怒首領蜂大往生
『怒首領蜂 大往生』(どどんぱち だいおうじょう)は2002年稼働開始のアーケードゲーム。開発元はケイブ、総発売元はエイエムアイ。2003年に発売されたPlayStation 2版(通常版・後述)には、「緋蜂」を倒すという究極のプレイが収められたDVDが付属し、それが人気の一助ともなった。 『怒首領蜂II』がケイブ以外の会社によって作られた事から、一般的にはこちらが『首領蜂』、『怒首領蜂』の正当な続編であると考えられている。ただし、ステージクリア時の背景イラストの一部に「DONPACHI EPISODE-4」とあることから、『怒首領蜂II』も『首領蜂』シリーズの1つ(『首領蜂』から数えて3作目)と位置づけられていることが窺える。 後述するブラックレーベルのタイトル画面が黒なのに対し、こちらは白である事から『白版』とも呼ばれるようになる。 中国語圏では『怒首領蜂大往生魂』が稼働している。こちらはイージーモードを実装している。 ストーリー1000年前、無人の機械兵器同士による世界大戦があった。当初は人類の代理戦争のはずだったが、やがて人の手でコントロール出来なくなるまでに拡大。全てを失った人類は、過ちを二度と繰り返すまいと、月にその兵器たちを封印する。 その後、人類に行えないことは全てロボットに任せられるほどに技術が再発展した。人々は平和を謳歌していたが、月において封印されていた機械兵団が復活、地球侵攻の動きを見せていることが確認され、国連軍は月の首都に向けて先制攻撃を仕掛ける。 プレイヤーは国連軍の戦闘員の一人となり、知性や感情を持つ兵器強化用人型機械「エレメントドール」らと協力して、再び行われる機械対機械の戦いへ身を投じることとなる。 エレメントドール作中で登場する女性型アンドロイドの総称で、ストーリーの通り制作時期、機能差、挙動などの違いを持つ。プレイヤーは以下のキャラと戦闘機に搭乗し、サポートを行ってもらう。選択したドールによってエンディングが変化する。エレメントドール自体の設定や、各キャラクターの説明、設定はゲーム関連雑誌やサウンドトラック付属の冊子、家庭用での公式サイト説明文など、詳細や裏設定、説明の部分的な変更がいくつか存在する。 声は『ゴシックは魔法乙女〜さっさと契約しなさい!〜』のコラボでの出演。
概要「大往生」の名の通りシリーズの完結編とされていたが、後に『怒首領蜂 大復活』、『怒首領蜂最大往生』が発売されている。それぞれ直接のストーリー関係はないが、ステージ2後半やステージ3前半での前作へのオマージュ、最終ステージでの怒首領蜂キャラクターのゲスト出演などに前々作との繋がりを感じ取ることができる。なお、これら前3作とは違い、弾幕シューティングと高速弾シューティング両方の技術が同時に要求されるため、難易度は過去作と比べかなり上昇している。 ゲームシステムとしては前作よりもさらに派手な攻撃が可能となった「ハイパー」システムが特徴。上級者はミスせずに大量に使用することで、高い難度によるスリルと手応えを得られる。 また、弾幕系シューティングとしては異色ともいえる“速い弾”も特徴。これは本作で使用されたゲーム基板の性能が、当時リリースされた他社のそれに比べるとあまり良いとは言い難いものであり、画面上に「弾」を(弾幕系SHTとしては)多く表示できない、という制約を打開するための策であったが、転じて「この作品ならでは」という個性を与えることにつながり、いわゆる「ウリ(売り)」のひとつとなった。[要出典] 音楽は『バトルガレッガ』やNMKのシューティングで知られる並木学が担当。 システムとスコアボーナス
ステージ構成
高難度の2周目当作品には前作『怒首領蜂』同様、ノーコンティニューかつ2プレイヤーの参加なしで下記の条件のいずれかを満たした時のみ挑戦可能な2周目が存在する。
前作との大きな違いは、2周目の開始前に残機がスコアボーナスに変換され没収されてしまうことである。そのため2周目1面においては必然的に1ミスすると即ゲームオーバー、さらにコンティニューと乱入禁止という仕様となっている[8]。2周目の最後に登場する真のラスボス「緋蜂」は前作の「火蜂」を上回る激しい攻撃をし、稼動開始から数ヶ月の間クリアを阻んだという[9]。当作品の「緋蜂」は、現在でもシューティングゲーム史上の最高難度ボスの一つに数えられる[10]。 ブラックレーベル2002年10月25日には、本作のバージョンアップ版である『怒首領蜂 大往生 ブラックレーベル』が発売された。そのタイトルの通り、ゲーム中でのタイトル画面が白基調から真っ黒になっている。プレイヤーのニーズに合わせ初期難度がやや落とされているのが大きな特徴で、またオリジナル版と同じ「2周モード」に加えて全5面でゲームクリアとなる「1周モード」を追加している他、プレイしやすさの追求のために細部が調整されている。ただし白版(オリジナル)に比べると出荷枚数は少なく、稼働から長時間経過した事より撤去も進み、半ばレア基板となっている。 ブラックレーベルの基板は起動キーがSRAMに保存されており、電池が一定電圧を下回るとSRAMのデータが消えてしまい起動が不可となりメーカー修理扱いとなる。これはオリジナル版の基板をブラックレーベルに改造される事を防止する為の措置と言われている。 移植版PlayStation 2版2003年4月10日にはPlayStation 2版が発売されている。移植はアリカが担当。当PlayStation 2版では、単なる移植に留まらず、本作の2周クリアを達成したプレイヤー達の協力によってオリジナルのアーケード版の敵配置や操作感覚などを文字通りの完全移植することに尽力されている。 アーケード版同様にプレイできる「アーケードモード」に加え、様々な状況を設定してプレイできる練習用モード「シミュレーションモード」、高難度モードの「デスレーベル」を実装している。 デスレーベルモード当作品のPlayStation 2版には「デスレーベル」というモードが追加されている。 この「デスレーベル」は、ステージ道中はなく各ステージのボス前から開始となる、いわゆる「ボスラッシュモード」である。1周目のボスの攻撃は通常モードの2周目のボスよりも遥かに激しく、見て避けられる攻撃が少ないことが特徴。従って、「面の開始時に降ってくる5個のハイパー」と「最大数が増加済みで、面毎にストックが回復するボム」を駆使してボスを倒すことになる。 ただし、ハイパーとボムの存在のおかげで1周目の難易度はそれほど高くない。 また1周目をクリアすると無条件で2周目に突入となるが、このモードの2周目はほとんどのボスで1周目と攻撃こそ同じであるものの、以下の厳しい条件が追加されている。
つまり、ボスを倒す手段であったハイパーがなくなり、もう一つの手段であったボムも使用が制限された状態で、残機0のまま面を進んでいかなければならない仕様になっている。 その難易度は「人間にはクリア不可能」とされるほど高く[11]、インターネット上でクリア達成報告をする者が初めて現れたのも、PS2版の発売から7年5ヶ月経った2010年9月18日のことだった[11]。2024年現在でも、クリア者は5名しか確認されていない。尚、1周目をクリアした際には前作『怒首領蜂』の登場人物である「シュバルリッツ・ロンゲーナ大佐」らしき人物がゲスト出演するというサービスもある(当作品アーケード版には登場しない)。 Xbox 360版(ブラックレーベルEXTRA)2009年2月19日にXbox 360移植版『怒首領蜂 大往生 ブラックレーベルEXTRA』が発売された。『怒首領蜂 大往生 ブラックレーベル』の移植であり、『怒首領蜂 大往生』も同時収録。 移植、発売は5pb.が担当、担当プロデューサーはさかりまさき、下記に記されている騒動後よりアリカの三原一郎が引き継いだ。開発はアクアシステム。 特有のオリジナル要素
ブラックレーベルEXTRAのトラブル発売日は当初は2008年12月25日とされていたが、完成の遅れを理由に2009年2月19日に延期された。にもかかわらず、「oldモード2周目でフリーズする」「リプレイが正常に再生されないことがある」等のバグや、「起動からゲーム開始までローディングに2分かかる」「メニューで階層移動するときにも場所により10秒ローディングがある」等の不備が見つかっており、5pb.は2009年3月27日に「今後の出荷を中止する」と発表した。[1] 5pb.は不具合に対してタイトルアップデートで対応する事を雑誌で発表した。 2009年6月19日、5pb.のサイトにて、開発会社アクアシステムが、ケイブ・アリカが著作権を有するPS2版『怒首領蜂 大往生』のプログラムソースコードを無断で複製し、意図的に改竄しながら本作品を製作していた事実が公表された[12][13]。ゲーム発売後、ケイブ・アリカから事実確認の要請を受け調査したことで明らかになったという。この著作権侵害問題について5pb.は謝罪するとともに、二度とこのような事態が起きないように管理体制を見直すとした。 2009年6月20日、アリカ副社長である三原のブログサイトMihara's sub Layerにて、一部状況説明が行われ、その中でアリカ主導で修正版が作られることが告知された[14]。移植の際にデザインのリファインを担当した井上淳哉も6月8日に本件についての書き込みを残していた。 その後しばらく音沙汰の無い状態が続いていたが、2011年1月19日にようやくタイトルアップデート(Ver1.8)が行われ、問題視されていた致命的なバグを始め、その他細かい部分も含め大量の修正・変更が施された。 フィーチャーフォン版2003年、主にNTTドコモのフィーチャーフォン用アプリケーション(iアプリ)を配信していたサイト「ゲーセン横丁」にて、本作の移植版が配信された。当時の携帯電話のスペックは完全移植が出来るほどではなく、容量的にも全ステージを1アプリ内に収録出来なかったため前後編に分割してのリリース。原作の雰囲気を出来るだけ再現しようと努めたものになっている。 その後、2005年には携帯電話機のスペック向上に合わせてグラフィック・サウンドをもう少しブラッシュアップし全編を1アプリ化した版を『怒首領蜂大往生DX』 というタイトルでリリースしている。 また、ボス戦に限定した「弾幕検定死験 大往生編」が2006年に配信。 2021年にはジー・モード社が、往時のフィーチャーフォンアプリゲーム群をNintendo Switch用ソフトとして移植するシリーズ「G-MODEアーカイブス+」の1作として、『DX』版を2021年5月20日にリリース。弾幕検定死験シリーズもリリースが告知されており、大往生編は同年7月8日にリリース。 iPhone版2012年より配信。旧バージョン(白レーベル版)の移植。下記の追加機能により、初心者にも非常に遊びやすくなっている。
後に、より高解像度になったHD版も別途に配信されている。 エムツーショットトリガーズ版「怒首領蜂大往生 臨廻転生」は、M2が2023年12月7日に発売した[Nintendo Switch]]、PlayStation 4用のソフトであり、アーケード版の「白版」、「ブラックレーベル」に加え、海外稼働版の「怒首領蜂III」が初収録。ショットトリガー版のオリジナルモードとして「スーパーイージー」「アーケードチャレンジ」や、スタンプラリー形式で行う短編集モード「ルナツアー」、エレメントドール毎の特徴に合わせて異なるシステムでプレイする「アレンジモード(S、L、EXの3種類)」が搭載されている。
一部ゲームモードでは、キービジュアル担当の井上淳哉デザイン版に加え、原作デザイナーである佐藤尚平が描き起こした新規ビジュアル版を選択可能。BGMはモノラル版、ステレオ版(新規)、スーパースィープによるアレンジ版が実装されている。 開発(輪廻転生)この作品は、エムツーが手掛けたPlayStation 4版『ケツイ〜絆地獄たち〜』の移植度にケイブの[池田恒基]]が感銘し、オリジナル版の『怒首領蜂大往生』も遊べるようにしてほしいと相談したことがきっかけで生まれた[15]。アーケード版を遊び続ける者が多いと同時に現行機への移植も望まれていた分、調整や強化に時間がかかり、テストプレイには遊びこんだプレイヤーも参加した[15]。 開発ケイブのアーケードゲーム事業は受託開発体制であり、『プロギアの嵐』の開発終了辺りから他社からの開発依頼が来なくなり、当時のケイブの心境はリスクを負いたくない側面が強くなり自社開発でアーケードのSTGを手掛ける考えが無かったが『怒首領蜂II』の稼働によって「結構な枚数が売れている」との報告が入ったことから当時の社長の高野から負担をかけた上で自社開発のゲームをやってもらう事の話が上がり、本格的に始まった[16]。 開発にあたっての当時の開発ルールは開発期間が6カ月、基板はIGS社製の基板、開発者が6人の体制で行われたが直後に井上が退社したことで、混乱状態になり、急遽高野が参加することとなった[16]。 ストーリーの設定は当初から予定しておらず、後付で担当することとなった佐藤尚平が、井上と相談した際に世界設定にオーダーを出した[17]。 ステージの数が5つ、蜂アイテムの数が10個のバランスを取ったのは6カ月の限られた期間が厳しく、ステージを作る範囲が狭く、蜂アイテムはキリがギリギリの範囲で出した[18]。 解像度の設定は224x448であり、落とし込んだ経緯は一度に320x240ピクセルで作った画面を640x480ピクセルに拡大し、3:4になる事を想定し描きこんでから基板の比率に圧縮して検証を繰り返した。結果の画面は縮小しても解像度が上がってるように見えるようになる。高解像度の元データが存在する3Dモデルはレンダリングに取り込むのは大変で想定より潰れてしまい苦労したという[19]。 世界観の設定はアジアンテイストになった理由は佐藤尚平は中華街が好きで行くことが多かったことから「アジアンテイストのあるスチームパンクをベースに少しサイバーパンクへ寄せたものをデザインしていきませんか?」とチーフに提案した。当時のシューティングゲームの世界観は退廃的なものやディストピア感が多く、ユーザーの間で、難しいゲームの印象を高めてしまった事から高野は「暗くするな」と忠告し、佐藤のダメ出しでアジアンテイストの採用に至った[19]。 タイトル名の『大往生』の由来は池田が社長にサブタイトルの提案を出したことから会議が開かれ、当初は若林が考案した「怒首領蜂 墓場」と「怒首領蜂 哀」、「さらば、うるわしき怒首領蜂」の候補が上がったが時間が限られていたため、池田は怒首領蜂の制作を最後にする気持ちが強くなり、最後の意味を込めて佐藤尚平が考案した『大往生』に決まった。それを見た社長は「何、この名前?」と唖然とし、販売会社に伝えても「は?」みたいなリアクションを取り理解を得られなかった[20]。 苦労した点は「怒首領蜂」と「大往生」の文字は別々に書いたが当初の明確なイメージが無く、「生」の最初の払いの部分を伸ばして癖を出したが普通にしてくださいの要望が出てイラついた。文字のイメージは最荒々しいお酒のラベルのイメージ[21]。 『大往生』の名前を即決した理由は池田は続編物を作るのを否定し、新しいコンテンツを生み出し続ける当時の方針を強く持ってるとの事[20]。 敵デザインの3Dモデルは『エスプレイド』の経験はあったがボスデザインや敵デザインを行ったのは本作が初めてだと若林は述べてる。ボスの個性は元の『怒首領蜂』をある程度踏襲しようと決まっており、スチームパンクを軸にレトロフューチャー調になるように心掛けた。最初に黄流は蜂にしようと終着点を決めて、そこから作り始める[22]。 2週目は当初の予定は無かった。開発期間の都合で弾数を増やす作業が難しくなるため断念するはずだったが、テストプレイヤーから2週目の無い怒首領蜂は販売を認めない旨の抗議が出たことから1週間以内で導入した[23]。 トピックスセガの音楽ゲーム「オンゲキ SUMMER」に本作の最終ボス「緋蜂」のBGMが収録されている。また、「オンゲキ R.E.D.」では本作の1面BGM「東亞」が「東亞 -O.N.G.E.K.I. MIX-」として収録された。こちらは機体・エレメントドール選択時のBGM「霧警」から1面BGM「東亞」、ボスのBGM「焚身」にステージクリアBGM「獲者」と1面クリアまでのメドレーとなっており、譜面作成者の名義も本作のステージ名をもじった「清雅(セガ)」になっている。(現在は両方削除済み) 関連項目
脚注
参考文献
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia