「悲しみはぶっとばせ 」(かなしみはぶっとばせ、原題 : You've Got to Hide Your Love Away )は、ビートルズ の楽曲である。1965年8月6日に発売された5作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ヘルプ! 』のA面3曲目に収録された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、ジョン・レノン によって書かれた楽曲で、リード・ボーカル もレノンが務めた。レコーディングにはフルート奏者としてジョン・スコット が参加している。
背景
本作について、レノンは「これはぼくの-ディラン 時代-の曲。ぼくはカメレオンだから、その時に流行っているものにならなんでも染まってしまう。エルビス にできることなら、ぼくにだってできる、エヴァリー・ブラザーズ にできれば、ぼくとポール にもできる。ディランだって同じことさ」と語っている[ 2] 。本作は、「アイム・ア・ルーザー 」などのレノン作の楽曲にも見られる自省的な楽曲となっている。レノンは、映画『ヘルプ!4人はアイドル 』のためにもう1曲欲しいと考え、自宅で本作を書いた。
本作は、ディランの楽曲を思わせる複音のアコースティック・ギター による2拍子の音型、アコースティックを主とした伴奏など、フォークソング の有節歌曲形式 に似ている。演奏ではブラシで叩いたスネアドラム 、タンバリン 、マラカス などのパーカッション のほか、ディランの楽曲の特徴となるハーモニカ の代替となるフルート が含まれている。
レコーディング・リリース
「悲しみはぶっとばせ」のレコーディングは、1965年2月18日にEMIレコーディング・スタジオ のスタジオ2で行なわれた。バッキング・トラックは、レノンが12弦 アコースティック・ギター 、マッカートニーがベース 、ジョージ・ハリスン がスパニッシュ・ギター 、リンゴ・スター がドラム (ブラシ を使用)という編成で録音され、トラック2にはレノンのガイド・ボーカルが収録された。
テイク9がベストテイクと判断され、レノンのリード・ボーカルが録り直された後、マッカートニーのマラカス 、ハリスンの12弦アコースティック・ギター、スターのタンバリン がオーバー・ダビング された。本作のレコーディングでは、外部ミュージシャンとしてジョン・スコット も参加しており、スコットはアルトフルート とテナーフルート のソロを演奏し、本作はこれで完成となった。ジョージ・マーティン のプロダクション・ノートによると、フルート・ソロのオーバー・ダビングは、2月20日に行なわれたとのこと。
2月20日にモノラル・ミックス、23日にステレオ・ミックスが作成され、それぞれオリジナル・アルバム『ヘルプ!』に収録された。なお、モノラル・ミックスではレノンのボーカルにわずかながらエコーがかかっており、1987年のCD化に際してマーティンによってリミックスされたステレオ・ミックスではさらにエコーがかけられている。
1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2 』には、テイク1、テイク2、そしてテイク5を編集したものが収録された。このバージョンには、テイク1でのスタートミスやマッカートニーがグラスを割る音、「Paul's broken a glass, broken a glass, Paul's broken a glass, a glass, a glass, he's broke today. 」というレノンのチャント も含まれている。
クレジット
※出典
カバー・バージョン
脚注
出典
^ 『ジョン・レノンPLAYBOYインタビュー』集英社 、1981年、189頁。ASIN B000J80BKM 。
^ Unterberger, Richie . “Beach Boys' Party! - The Beach Boys | Songs, Reviews, Credits ”. AllMusic . All Media Group. 2021年5月8日閲覧。
^ “The Hot 100 Chart ”. Billboard (1965年11月27日). 2021年5月8日閲覧。
^ “Official Singles Chart Top 50 ”. Official Charts Company (1965年10月21日). 2021年5月8日閲覧。
^ Eder, Bruce. Filet of Soul - Jan & Dean | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月8日閲覧。
^ You Tripped at Every Step - Elvis Costello, Elvis Costello & the Attractions | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック . 2021年5月8日閲覧。
^ “オアシス / サム・マイト・セイ ”. CDJournal . 株式会社シーディージャーナル. 2021年5月8日閲覧。
^ “RELEASE / リリース ” (日本語). UP-FRONT WORKS . UP-FRONT WORKS Co.,Ltd.. 2021年12月8日閲覧。
^ “CHRONICLE 1&2/+2 | タケカワユキヒデ ”. ORICON NEWS . オリコン . 2021年5月8日閲覧。
^ “西 慎嗣 ”. ビクターエンタテインメント . 2021年5月8日閲覧。
^ “Page By Page[CD] - 高橋幸宏 ”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN . 2021年5月8日閲覧。
参考文献
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Sheff, David (1981). The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono . Playboy Press. ISBN 0-8722-3705-2
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外部リンク