女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(じょせいのしょくぎょうせいかつにおけるかつやくのすいしんにかんするほうりつ、平成27年9月4日法律第64号)は、女性の活躍推進に関する日本の法律である。通称は女性活躍推進法(じょせいかつやくすいしんほう)である。 所管官庁は内閣府である。2015年(平成27年)9月4日公布、同日施行[1]、10年間の時限立法である。「すべての女性が輝く社会づくり」の要となる法律である[2]。 構成
概説この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(以下「女性の職業生活における活躍」という)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする(第1条)。
女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。また女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない(第2条)。
国及び地方公共団体の責務国及び地方公共団体は、女性の職業生活における活躍の推進についての基本原則(以下「基本原則」という)にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない(第3条)。具体的に、
事業主の責務事業主は、基本原則にのっとり、その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備その他の女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に協力しなければならない(第4条)。 2016年(平成28年)4月1日より、常時雇用する労働者[3]301人以上(2022年4月1日より101人以上)の事業主は、以下の行動が義務付けられる(第8条)。なお300人以下の労働者を雇用する事業主については、努力義務となる[4]。
「採用者に占める女性比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の状況」「管理職に占める女性比率」その他の項目について把握し、課題分析を行う。
課題分析の結果を踏まえ、事業主行動計画策定指針に即して、女性の活躍推進に向けた行動計画(一般事業主行動計画)の策定を行う。一般事業主行動計画には「計画期間」「数値目標」「取組内容」「取組の実施時期」を盛り込むものとする。 作成した一般事業主行動計画は、厚生労働大臣への届出(都道府県労働局長に事務委任)、労働者への周知、外部への公表を行わなければならない。
課題分析を行った項目について、適切であると考える項目を一つ以上選んで公表する。 一般事業主行動計画を届け出た企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は、厚生労働大臣の認定(えるぼし認定、都道府県労働局長に権限委任)を受けることができる(第9条)[5]。えるぼし認定は、基準を満たす項目数に応じて3段階あり、認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告、名刺、求人票などに使用することができ(第10条)、女性の活躍を推進している事業主であることをアピールすることができるほか、公共調達における加点評価、日本政策金融公庫による低利融資(基準利率から-0.65%)の対象になる。さらに、2020年6月より、えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合にプラチナえるぼしの認定を受けることができる。 一般事業主行動計画の策定・公表等を行った上で、行動計画に盛り込んだ取組内容を実施し、数値目標を達成した事業主は、両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)の支給対象となる[6]。 報告・公表厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、一般事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる(第26条。2020年6月より第30条)。
2020年6月より、厚生労働大臣は 、第20条1項の規定による公表をせず、若しくは虚偽の公表をした一般事業主又は第20条2項に規定する情報に関し虚偽の公表をした認定一般事業主若しくは特例認定一般事業主に対し勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができることとなった(改正後の第31条)。 脚注
関連項目外部リンク
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