数字付き低音
数字付き低音(すうじつきていおん)とは通奏低音の和音楽器の演奏(リアライズ)のために、音符の上または下に和音の構成音を示すための数字を添えた楽譜をいう。普通、バス記号(ヘ音記号)で書かれる。 低音に添えられた数字は、低音からの音程の度数によって和音構成音のひとつを指定するもので、その音は、基本的に楽譜の調号に従った音を構成音とする。調号に従った音以外を和声に使用する場合には、数字に対してシャープ「♯」、ナチュラル「♮」、フラット「♭」、まれにダブルシャープ「𝄪」、ダブルフラット「𝄫」が添えられる。ただし、フランス式の場合に限って後述のとおり、臨時記号の扱いが異なるため注意を要する。 もし低音に「3」と添えられていれば、低音に対してその上部に3度音程の音が存在することを示す。ただし、具体的にその音程とは複音程(いくつかのオクターヴ分離れた音程)の場合を含むため、実際にそれらの音をどのオクターヴ位置の複音程で発音させるかは演奏者の判断に任され、演奏者は基本的に和声学の規則に的に準じて、4声や3声で和音構成音を水平軸に連結させ、即興的に演奏する。当然、和声的な正しさだけでなく、音楽的に優れたものであることが要求され、自由な装飾を付けることも行われる。 記号の意味
低音の音符上に付された数字が意味する和音について下記に解説する。
コードネームとの類似点、相違点数字付き低音は、和音の音符をすべて書かずに和音を示すという点で、コードネームと似ている。また、数字の意味もその意味自体は同じであって、コードネームのG7の7と、数字付き低音でト/G音に7を付けたときの7の数字が示す音は、ハ長調の場合同じで、それが示す和音も全く同じである。C6とハ長調でハ/C音にを付けた時の和音は同じで、6の数字が示す音も同じである。 決定的な相違点は、数字付き低音が調号に依存しているのに対し、コードネームは調号に依存していないことである。すなわち、コードネームでG7はどの調でもG-B-D-Fであるが、数字付き低音の場合は調号によって異なる和音になる。また、たとえば数字付き低音で♭があればリアライズした楽譜上で♭になるということであるが、コードネームでは減音程や短音程を表す。 また、コードネームが和音のルート(根音)から度数を数えるのに対し、数字付き低音では根音に関係なく低音から数える。だから、G7のコードの第1転回形はコードネームではG7/Bであるのに対し、数字付き低音ではロ/B/H音にと、全く違ってくる。 |
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