ192 |
5160形蒸気機関車の炭水車 |
ミ386 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ193 |
5160形蒸気機関車の炭水車 |
ミ387 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ194 |
5160形蒸気機関車の炭水車 |
ミ388 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ195 |
5160形蒸気機関車の炭水車 |
ミ389 |
昭和2年4月 |
土崎 |
仙台
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ミ150形
鉄道省ミ150形貨車 |
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基本情報 |
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車種 |
水運車(水槽車) |
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運用者 |
鉄道省 |
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所有者 |
鉄道省 |
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旧形式名 |
ミ330形 フミ30形 |
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改造所 |
苗穂工場 |
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改造年 |
1928年(昭和3年)* 1944年(昭和19年) |
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改造数 |
3両 |
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消滅 |
1回目1939年(昭和14年) 2回目1945年(昭和20年) |
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主要諸元 |
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車体色 |
黒 |
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軌間 |
1,067 mm |
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全長 |
5,725 mm |
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全幅 |
2,288 mm |
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全高 |
2,370 mm |
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荷重 |
5 t |
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実容積 |
5.4 m3 |
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自重 |
8.3 t |
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換算両数 積車 |
1.0 |
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換算両数 空車 |
0.6 |
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軸距 |
2,743 mm |
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備考 |
*称号規程改正年 |
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テンプレートを表示 |
1926年(大正15年)3月に廃車となった5450形蒸気機関車の二軸炭水車を種車として5 t 積み水運車が苗穂工場にて2両製作された。日本の水運車の中で最小積載荷重の形式である。形式名はミ330形と定められたが、1928年(昭和3年)5月の車両称号規程改正によりミ150形(ミ330 - ミ331→ミ150 - ミ151)に変更された。落成後全車札幌鉄道局に配属された。
塗色は、黒であり、寸法関係は全長は5,725 mm、全幅は2,288 mm、全高は2,370 mm、軸距は2,743 mm、自重は8.3 t、換算両数は積車1.0、空車0.6である。
大型蒸気機関車1両の炭水車を半分の量にさせることもできない小荷重の為[注 1]早期に用途廃止となり、ミ151は1934年(昭和9年)8月2日に、ミ150は1939年(昭和14年)6月28日にそれぞれ廃車となった。
全車が廃車となり一旦形式消滅したが1944年(昭和19年)に、樺太鉄道局の8 t 積みフミ30形フミ32が改番によりミ150形ミ152へ附番された。しかし1年後に戦局の悪化により樺太は車両残留のまま放棄され1945年(昭和20年)に除籍となり再度形式消滅となった。
注釈
出典
参考文献
- 吉岡心平『3軸貨車の誕生と終焉(戦後編)』(初版)ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 9〉、2000年4月1日。ISBN 4-87366-198-6。
- 貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車-技術発達史-』(初版)日本鉄道車輌工業会、2008年3月1日。
関連項目