量子力学において数演算子(すうえんざんし)、個数演算子(こすうえんざんし)あるいは粒子数演算子(りゅうしすうえんざんし、英: particle number operator)とは、全粒子数が保存されないような系での粒子数を表すオブザーバブルである。
定義
生成消滅演算子を以下の交換関係を満たす演算子として定義する。
![{\displaystyle [{\hat {a}},{\hat {a}}^{\dagger }]=1}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/2b409c0a062d7915ff0b9eb45430b383ae9926ec)
数演算子は以下のように定義される。

性質
エルミート性
数演算子 はエルミート演算子である。
証明
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数演算子の定義 、エルミート演算子の性質 と、 より、

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生成消滅演算子との交換関係
数演算子と生成消滅演算子との交換関係は以下のようになる。これは、数演算子の固有値を増減させる昇降演算子の定義でもある。
![{\displaystyle [{\hat {N}},{\hat {a}}]=-{\hat {a}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/8fd0bd691e6450baff9a749701b77060e805a41e)
![{\displaystyle [{\hat {N}},{\hat {a}}^{\dagger }]={\hat {a}}^{\dagger }}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/477039556c8a1175cd0ba2b685504173cc8229c9)
証明
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交換関係の性質として が成り立つ。ここへ 、 、 を代入すると、
![{\displaystyle [{\hat {a}}^{\dagger }{\hat {a}},{\hat {a}}]={\hat {a}}^{\dagger }[{\hat {a}},{\hat {a}}]+[{\hat {a}}^{\dagger },{\hat {a}}]{\hat {a}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/6220fc22529e09114cfb89ecbf86540063187fdc)
数演算子の定義 、交換関係の性質 、生成消滅演算子の定義 を代入すると、
![{\displaystyle [{\hat {N}},{\hat {a}}]=-{\hat {a}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/8fd0bd691e6450baff9a749701b77060e805a41e)
2つ目の式についても同様。
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固有値は非負
数演算子の固有値方程式は、

この固有値 は非負である。
固有ベクトルへの消滅演算子の作用
数演算子の固有ベクトルに消滅演算子が作用すると、

固有値は整数
数演算子の固有値は整数である。
よって数演算子の固有値は非負の整数である。
固有ベクトルへの生成演算子の作用
固有ベクトルに生成演算子が作用すると、

となる。真空状態 に生成演算子N回作用させた場合は、

よって、

n粒子状態
数演算子はフォック空間で作用する。与えられているフォック状態 |Ψ⟩ν は1粒子基底状態 |Ψi⟩ から成る。

ここで数演算子を生成消滅演算子 ˆa†(φi), ˆa(φi) を用いて以下のように定義する。

数演算子は以下の性質を持つ。

ここで Ni は状態 |ψi⟩ の粒子の数である。
証明
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よって

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参考文献
関連項目
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